原因は大きく3点に分けて考えていきたいと思います。
- 使用方法間違によるもの
- 部品不良によるもの
- 樹脂によるもの
剥がすのに役立つ工具
1.スクレーパー
造形物とプラットフォームのスキマに挿入し、剥がしやすくするツールです。
2.プラスチックハンマー
ガチガチにくっついてしまったとき用に、スクレーパーの柄を叩いて使用します。
使用方法間違いによるもの
ではここから、原因や対処方法をまとめていきます。
1.スキマ間隔が適正に調整されているか
たとえば下記のような「シックネスゲージ」または「スキマゲージ」と呼ばれるツールを、プラットフォームとノズルの間に挟み込み、接触する感覚をもとに調整を行います。
また機械によっては、この高さ調整を自動(オートキャリブレーション)で行ってくれるものもあります。
2.テーブルが平面になっているか
テーブルの3か所や4か所でスキマ調整を行う機械もあれば、自動的に調整(オートキャリブレーション)を行う機械もあります。お使いの機械によって適切な調整を行う必要があります。
3.ノズルやテーブル、庫内の温度は適正か
適切な温度はスライサーソフトのパラメーターに記載されていたり、フィラメントのボビン、またはマニュアル・メーカーサイト等に記載がありますのでご確認下さい。
4.流量(FLOW・吐出量)は適正値になっているか
排出する量が多いとプラットフォームに接着しすぎてしまいます。ラフトを使っている場合は「ラフトの1層目の流量」が適正になっているかを確認してください。
5.押出幅は適正値になっているか
当然のことながら、線が太くなってしまうとプラットフォームとの接着力が上がってしまいます。またラフト使用時は、「ラフト1層目の押出幅」を確認してください。
部品不良によるもの
1.プラットフォームに汚れ・キズ・浮き・ヨレなどはないか
例えばプラットフォームが盛り上がっていたり、シートがめくれ上がっていると不要に密着してしまいます。また汚れや糊(ノリ)などが残っていると同様に影響がでます。
この場合は、プラットフォームの清掃や交換を行う必要があります。
使い捨てのシートなども販売されていますので、宜しければ確認してみてください。
2.プラットフォームテーブルが平面にならない
オートキャリブレーション(自動補正)を行ってくれる機械であれば、多少のゆがみはシステムが補正してくれるので問題ありません。ところがこの機能がない場合は、テーブルが歪んでしまうと影響がでてしまいます。
ラフトは「仮のテーブルを敷きなおしてくれる」という機能です。それによりテーブルの不良を緩和してくれるメリットがあります。1層だけではなく5層以上のラフトを使うと良いでしょう。
FDM(熱溶解積層)の3Dプリンターでよく使用されるラフトやスカートという機能はご存じでしょうか? 今回は、それぞれの「役割」や「使いどころ」なんかを詳しく解説したいと思います。 ラフトと[…]
樹脂によるもの
例えばPC(ポリカーボネート)という樹脂は、テーブルにガチガチに張り付いてしまう事があります。
※下記の写真は、ガチガチに張り付いたものをスクレーパーで剥がした際の写真です。
1.1層目の流量を下げる
流量とは「樹脂の排出量」のことですが、「1層目の流量」を減らしてみてください。
2.1層目の高さを変更する
1層目の高さを変更することによって、プラットフォームと造形物の間隔を広くすることができます。
3.ギャップ値を変更する。(設定で1層目の高さが変えれない場合)
上記で「1層目の高さを変えれないソフト」を使っている場合は、プラットフォームとノズルの間隔を広くしてみてください。
この場合は、シックネスゲージを使って調整する必要があります。0.2mmで調整していた場合は、0.3mmにしてみて下さい。
まとめ
項目 | 確認項目 | |
① | 設定方法間違いによるもの | 1.スキマ間隔が適正に調整されているか 2.テーブルが平面になっているか 3.ノズルやテーブル、庫内の温度は適正か 4.流量(FLOW・吐出量)は適正値になっているか 5.押出幅は適正値になっているか |
② | 部品不良によるもの | 1.プラットフォームに汚れ・キズ・浮き・ヨレなどはないか 2.プラットフォームテーブルが平面にならない |
③ | 樹脂によるもの | 1.1層目の流量を下げる 2.1層目の高さを変更する 3.ギャップ値を変更する。 |
関連記事
今回は、テーブルから剥がれない場合でしたが、逆に剥がれてしまう場合もあります。対処方法を記事にしておりますので、合わせてご確認下さい。
FDM(熱溶解積層)方式において、造形物が剥がれる・浮くという課題があります。 原因は大きく分けて3点ほど挙げられます。それぞれ詳しく説明していきます。 使用方[…]