この記事では、Creality Hi という3Dプリンターを使って、マルチカラープリントの始め方をご紹介してます。
「始め方が分からない」「Creality Printの操作がわからない」という方に、参考になれば幸いです。
Creality Hi Comboについて
Creality Hi Comboは、マルチカラープリントができる、オープンフレームタイプの3Dプリンターです。
CFSを複数台使えば、最大16色のカラープリントをすることができます。
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Creality Print 6.0について
Creality Printは、Creality 3D社が提供しているスライサーソフトです。Creality製で使われますが、他社の3Dプリンターでも使うことができます。
関連記事:スライサーソフト(スライスソフト)とは?
ちなみに、スライサーソフトとは、「3Dデータをプリントデータに変換するソフトウェア」です。最近では、3Dプリンターの管理やモデルの修正もできるようになっています。
Creality Print 6.0は、前のバージョンよりも処理速度が向上しています。加えて、シームやオーバーハングの機能も追加されていますね。
また、前のバージョンでは、ソフトが強制終了することがありましたが、良くなっているように感じました。
ただ、マルチカラーをやろうとすると情報量が多くなりがちですので、やっかいな配色をしてしまうと、パソコンへの負荷は大きくなってしまいます。その辺も解消してくれるとうれしいですね。
Creality Print 6.0の操作画面について
まだCreality Printをインストールしていない場合は、ダウンロードしてインストールしておきましょう。
ダウンロードサイト ※外部サイト
ダウンロードファイルを実行するとウィザードが表示されるので、次へと進めれば、問題なくインストールできます。
Creality Printを起動すると、このような画面になります。
上の「準備」タブはプリントの条件を決めるところです。例えば、モデルの置き方やフィラメントの種類などの条件を設定します。
「プレビュー」タブは、最終確認をするところです。例えば、「プリントにかかる時間」や「フィラメントの使用量」を確認することができます。
「デバイス」タブでは、ネットワークに接続された3Dプリンターの管理を行います。
では、引き続き「準備」タブ内を詳しくご紹介します。
画面の左上には「プリセット部」があります。ここでは、3Dプリンターやプレートの種類を選択します。
真ん中上にあるツールバーで、モデルの編集を行います。例えば、モデルの大きさを変更したり、分割・色塗りなどをすることができます。
右上には、フィラメントを管理するところがあります。マルチカラーの場合は、こんな感じで何色もセットすることになります。
その下にある「プロセス部」では条件を設定します。例えば、層の厚さや密度、サポートに関する設定をします。
準備からマルチカラープリントまで
今回は、Creality Hyper PLAというフィラメントを使います。
<フィラメントのセット>
Hyper-PLAを4色セットします。ちなみにこのフィラメントには、RFIDタグが付いていて、スライサーソフトに情報が同期されて、とても便利です。
3Dプリンターの機種を設定していきます。画面左上のプリンターのプルダウンをクリックし、「プリンターの選択・削除」を選択します。
機種を選択する画面が表示されるので、Creality Hiを選択します。確認ボタンをクリックします。
<ネットワークに参加する>
続いて、3Dプリンターをネットワークに参加させます。歯車マークをタッチし、「ネットワーク」タブをタッチします。検索されたSSIDを選択し、プレシドキーを入力しネットワークに参加します。
LANポートはありませんので、Wi-Fi環境が必要になります。
続いて、Creality Printの「デバイス」タブをクリックします。「スキャン追加」を選択します。
すると、ネットワーク上の3Dプリンターが検索されるので、該当の機種にチェックを入れます。一覧表に戻り、アクティブ状態になればOKです。
ちなみに、「詳細」ボタンをクリックすると、3Dプリンターの現在の状態や、撮影したタイムラプスなどを確認することができます。
<カラーマッピング作業>
続いて、フィラメントのカラーマッピングを行います。カラーマッピングは、CFSにセットした1から4までの、それぞれのフィラメント情報をスライサーソフトの各番号に割り当てる作業です。
まず、準備タブをクリックし、右上のフィラメント欄を確認します。
CFSにセットしてあるフィラメントの色や種類が同期され、「CFS1」という欄に表示されます。1A・1Bの欄に色が入っている場合は、フィラメントのRFIDタグを読み取れています。
この下の欄は、スライスソフトが保有しているフィラメントの情報です。基本的には、CFS1と同じ色がマッピングされます。注: ↓の画像は色が一致していません。
あくまでスライスソフト内だけの情報なので、プラスやマイナスボタンを押すと、自由に増やしたり減らしたりすることにできます。
このCFS側とスライスソフト側の情報が、混乱しやすいので、整理しておきましょう。もし手動でマッピングしたい場合は、この部分をクリックし、任意のものを選択することができます。
<色付け>
続いて、モデルに色付けを行っていきます。モデルを配置し、ツールバーにある「色塗り」を選択します。
フィラメントの項目で色を選択します。
ツールタイプでパターンを選択します。円形や球体、三角形、塗りつぶしなどの種類があります。
個人的には、円形や球体をよく使っています。
ペンサイズのみをスライドして、ツールの大きさを調整します。左側に寄せると、細かい部分の色塗りがしやすくなります。
試しに、爪の部分を塗ってみます。この要領で、色付けしたい部分をどんどん塗っていきます。
複雑な配色にしすぎるとプリント時間が長くなってしまうので、その点も考えながら配色していきます。
<プリント条件を決める>
続いて、プリント条件を決めていきます。プロセス部のプルダウンをクリックすると、積層ピッチのパターンが表示されます。標準値は0.2mmとなっており、値が増えると解像度が荒くなり、値が少ないと細かくなります。
まず最初は0.2mmを選び、慣れてきたら違う数値も試してみましょう。
また、このタブの部分では、強度や速度、サポートの有無を細かく設定することができます。これもプリントに慣れてきたら、強度やプリント時間のバランスを考えて適宜調整しましょう。
プレビューを確認
プリント条件が決まったら、「スライス」ボタンをクリックします。
すると、プレビュー画面に移行しますが、モデルの情報量が多いと処理時間がかかるかもしれません。今回のモデルもマルチカラーで情報量が多めなため、スライス処理中はパソコンがうなっていました。
プレビュー画面では、プリント時間やフィラメント使用量などが表示されます。マルチカラーはプリント時間が長くなることが多いので、時間はしっかりと確認しておきましょう。
また、各色にはチェック欄があります。このチェックを外すと、その色が非表示になります。
色塗りをした際に、思わぬところに色付けされていることもあるので、このような機能を活用して配色ミスがないかを確認しておくとよいでしょう。
<印刷開始>
プレビューで最終確認が終わったら、「送信印刷」ボタンを選択します。
すると、このようにマッピングの画面になります。ここで最後に、色や種類、配色に問題がないかを確認します。もしマッピングをし直したい場合は、クリックして修正することも可能です。
問題がなければ、「送信印刷」をクリックします。ちなみに、「送信のみ」のボタンは、3Dプリンターにデータだけ送信し、プリントはしません。なので、本体のパネルもしくはCreality Printのデバイスから、ジョブを実行する必要があります。
これでプリントが開始されます。実際にプリントして出来上がったのが、こちらです。細かい部分の配色は、思ったようにプリントすることができました。マルチカラーでプリントすると、単色とは違った雰囲気になるので、新鮮ですよね。
RFIDタグのないフィラメントでプリントする方法
ご紹介したように、RFIDタグは便利ですが、まだまだタグが付いていないフィラメントも多くあります。そこで、タグなしフィラメントのマルチカラープリント方法をご紹介いたします。
今回は、「Soleyin」というRFIDタグのないフィラメントを使ってみます。SoleyinフィラメントはCreality社が製造しており、光沢感が抑えめで淡い色が特徴です。値段は2,000円くらいで購入できるので、安いのも魅力ですね。
では、まずSoleyinフィラメントをCFSにセットしていきます。
Creality Printを起動し、CFSが認識されていることを確認します。はてなマークになっていますが大丈夫です。これはCFSは認識されていますが、フィラメントの情報が認識されていない状態です。
もしCFS自体が表示されない場合は、本体やCreality Printを再起動してみましょう。
続いて、Creality Hiのパネルで制御ボタンをタッチ。「1A」をタップし、「Edit」をタップします。
フィラメントの情報を選択していきます。
●Brand:フィラメントメーカーの選択
● Type:PLA・ABSなどの種類の選択
● Color:フィラメントの色を選択
● Name:製品名を選択
● Nozzle temp:ノズルの温度を設定
これらを1Aから1Dまで、それぞれに設定すればOKです。
Creality Printの画面からでも設定することができます。やり方は、まず「デバイス」タブをクリックし、右下にある「消耗品」欄を確認します。
ペンマークをクリックすると、ブランドやタイプ、カラーの項目を編集することができます。先ほどパネルで行ったことを、こちらでも設定できますので、使いやすい方を選びましょう。
準備タブに戻ると、CFS1の欄に手動で設定したフィラメントの情報が表示されます。
次に、フィラメント1のこの部分↓をクリックし、手動設定したフィラメントを選択していきます。この要領で、他の3つも手動でマッピングをしていきます。あとは通常通りスライスして、プリントをすれば完了です。
試しにスレインフィラメントでマルチカラープリントをしてみました。かなりポップで可愛い感じになりますね。仕上がりもとても良い感じです。
このように、RFIDタグがなくても使いかけのフィラメントを活用することができますので、いろいろな配色で試してみてください。