この記事で分かること
・ Ender-3 V3 で造形をしてみた感じ
・ Ende-r3 V3 の注意点
Ender-3 V3とは?
Creality 「Ender-3 V3 SE」や「Ender-3 V3 KE」に続く、Ender-3シリーズの集大成です。CoreXY構造にもかかわらず、高速で安定した3Dプリントをすることができます。
大型サイズ「Ender-3 V3 Plus」も登場!
プリントワークサイズが「300mm×300mm×330mm」の大型サイズも登場しています。より大きいものを作りたい場合はこちら!
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Ender-3 V3の特徴について
① ハードウェアが頑丈
フレームは、プラスチックではなくアルミ製で、しっかりとした構成になっています。
フレームとシャーシの固定も、単純にねじ止めするだけでなく、はめ合いをしてからネジ止めをしているので、ブレにくくなっています。
またビルドプレートは、手で揺らしてもグラつきはほとんどありませんでした。2本あるY軸のレール幅も広がっていて、これも揺れにくくなっているポイントです。
製品によってはテーブルを揺さぶると、ガタガタ揺れてしまうものもあります。それがほとんどないのはすごいと思います。
続いてZ軸のモーターですが、左右にそれぞれ取り付けられています。片方だけの製品も多いですが、2つあることで昇降の速さや、安定度が増します。
こんな感じで、構造がしっかりしているため、安定したプリントをすることができるようです。
② 高速プリントができる
これまでは、Creality K1Cのような、箱型のタイプでは高速プリントができていました。ですが、CoreXZ構造でこの速さを出すことができるのは、画期的です。
3Dベンチのデータは13分でプリントすることができました。驚異的な速さですよね。
また、大体これくらい↓の大きさのものであれば、数十分から1時間以内で、プリントできちゃいます。量産したい大きいものを作りたいといった方はメリットは大きそうです。
ただ最大速度は600mm/sなんですが、標準メーターは300mm/sとなります。実際のところは、速度が下がる点に注意が必要です。
③ カーボンファイバーが使える
カーボンファイバーが混ぜ込まれたフィラメントは、軽さの割に強度が高いといった特徴があります。
Ender-3 V3のノズル先端部は、硬化ステンレスが使われていますので、PLAベースのカーボンファイバーを使うことができます。
ちなみにノズルは、購入することもできます↓。
ナイロンベースであるPA-CFは、非推奨となっていますので注意が必要です。
もしナイロンカーボンを使う場合は、後付けのエンクロージャー↓を取り付けたり、Creality K1Cのような、ボックスタイプを使うと、成功率は上がりやすくなります。
Creality K1Cについては、こちらの記事↓も参考にしてください。
関連記事:Creality K1Cのメリット・特徴
ちなみにノズル交換は結構簡単で、まずはカバーのネジを2本取り外します。
カバーを外したら上に退避しておきます。
ノズルシリコンカバーを取り外します。この時Z軸が下がっちゃいますが、やりにくければロックすることもできます。
スパナでノズルを回せば取り外すことができます。簡単ですよね。
ちなみにEnder-3 V3とCreality K1Cのノズルを比較すると、こんな感じ↓です。全く同じものでした。
④ 初心者でも導入しやすい
例えば、手動だと面倒な「レベリング調整」「Zオフセット調整」「ロード・アンロード」の項目は、全て自動で行ってくれます。
振動キャリブレーションもボタンを押すだけで自動で行ってくれます。
また、少量ですが、お試し用のフィラメントが入っています。必要な工具なども、一通り揃っていますので、心配はなさそうです。
セットアップに関しても、ネジの組みつけは必要なものの、「20分程度」で完了することができます。迷うところはほとんどありませんでしたので、比較的簡単にできます。
⑤ AIカメラを使うことができる
オプション品にはなりますが、このような↓AIカメラを追加することができます。
TypeAのUSBコネクターを、本体側面のポートに接続して使います。このカメラのいいところは、固定するタイプではないので、好きな角度でカメラを設置することができる点です。
カメラの映り具合はこんな感じです↓。結構滑らかでいい感じです。監視やタイムラプスを使えましたので、興味のある方にはオススメです。
また部屋が暗くても、映像を映すことができる「ナイトビジョンモード」という機能が搭載されています。こんな感じ↓のモノクロ映像にはなりますが、暗い環境でも撮影することができます。
このカメラは、Ender-3 V3以外でもEnder-3 V3 KEなど、他の機種でも使うことができます。複数台持っている方は、1つあるといいかもしれませんね。
いろいろプリントしてみた結果
最初はCreality Hyper PLAの青のフィラメントを使っていきます。通常のPLAよりも、高流量を出力することができる高速プリントに対応した、フィラメントです。
まずは3D Benchyをプリントしました↓。これは0.25mmピッチでプリントしたものです。およそ綺麗にできていますね。船首の積層が少し荒いかなという感じはしましたが、全体的に問題はなさそうです。
続いてこちらは0.1mmの石走ピッチでプリントしたものです。こっちは細かい設定なだけあってかなり滑らかで綺麗にプリントできました。
2つを並べるとこんな感じです。0.1mmピッチの方が、光沢が少なくマットな感じになっています。前に試した時も、同じような結果になったんですが、ちょっと不思議ですね。
続いてはHyper PLAの白で試します。
これはスマホスタンドです。角度が変えられるようになっていて、全く問題なく普通に使うことができます。
↓これは、同梱されていたベンチマークのモデルです。この針のように細長い形状の細かいところまで、しっかりとプリントされています。この精度はすごいですよね。またブリッジもいい感じです。プリント速度が速いためか、こちらもあまり樹脂ダレせずに済んでいるようです。
あとオーバーハング部分の樹脂垂れが、ほとんど無いことに驚きました。ちょっとは崩れることが多いんですが、これはいい感じです。
続いてはカーボンPLAを試していきます。これも高速プリント用のHyper PLA-CFを使っていきます。Ender-3 V3は、カーボン対応のノズルが、最初から付いているので、そのまま使うことができます。
まずはベンチマークモデルです。積層面は、かなり綺麗に仕上ががっています。こちらもオーバーハング部分が、いい感じですね。
続いてカーボンのカードケースです。こちらも概ね大丈夫そうです。ただ糸引きが多いという感じがします。Creality K1Cと比べると、モデルを冷やす冷却ファンが簡易的ですので、その違いがあるかもしれません。
ただこれくらいなら手で取り除けるレベルなので特に問題にはなりませんでした。
Ender-3 V3の注意点
① 乾燥ドライヤーの組み合わせについて
注意点の1つ目は、フィラメント乾燥ドライヤーとの組み合わせについてです。
フィラメントを挿入する差し口は、このようになっています↓。エクストルーダーのZ軸が下に下がると、それに伴ってフィラメントは押し下げられます。
付属のフィラメントホルダーを使う分には全く問題はありませんが、上からフィラメントを出すタイプの乾燥ドライヤーだと、差し込みにくくなります。下の方からフィラメントを出すことができる乾燥ドライヤーを選んで使う必要があります。
② 動作音が大きい
注意点の2つ目は、「動作音が大きい点」です。今のところ、高速プリンターの宿命になっていますね。
試しに、高速プリント中の動作音を計測してみます。低速時だと60dBから70dB程度ですが、瞬間的に80dBくらいになる時があります。
続いてエンクロージャーをした状態を計測します。およそ58dBから、63dBあたりに落ち着きました。防音効果がありますね。
エンクロージャーは防音以外にも、保温効果もありますので、気になる場合には検討するのがいいと思います。
また、サイズ的にエンクロージャーに入るか心配でしたが、斜めにすれば入れることができました。
③ 振動について
注意点の3つ目は「振動」についてです。これも高速3Dプリンターの宿命ですが、振動が大きいです。
頑丈な机に置いたり床置きするなど置き方に注意しましょう。また、外装カバーが無いので、触れてしまうとケガをします。特にお子さんがいる場合は、エンクロージャーを使うなど対策をしておいた方が良いです。
④ ファームウェアについて
最後は注意点というわけではありませんが、ファームウェアのアップデートについてです。
機械のセットアップ後に、ファームウェアのアップデートをすることで、不具合バグが改善されることがあります。
私が使ってみた段階では、バージョン1.2.1.13がリリースされていました。アップデートしない方も結構いらっしゃるようですが、Wi-Fiに接続しておけば簡単に行うことができますので、アップデートしておくことをお勧めします。
アップデート後は、振動調整レベリング調整をやり直す必要がありますので、その辺りも実施しておきましょう。