
P1Sの後継機となっていて、さまざまな性能がパワーアップしています。
本記事では、「P2S」の特徴をまとめています。
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P2Sのレビュー動画も参考にしてください↓
構成が似ている製品
● Bambulab H2D
造形可能サイズが「325×320×325 mm」と広い。ヒートチャンバー付き。デュアルエクストルーダータイプ。業務向け。
● QIDI Q2
造形可能サイズは「270×270×256mm」とこちらも広め。ヒートチャンバー付き。P2Sよりも安い。
P2S 仕様・スペックについて
| P2S | P1S | |
| 造形寸法 (WxDxH) |
256×256×256 mm³ | 256×256×256 mm³ |
| 外フレーム | プラスチックとガラス | プラスチックとガラス |
| 本体寸法 | 392×406×478 mm³ | 389×389×458 mm³ |
| 重量 | 14.9 kg | 12.95kg |
| ノズル | 焼入スチール | ステンレススチール |
| 最高ノズル温度 | 300℃ | 300℃ |
| 対応ノズル径 | 0.2, 0.4, 0.6, 0.8 mm | 0.2, 0.4, 0.6, 0.8 mm |
| 付属ビルドプレート | テクスチャー付きPEIプレート | テクスチャー付きPEIプレート |
| 最高ヒートベッド温度 | 110℃ | 100℃ |
| ツールヘッドの最大速度 | 600mm/s | 500mm/s |
| ツールヘッドの最大加速度 | 20,000 mm/s² | 20,000 mm/s² |
| フィルター | 活性炭フィルター | 活性炭フィルター |
| 対応フィラメント | PLA, PETG, ABS, ASA, TPU, PLA用サポート材, PLA/PETG用サポート材, ABS用サポート材, PET, PA, PC, PVA, PLA-CF, PETG-CF, ABS-GF, ASA-CF, PA6-CF, PA6-GF, PAHT-CF, PPA-CF, PET-CF | 推奨: PLA、PETG、TPU、PVA、PET、ABS、ASA 非推奨:PA、PC |
| カメラ | 1920×1080:30 fps HD | 1280 x 720:0.5fps |
| ドアセンサー | 〇 | × |
| フィラメント切れ検出センサー | 〇 | 〇 |
| フィラメント絡まり検出センサー | 〇 | |
| 電源復帰 | 〇 | |
| 有線LAN | × | × |
| 無線LAN | 〇 | 〇 |
※ 出典:Bambullab 公式サイト
P1Sのレビュー記事は、↓を参考にしてください。
関連記事:【どんな機械?】Bambulab P1Sを徹底レビュー!
P2Sの大きな特徴【10選】
使いやすくなった操作パネル

P2Sは、操作しやすいタッチスクリーンになっています。
P1Sはタッチパネル式ではなく、ハードボタンで操作をしていました。画面は白黒表示で、小さいため、カーソルがやや見にくい印象がありました。
P2Sでは、5インチのパネルになっているため、広々としています。多くの写真や文面を表示することができます。

また、カラー表示になっているため、分かりやすい表示になっているのも良い点ですね。

操作性は、Bambulab H2Dと同じく、かなり向上しています。
関連記事:BambuLab H2Dってどんな機械?
アクティブ流量補正

P2Sは、流量を自動で補正します。
流量が不適切になっていると、安定した造形線をプリントすることができません。
P2Sは、渦電流センサーを使ってキャリブレーションを行います。キャリブレーションで取得した値を元にして、自動補正し、最適な流量となります。

冷却フローシステム

P2Sは、外気を取り込むシステムを搭載しています。
一般的に、PLAフィラメントは、造形物を冷却しないと、仕上がりが悪くなります。
そこでP2Sでは、アダプティブエアフローシステムにより、外部から冷たい空気を取り込むことができます。
外気を取り込んだ空気は、庫内の右側にあるダクトから風が出てくるようになっていて、造形中のモデルに当たるようになっています。

試しに出力を上げると、かなり強い風が出てくるようになっています。

加えて、カバーが密閉された状態でも空気を取り込めますので、わざわざ開ける必要が無いのも良いですね。
庫内の温度を保つ

P2Sは、庫内の温度を高く保つ機能があります。
温度を保てると、多種類のフィラメントを使うことができます。
P2Sは、熱風を発生させるアクティブチャンバー機能はありませんが、「フラップ制御式適応型エアフローというシステム」が使われており、庫内を密閉することで、温度を保つことができます。
ビルドプレートやノズルが発した熱を、ファンで循環させることで、庫内を50度ほどに保つことができます。内部にある吸気口から空気を取り込み、右横にある排出口から風が出てくるようになっています。

吸気口を開けてみると、このように活性炭フィルターが入っていて、循環する空気が通る仕組みになっていました。

冷却か加温かの切り替えは、自動で行ってくれるので、気にすることなく使えるのも良い点です。
精度の高い検知センサー

P2Sは、検知センサーが充実しています。
AIコンピュータービジョンを搭載しており、「スパゲティ検出」「ビルドプレート異物検出」などの機能がありますので、パーツの破損を防ぐことができます。
たとえば、以下のような検知機能があります。
| 機能名 | 説明 | |
| ① | ライブビューカメラチェック | レンズが汚れていたり、遮断されている場合に停止。 |
| ② | スパゲティ検出 | スパゲティ状態が発生すると停止。 |
| ③ | ノズル詰まり検出 | ノズル詰まりが発生すると停止。 |
| ④ | ノズルプロービング検出 | ノズル周りに樹脂の塊ができてしまうと停止。 |
| ⑤ | エアプリント検出 | ノズルから樹脂が押し出されていない場合に停止。 |
| ⑥ | 異物検出 | ビルドプレート上に異物があると開始されない。 |
| ⑦ | ビルドプレート検出 | ビルドプレートの種類を検出。相違があれば停止。 |
|
⑧ |
シリコンソックス検出 | ノズルシリコンカバーが装着されているかを確認。 |
| ⑨ | フィラメント絡まり検出 | フィラメントバッファやAMSで過度な負荷を検知。 |
| ⑩ | フィラメント切れ検出 | フィラメント切れを検知。 |
① 「ライブビューカメラチェック機能」は、カメラのレンズに汚れなどが付着している場合、エラーコードを発行します。
② 「スパゲティ検出」は、押し出し状況が悪いと、定着力が低下し、スパゲティ状態になることがあります。もし検知すると、一時停止状態になるので、ジョブを停止するかどうかを選択できます。

③ 「ノズル詰まり検出」は、ライブビューカメラでノズル周辺に、樹脂の塊が発生していないかを監視しています。塊を連続して確認した場合は、ポップアップが表示され一時停止します。
④ 「ノズルプロービング検出」も、樹脂の塊が発生していないかをチェックしています。チェックの仕方は、ビルドプレートの右奥の部分にノズルを接触させ、プローブ動作を行います。その際、ノズルの電流センサーで負荷を検知し、もし塊があればプリントを一時停止することができます。

私も以前、違うメーカーの3Dプリンターで、ノズル周辺に大きな樹脂の塊ができたことがありますが、その時はエクストルーダーを丸ごと交換するような重症となってしまいました。P2Sでは、そういったことが起きにくい仕組みになっているようです。
⑤ 「エアプリント検出」もノズル周辺の検知機能です。エアプリントが起きると、ノズル詰まりを起こしていることも多く、何も積み上げられずに、ひたすら空中を動き続けます。検知すると一時停止となります。
⑥ 「異物検出」は、ベッドを上下に動かし、ビルドプレートに異物があるかを確認する機能です。異物が取り除かれるとプリントを再開することができます。
⑦ 「ビルドプレート検出」は、物理的に装着されているプレートの種類を確認します。プレート上のマークをカメラで読み取り、読み取ったプレートの種類と、スライサーソフトで設定したプレートの種類が不一致の場合、プリントを一時停止します。主にプレート間違いによる定着の不具合を防止してくれる機能のようです。

⑧ 「シリコンソックス検出」では、ノズルに装着されているシリコンカバーが正しく装着されているかを確認します。エクストルーダーの部分をカメラが読み取り、カバーがされているかを検知しているようです。

もしシリコンカバーが装着されていないと、樹脂がノズルに付着して造形品質を落としてしまうことがありますので、それを未然に防いでくれます。
⑨ 「フィラメント絡まり検出」は、本体背面にあるフィラメントバッファという装置で送り抵抗をチェックしています。絡まりや詰まりを検知すると一時停止します。

また、加えてP1Sには無かった、「ドア開閉センサー」も搭載されたことで、安全基準の厳しい工場などにも、導入しやすくなりました。
カンタンなノズル交換

P2Sのノズル交換は、とてもカンタンです。
ノズル交換に手間がかかる3Dプリンターは、少なくありません。現にP1Sでは、交換に「30分」くらいかかってしまうことがあります。また、これらの作業中に、配線を切ってしまったり、パーツを破損させてしまうこともあります。
P2Sは、クイックスワップ式が使われていて、ノズル交換が楽に行えます。ノズルユニットごと外すことができますので、初心者の方でも心配ありません。
鮮明なカメラ映像

P2Sは、キレイなカメラ映像を映すことができます。
今では、多くの3Dプリンターでは、タイムラプスを撮ることができます。ただ、画質が悪かったり、暗くなってしまうケースが多くあります。
P2Sでは、カメラの解像度が「1920×1080;30 fps」になったことで、ライブビュー映像やタイムラプス映像が、鮮明に写るようになりました。
30FPSはテレビ放送やYouTubeでもよく使われていて、滑らかな映りでした↓。

また、LEDライティングのおかげで、プラットフォームがとても明るくなりました。

安定した送出機構

P2Sは、耐久性の高い送出機構になっています。
「押出しギア」と「ノズル」は、焼入れスチール製で作られています。そのため、カーボンなどの繊維強化材を使うことができたり、高い耐久性を持っています。
安定して、長く使えるのはとても良いですね。
AMS 2 Proに対応

P2Sは、AMS 2 Proを併用することができます。
AMS 2 Proは、マルチカラープリントを行うには必要不可欠なオプション品です。
乾燥機能が搭載されていて、防湿効果があります。それにより、フィラメントの劣化を遅らせることができます。それにより、仕上がりの良い造形物をプリントすることが可能です。
本体とComboで購入することも可能です。ぜひ使うことをおすすめします。
超高速プリント

P2Sは、高速プリントをすることができます。
P1Sは、最大500mm/sの速度でしたが、P2Sでは、最大600mm/sとなっています。業界でもトップスピードの性能です。
短時間でプリントできるのは、うれしいですね。
実際にテストプリントした結果!
3DBenchy
まずは3D Benchyをプリントしました。オーバーハング部は滑らかで、いい仕上がりです。

上から見たところです↓。小さい穴もキレイに再現できていますね。

サポート付きのモデル
サポート付きモデルをプリントしました。

サポートを全て剥がした写真です↓。割とカンタンに取り除くことができました。

フィギュアモデルは、本来光造形プリンターが向いていますが、FDMでもキレイな仕上がりでした。
マニホールドモデルにサポートをつけてプリントしてみました。こちらも簡単に取り除けます。

サポートの接点部も、キレイでいい感じでした。

また、PLA-CFフィラメントでもプリント。サポートを取ってみましたが、

こちらもカンタンに取り除けます。

関連記事:カーボンファイバーを使って造形を試す
誤差を計測してみる
続いて20mmのキューブを3つプリントしました。そしてノギスを使って、誤差を確認していきます。

3個プリントして、それぞれ計測した結果はこんな感じです。

平均差は「X軸が0.03mm」「Y軸が0.04mm」「Z軸が0.17mm」でした。
X軸、Y軸の誤差は良い数値でしたが、Z軸の誤差がやや大きめとなりました。
Bambulab P2Sこんな人におすすめ!
手ごろなサイズを探している方
1つ目は、大きすぎないサイズの3Dプリンターを探している方です。
Bambulabには、H2Dという造形エリアが広い機種があります。広いのは良いのですが、その分、移動が大変だったり、設置スペースの確保が必要になります。一方P2Sは、男性であれば1人で持つことができるサイズ感となっています。
関連記事:BambuLab H2Dってどんな機械?
高温度帯フィラメントを使いたい方
2つ目は、高温度体フィラメントを使いたい方です。
ヒートチャンバー機能はありませんが、庫内温度を維持する技術が使われています。PLA、PETG以外、例えばABSやASA、PPS-CFなどを使いたい方におすすめです。
最新機能を使いたい方
3つ目は、最新機能を使いたい方です。
ご紹介したように、検出センサーや操作パネルなどの機能や性能がアップグレードしています。最新機能を使いたい方におすすめです。
安定した造形をしたい方
4つ目は、安定している3Dプリンターを探している方です。
Bambulab製品は色々と扱ってきましたが、通常の使い方をしている分には、故障やトラブルは少ないと感じますし、安定した造形をすることができるので、安心して使うことができます。



