今回は、Creality「HALOT MAGE S」を、しっかり使ってみましたので、レビューをまとめます。
本記事でわかること
・ このプリンターのメリット
・ このプリンターの注意点
HALOT MAGE Sについて
HALOT MAGE Sは、「14Kの高解像度」で、「150mm/hの高速プリント」ができる機種です。Creality 独自のレジンポンプ・ダイナックスモードなど、最新機能が搭載されている機種です。
また、ELEGOO Saturn 4 Ultraと比較しましたので、参考にしてください↓
関連記事:Saturn 4 Ultra【VS】HALOT-MAGE Sの違いを徹底比較!
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使ってわかった! HALOT MAGE Sの特徴【4選】
① 高速プリント
HALOT MAGE Sでは、「通常速度のモード」と、「ダイナックスモード」という、モードが用意されています。
一般的な3Dプリンターでは、スライスソフトで速度などを決める必要があります。HALOT MAGE Sでもこのやり方はできますが、それに加えてプリンター本体にも、パラメーターを保持しています。
これの何が良いかと言うと、「簡単にパラメーターの修正ができる」という点です。いちいちパソコンに戻って修正すると、時間や手間がかかってしまいます。ですがこの機種では、速度や露光時間などを、楽に修正することができます。
また、通常モードとダイナックスモードは、ワンタッチで切り替えることができます。
では実際の、ダイナックスモードが「どれくらいの時間短縮になるか?」というお話ですが、通常モードで「6時間」ほどかかるモデルが、ダイナックスモードだと「4時間」くらいに短縮されました。結構変わりますね。
続いて操作の流れについてですが、まずはスライサーソフトで、サポートなどの設定をしてスライスしておきます。それを本体側にデータをアップロードしておきます。
操作パネルで、「通常」か「ダイナックス(Dynax+)」かを切り替えておきます。
プリントしたいデータを選んだ後、「ファイルのパラメーター」もしくは「本体のパラメーター」のどちらを採用するか選びます。慣れるとそこまで難しくはありません。
↑「プリンタパラメータ」を選ぶと、本体内のパラメータが採用されます。
② 使いやすい設計
カバーは、簡単に開閉することができます。取っ手部分があるので、片手で開けられるのは、ありがたいです。
操作パネルは、4.3インチのカラースクリーンです。タッチ感度はとてもいい感じで、ストレスは特に感じられませんでした。
↑日本語にも対応しているのでとても分かりやすいです。ただ、項目がやや多めなので、初めての人だと迷うかも。
③ レジン自動補充・回収
オプション品にはなりますが、このようなスマートレジンポンプを取り付けることができます。
こんな感じで向かって左側に取り付けます。レジンボトルにチューブを差し込んで、バッド内にレジンを供給していきます。結構スムーズにレジンが送られていきます。
また、回収するときは、ヘラでかき集めると効率が良いです。思っていたより、ちゃんと回収できました。
④ 活性炭フィルター
HALOT MAGE Sには、大きめの「活性炭フィルター」が搭載されています。活性炭には、臭いの分子を取り除いてくれる効果を期待することができます。
排気用のファンを搭載しているので、このフィルターを通って、排出されるようになっています。ただ、臭いは取り切れないことがあるので、過度な期待をしすぎないようにしましょう。
こういった排気ホースを付属しています。本体の背面に接続できるようになっているので、臭いを屋外に排出することもできそうです。
⑤ その他の特徴について
項目名 | 詳細 |
造形方式 | MSLA |
ファイル転送 | USB、RJ45、Wi-FI |
印刷サイズ | 223×126×230mm(6462㎥) |
フィルム | Pictorフィルム、通常FEPフィルム |
本体サイズ | 333×270×608mm |
スマート | レジンポンプオプション |
パッケージサイズ | 421×356×672mm |
重量 | 13.13kg |
テストプリントしてみた結果
① 使ったレジン・洗浄・2次硬化機
今回は、SK本舗さんの「高耐久水洗いレジン」を使いました。
透明(クリア)を使います。通常のレジンよりも、靭性・強度が高いです。ビルドプレートから剥がす際に、割れてしまったり、ヒビが入ってしまうといった場合は、これを使ってみるのもいいと思います。
↑臭いは、抑えめになっていたので、使いやすいです。また、レジンは水で洗い流すことができるのも良いですね。
また洗浄・二次硬化はUW03を使います。
容量は大きいので、ビルドプレートごとスッポリ収まります。小さいモデルであれば丸洗いできます。
↑この写真は、Saturn 4のビルドプレートですが、HALOT MAGE Sのプレートも収まります。
② プリントしてみた結果
まずは、ベンチマークモデルをプリントしました。
細かい文字や模様は、申し分ないくらいキレイにプリントできています。14Kの解像度なので、とてもいい感じですね。
続いて、ダイナックスモードでプリントしてみました。こちらも変わらないくらいにキレイにできてますが、こっちの方が、透明感が強い気がします。
通常モードとダイナックスモードであまり違いはないですね。むしろダイナックスモードの方が、光沢感が強い気がします。
↑これならダイナックスモードで、高速プリントしても良さそうですね。
続いて、フィギュアをプリントしてみました。持ってるアイテムや服装は、しっかりできています。
ダイナックスモードでプリントしましたが、こちら良い感じです↓
③ 強度テスト
せっかく高耐久レジンを使ったので、強度を試したいと思います。このような試験棒をプリントしました。
どれくらい曲げられるか確認していきます。
最終的に折れましたが、かなり曲げないと折れませんでした。強いですね。
④ 透明レジンについて
写真だとわかりにくいですが、レジンが少し黄色味がかかっています。透明の容器に入れてみると、こんな感じです↓
これは、レジンボトルの容器を、開けっぱなしにしたためでした。光には晒していませんが、空気に触れて変色したと思います。特に透明を使う場合は気をつけてください。
HALOT MAGE Sの注意点
① 音が気になる
ダイナックスモードは、モーターの回転速度が上がります。そのため、駆動音やファンの音が、少しだけ大きくなります。
試しにダイナックスモードで計測してみると、およそ55dBから66dBくらいでした。特にビルドプレートが上下に動く時に数値が上がるようです。
続いてエンクロージャーに入れて計測してみたところ、53DBから59DBくらいでした。FDMの高速機だと、70DBくらいまで上がることもあるので、それに比べれば全然低い数値です。
↑我が家ではこれくらいなら全く問題ないので、夜中にもプリントをしています。
エンクロージャーは、臭い・音・光の影響を抑えてくれるので、おすすめできます。
② レジンの臭い
レジンは、強い臭いを放つものもありますので、換気する必要があります。炭素フィルターが付いていますが、臭いは完全に消すことはできませんので、窓を開けたり、排気ホースを使ってうまく換気をしましょう。
自宅に換気システムを作ると、有害物質などから身を守ることができます。こちらの記事も参考にしてください↓
関連記事:自宅に換気システムを作ってみた!
HALOT MAGE Sをおすすめしたい方
① プリント時間を短縮したい方
1つ目は、短時間でプリントしたい方です。ダイナックスモードを使えば、短時間でプリントすることができます。仕上がりも良いため、積極的に使ってもいい機能だと思います。
② 大きいものを作りたい方
2つ目は、大きいものを作りたい方です。223mm×126mm×230mmサイズの大きなものをプリントすることができます。また、小物もたくさん数を並べてプリントすることができます。
③ レジン補充・回収が面倒な方
3つ目はレジンの補充、回収が面倒と感じる方です。オプション品ではありますが、スマートレジンポンプを追加すれば自動で供給・回収をすることができます。