オープンフレームタイプで、マルチカラーに対応した製品になっています。
これまでの技術力が終結している製品なので、これから購入を考えている方は、検討してみましょう。
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Creality Hiの仕様・スペック
項目 | 数値 |
3Dプリンターの寸法 | 409 × 392 × 477mm |
プリント可能サイズ | 260 × 260 × 300mm |
パッケージ寸法 | 650 × 460 × 240mm |
パッケージ寸法(Combo) | 650 × 460 × 560mm |
プリンター総重量 | 11.58kg |
プリンター総重量(Combo) | 19.14kg |
押出機構 | ダイレクトドライブ押出機 |
フレーム | アルミ合金 |
フィラメントの最大数 | CFSなし:1 CFSあり:最大16 |
最大プリント速度 | 500mm/s |
通常プリント速度 | 300mm/s |
最大加速度 | 12,000mm/s² |
最大ノズル温度 | 300℃ |
最大ビルドプレート温度 | 100℃ |
使用可能フィラメント | ハイパーPLA/PLA/PETG/ABS/PLA-CF |
監視カメラ | 〇 |
フィラメント切れセンサー | 〇 |
フィラメント絡まり検出 | 〇 |
入力シェーピング | 〇 |
照明キット | 〇 |
ノズルタイプ | 3種混合ノズル(チタン/銅/硬化スチール) |
ノズル径 | 標準0.4mm(0.6/0.8mmに対応) |
レベリング調整 | フルオートレベリング |
UI言語 | 英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語、トルコ語、ロシア語、日本語、中国語 |
ファイル転送 | USB/WiFi |
ディスプレイ画面 | 3.2インチカラータッチスクリーン |
※出典:Creality 公式
CFSの特徴
マルチカラー や 専用サポート材 を使うなら、必ず必要になる装置です。
マルチカラー(多色)プリントができる
CFS(Creality Filament System)というオプション品を併用すると、最大16色のマルチカラープリントをすることができます。※ただしCFSが複数台必要。
他のメーカーであれば、最大4色や8色という機種もありますが、Creality Hi Comboであれば16色までOKです。
昔の3Dプリンターでは、動作を一時停止しフィラメントを差し替えないと、色を変えることができませんでした。しかし、CFSを併用し配色をすれば、自動で多色プリントをすることができます。
また、専用サポート材を併用することで、これまでよりも精度の高い「サポート造形」をすることができるようです。
RFID対応
RFID(無線周波数識別)で、フィラメントの情報を管理することができます。
フィラメントのボビンにはタグが取り付けられており、非接触での情報管理が行えます。このRFIDのおかげで、フィラメントの色・種類を、スライサーソフトと同期することができます。同期することで、よりシームレスにマルチカラープリントをすることができます。
昔の3Dプリンターでは、気づかずに誤ったパラメーターのままプリントしてしまうこともありました。しかし、このRFID機能があれば、迷うことがなく、失敗を減らすことができます。時間のロスを減らせるのは、とてもメリットかなと思います。
ロード・アンロードしなくていい
一般的な3Dプリンターは、フィラメントをノズルまで送り込む作業が必要です。これが手間で、スロートチューブにフィラメントを通し、ノズルから材料が排出されたかをチェックする必要があります。
ところが、CFSを使うとこの作業が不要になります。
もちろん、CFSの挿入口にフィラメントを差し込む必要はありますが、それをすれば、あとは自動で送り込みや、フィラメントカットをしてくれるので、とても楽です。
個人的には、これだけでも、とても価値があると思います。
フィラメントスイッチ
同じフィラメントをセットしておけば、材料が切れてしまった場合でも、自動で別のスプールにスイッチしてくれます。そのため、材料切れによる、プリント停止を回避することができます。
防湿機能
CFS内には、シリカゲルをセットするスペースがあるので、吸湿をすることができます。プリントしていない時でも、保管庫になるのもいいですね。
また、カバーを閉めた時に隙間ができないように、ゴムパッキンが取り付けられています。密閉性はかなり高いですね。
スライド式のロックが付いていて、ボビンがあばれても、カバーが開いてしまうことは防げそうです。
デジタル式の湿度計が付いてます。庫内の環境を確認することができます。
Creality Hiの特徴
実際に使ってみた感じ、性能面はしっかり進化していました。
多種類のフィラメントに対応
Creatliy Hiでは、ハイパーPLA/ABS/PLA-CFに対応しています。
ノズルはCreality 独自のユニコーンノズルが使われています。硬化鋼が使われていて、PLA-CFフィラメントも使えます。
ユニコーンノズルは、K1Cにも使われていましたが、Hiの方がストロークが長くなっていました。スピード対策もされていますね。長さは違うので、残念ながら互換性はないようです。
あと、ノズルを取り外しするには、工具を使います。ストロークが長い分、やや面倒でしたが、取り外し時間は10分から15分程度でしたので、特に問題はなさそうです。オプションで0.6mmや0.8mmも使えるようですので、こだわりたい方は交換すると良いでしょう。
ハイパーPLAフィラメントに対応しています。
PLA-CF(カーボン)に対応しています。
ただ、ABSについては、プリントするモデルの大きさ・形状によって良し悪しがありますので、注意が必要です。
アルミ合金のフレーム
オールメタルボディなので、耐久度が高く、衝撃に強い構造になっています。また、重量があることで、揺れも最小限に抑えられ、高速プリントにも耐えられるようです。
フレーム・土台はしっかりしていて、揺らしてもガタつきは全くありません。
また、重量は8.75kgありますので、やや重めです。以前より販売されているEnder 3 V3は7.8kgでしたので、1kgぐらい重くなっています。重量があると、プリントが安定します
アクティブ入力シェーピング機能を搭載していて、振動を自動検知し、補正をしてくれます。しっかりと仕上がりが良くなる対策がされています。
組み立てがカンタン
Creality Hiは、初期セットアップがとても簡単で、すでに全体の95%は組み立て済みとなっているようです。7本のネジを留め、配線をおこなうだけで完了します。
例えば、以前の機種では、こんな感じ↓で、底からネジ止めするのが一般的でした。これがかなり面倒でした。
しかし、Creality Hiでは、地べたに置いた状態でもネジ止めができますので、楽に組み立てをすることができます。
優れた静音性
試しに計測してみると、およそ63dbから65dbくらいでした。抑えられていますね。
ちなみに、Ender-3 V3では70db前後の音がありましたので、それよりも抑えられているようです。
また機器を、エンクロージャーに入れて動作させたところ、およそ57dbから59dbまで抑えることができました。エンクロージャーの効果は大きいですね。
ちなみに、後付けエンクロージャーに入れてみると、こんな感じ↓になります。エンクロージャーの横にCFSを置くことができました。
こうすると、防音しながらマルチカラープリントをすることができます。ただ、本体とCFSを接続するケーブルが短かったので、小さい穴を開けて接続しました。
またエンクロージャーがあると、ABSなどの反りやすいフィラメントもプリントできますので、メリットは大きいです。
カメラ搭載
カメラが搭載されており、離れた場所からでもプリント状況を、映像で確認することができます。
また、タイムラプスにも対応しています。タイムラプスは、一定間隔で撮影された写真をつなぎ合わせて作られますので、動画とは少し違う映像を残すことができます。
プライバシー保護のため、カメラキャップも付いているようですね。
入力シェーピング機能
入力シェーピング(インプットシェーピング)とは、どれくらいの揺れが発生するかを検出し、その振動を打ち消すための相殺補正を入れる処理です。それにより、リンギング(振動で発生する波状の模様)やゴースティングを抑える効果があります。
性能の高い押出機
エクストルーダーは、金属製のため耐久度が高い仕様のようです。
押出機にはランアウトセンサーが搭載されており、フィラメント切れや破損・状況をチェックできるようになっています。
色々なモデルをプリントしてみた!
ここからは、実際にプリントしたものを見ていきます。
3DBenchy
まずは、3DBenchyをマルチカラープリントしました。オーバーハング部はかなりキレイに積み上げられていて、ヨレやシワのようなものは全くありません。色の継ぎ目も問題ありませんね。
個人的には、以前のV3シリーズと比べて、仕上がりが格段に良くなっていると感じました。品質が良いと、失敗する確率も下がりますので、かなり重要なポイントだと思います。
ピンボード・ピンアート
続いては、このようなピンボードプリントしました。
下から手で押して、その部分が浮き出てきます。1つ1つが小さい筒状のピンになっています。
完成直後は滑らかにいきませんが、ひととおり固まっているのをほぐしたら、良い感じに浮き上がってくれました。こういった細かいものをプリントできるということは、精度が高いからですね。
大き目のボール
続いては、大きめのボールをプリントしました。これも、結構いい感じにできました。
レイヤーピッチは0.28mmで、およそ22時間くらいかかりましたが、高速プリントなので早いです。また、造形サイズは最大260mm×260mm×300mmまでのものをプリントできます。
今回は、サポート部を立ててプリントしました。剥がすのがやや大変でしたが、フラットニッパーを使って剥がすことができました。
CFSにサポート専用フィラメントを使うと、もっと簡単に剥がすことができるはずです。また別の機会に試してみようと思います。
Creality Hi Comboの注意点
ゴミが出る
色を切り替えるたびに、フィラメントのロード(試し出し)が行われます。
その度に、フィラメントのカスがどんどん溜まっていきます。多く溜まるとトラブルの原因になりますので、ゴミを捨てる必要があります。
フィラメント使用量が増える
カラーの切り替えが多い場合、多くのロードが行われます。すると、その分大量のフィラメントを消費しますので、注意が必要です。
プリント時間が長くなりやすい
マルチカラー時は、先ほどご紹介した通り、フィラメントの切り替えが行われます。もし、その頻度が多い場合、プリント時間が長くなります。
例えば、3DBenchyで、あえて長くなるような配色をしてレビューしてみると、およそ6時間40分ほどかかりました。通常、単色であれば20分程度でプリントできますが、色付けのやり方次第ではこのようになってしまいます。
さらに、大きいものだと平気で何日もかかってしまうケースがありますので、配色の仕方には注意が必要です。