これまでに、多くの3Dプリンターが販売されていますね。機種によって、さまざまな特徴があります。
そこで本記事では、各メーカーの業務向け3Dプリンターをご紹介していきます。
展示会に行ってきた!
展示会で確認した3Dプリンター動画も、ぜひご視聴ください。
BambuLab H2D
H2Dは、なんといっても3Dプリンター以外にも「レーザー彫刻・カッティング・プロッティング」もできる点です。※ 専用キットが必要です。
また3Dプリンター機能も、とても精度や機能が良いため、現在のFDM3Dプリンターを台頭しています。
また、ビルドボリュームは350×320×325mmのサイズまでプリントすることができますので、しっかり業務用サイズになっています。
その他にも、チャンバー搭載、デュアルノズル機構、オートZオフセット搭載、など多くの機能があります。
詳しくは、レビュー記事も参考にしてください↓。
関連記事:BambuLab H2Dってどんな機械? メリットや特徴・注意点を徹底解説!
そして、複数のフィラメントを自動で切り替えてくれる、AMS 2 Proがリリースされています。
AMS 2 Proは、以前のAMSの機能に加えて、自動換気機能やヒーター機能が追加されています。
そしてAMS 2 Proは、すべてのBambu Lab製品に対応しているので、X1EやP1Sといった過去の製品でも使うことができます。
すでに機器を持っている方でもアップグレードできるのはうれしい点ですね。
関連記事:【どんな機械?】Bambulab P1Sを徹底レビュー!
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Plusa XL
Plusa XLはFDM方式の3Dプリンターで、エクストルーダー部が連なっているのが印象的です。
Plusa XLの特徴は、材料の浪費を抑えられる点です。
よくあるシングルエクストルーダーのプリンターでは、材料を切り替えるたびにパージが行われるので、フィラメントの消費が激しくなってしまいます。パージされた樹脂は、ゴミとなってしまうので、時間もフィラメントももったいないですよね。
ところがプルサXLでは、ツールチェンジャータイプが採用されており、個別のヘッドを5つ搭載しています。それにより、パージをしたりワイプを作る必要がなくなるため、大幅なプリント時間短縮と材料削減につながります。
当然、このツールチェンジャーのおかげでマルチマテリアルに対応しているので、いろいろな材料を組み合わせることができます。
例えば、軟質のフレックス系とPETGを組み合わせたり、専用サポートフィラメントを使うことも可能です。高速のツールチェンジャーで素早く切り替えながらプリントできるのはいいですね。
また、ビルドボリュームは360mm角あるので、大きいサイズでプリントできます。
そして他の機種のようなデュアルノズル機構だと、左右のエクストルーダーによって、ビルドボリュームの使用できる範囲が変化してしまいますが、Plusa XLはツールチェンジャー機構なので、プリントエリアが狭くなったりしません。
余すところなくエリアを使えるのも良い点だと思います。
注意点としては、チャンバー機能はありませんので、高温度帯のフィラメントはやや不向きです。ですが、オプションのエンクロージャーを取り付ければ、庫内を45℃くらいは保つことができます。
また、Plusaならではですが、「3Dプリンターは組み立て済み」か「自分で組み立てる」かを選択することができます。それによって料金に違いがありますので、少しでも費用を抑えたい場合は、自身で組み立てるのは良いと思います。
BambuLab X1E
X1Eは、マルチカラープリントができるAMS(自動素材供給システム)を早い段階でリリースしていました。導入実績も多いです。ただ、現在はBambu Lab H2Dが販売されており、そちらの方が高スペックとなっています。
X1Eはチャンバー機能を搭載していて、庫内を最高60℃まで温めることができます。それにより、PPA-CFやPPS-CFグラスファイバーなどのフィラメントにも対応しています。
また、その他にも自動停止機能やオートZオフセット、カメラ、Wi-Fi機能付きといった具合に、最新の機能を搭載しています。
ただ、ビルドボリュームは256×256×256mmと、業務用としてはやや小さめです。もっと広いエリアを使いたい場合は、H2Dも検討する必要があります。
関連記事:【Bambu Lab X1E】特徴・メリットはこれ!製品レビュー!
Raise3D Pro3 HS
Raise3D Pro3HSはPro3の後継機種になります。Pro3よりもプリント速度が強化されていて、最大300mm/sまで出力可能です。
Raise3Dの特徴の一つが、純正フィラメント以外のフィラメントも保証している点です。通常だと、他社製のフィラメントは対応していないとしているところが多いですが、Raise3Dは保証対象としています。
企業の枠を超えているため、汎用プラスチックはもちろん、エンジニア系・強化繊維系フィラメントなど、幅広い取り扱いをしています。ただし、どのメーカーでもサポートしているわけではなく、しっかりと検証が行われたものだけが対象となりますのでご注意ください。
そして、Pro3HSのホットエンドはカートリッジタイプになっていて、取り外しがとても簡単です。他社製の3Dプリンターでも、交換はカンタンになっていますが、Pro3 HSはレバーを上げるだけで取り外せます。
私の知る限りだと、Raise3D Pro3HSが一番簡単に交換できます。
また、注意点としては調整が完全自動ではない点です。
近年ではノズルとプラットフォームの高さを自動で調整してくれる機器が増えていますが、Pro3 HSは半自動となっています。多少、人が判断して調整値を入力する必要があります。
また、チャンバー機能はありませんので、その辺りも注意点となります。
formlabs Form4 / 4L
Form シリーズは、光造形機としてはメジャーです。
Form 4は、Form 3+の後継機で、Form 3+よりも大幅にプリント速度が上がっています。
最大100mm/hまで出力することができ、Form 3+よりも、だいたい2倍から5倍くらい速度が向上しています。
また、ビルドボリュームも大きくなっています。Form 3+では145×145×193mmでしたが、Form 4では200×125×210mmになっており、最大30%アップしています。
また、Form 4Lは353×196×350mmとなっていて、さらに大容量となっています。
材料もいろいろなものがあります。スタンダードなものから、硬いリジッドレジン、衝撃性に強いタフレジン、高耐熱のハイテンプレジン、透明性が高いクリアレジンや、柔らかいものにも対応しています。
製造・工業系の現場では「FDM方式」の方が主流ですが、材料の幅が広がっていることで、光造形機を使うケースも増えています。
MarkForged FX10
Markforgedは、強度を重視したFDM方式の3Dプリンターとなります。価格は「数百万円から数千万円」しますので、主に企業向けとなります。
FX10の最大の特徴は、樹脂または金属を造形することができる点です。FX10メタルキットを取り付けることで、金属フィラメントでの造形が可能となります。
樹脂プリントについては、「Onxy(オニキス)」と呼ばれるナイロンベースのフィラメントを使います。このフィラメントは、FDM方式とは思えないくらい、とてもキレイな仕上がりになります。
また、Onxy以外にも「強化繊維フィラメント」というものがあります。強化繊維をプリントに入れ込むことで、アルミニウムに匹敵するほどの強度を得ることができます。
この強化繊維フィラメントにもいくつかの種類があり、カーボンファイバーやケブラー、ファイバーグラスなどがあります。この種類によって強度に大きな差が生まれます。
金属に近い強度を出せることから、金属からの置き換えを検討している企業には、とても強いニーズがあります。
また、金属の造形では「SUS630」ステンレスを使用することができます。SUS630は耐久性や強度が高い金属素材です。
将来的に金属プリントも視野に入れるのであれば、FX10はメリットがあります。
Stratasys ORIGIN ONE
ORIGIN ONEは、DLP方式の光造形3Dプリンターです。縦長な筐体がとても印象的で、操作パネルがキレイで本体とマッチしています。
ヘンケル3955という材料を使うことができます。これは引張弾性率3,556MPa(メガパスカル)もあり、耐熱温度は285℃あります。それにより、航空機の油圧ケーブルクランプや、油圧パイプの固定にも使われています。
このように、試作や治具のみならず、実際に使うことができる「最終系の部品」をプリントできてしまいます。
他の光造形機でプリントをしようとしても、「レジントレイのフィルムが剥がれない」といった不具合がおきてしまいますが、ORIGIN ONEでは、空圧分離の技術によってプリントが可能になっています。
またほかに軟質系の材料や、ABSなどの代替えも使えるので、汎用性がとても高い3Dプリンターです。
FLASHFORGE CREATOR 4S
「オートレベリング」や「多様な樹脂が使える」というメリットのある機種です。最大のポイントは以下の通りです。
① ヒートチャンバー搭載による庫内温度の維持
ヒートチャンバーとは、庫内の温度を維持するための装置です。
最大65℃まで温めることができます。それにより「プラットフォームの剥がれ」や「クラック(積層割れ)」などの問題を軽減することができます。
またプリントが難しい樹脂、たとえばPA(ナイロン)CF(カーボンファイバー)などのプリントも安定して行えるようになります。
② ノズル温度は最大360℃まで上げることができる
ノズルは、360℃まで昇温することができるので、炭素繊維(カーボン)のプリントを行うことができます。
実際にCF(カーボンファイバー)とHIPSを使った造形物を見させて貰いましたが、キレイに仕上がっていました。
サポート材料には、HIPSを使います。リモネンという溶剤で溶かすことができますので、サポートが取りにくい形状に向いています。
FLASHFORGE GUIDER3
シングルエクストルーダーのため、「専用サポート」や「コピー造形」「エクストルーダー故障時の切り替え」などはできませんが、大きいモデルをプリントする場合にはとても効果を発揮します。
こちらも近年では標準化している「フィラメント検出」や「オートレベリング」を搭載しています。最大のポイントは以下の通りです。
① 最大250mm/sの高速印刷
CREATOR 4Sよりも速度は速いです。GUIDER3は、250mm/sの高速プリントが可能です。
X軸、Y軸に工業用のリニアガイドレールが使われています。これは摩擦が少なく直線的な動きなるため、高速印刷が可能となっています。
② 低騒音
高速印刷をすると、どうしても音が大きくなってしまいますが、50デシベル以下の低騒音を実現しています。
CreatBot PEEK-300
① 超高温出力が可能
ノズル温度は最大500℃まで、テーブルは200℃まで上げられるため、スーパーエンジニアプラスチックもプリントすることができます。
かなり高温になるため、水冷の冷却方式が使われています。それによりエクストルーダー付近への熱伝導を遮断しています。
② 高温ヒートチャンバを搭載
庫内温度を120℃に保つヒートチャンバを搭載しています。それにより樹脂の収縮を、軽減させることができます。
ここまで高温出力ができる3Dプリンターはレアですね。その分、安定してプリントをすることができ、なによりスーパーエンプラを求めている方はとても興味があるかと思います。