各社によって、「仕上がり」や「値段」には違いがあります。
そこで今回は、メーカーの異なる「高速用PETGフィラメント」を比較しました。
この記事で分かること
・ コスパの良いフィラメント
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今回使ったPETGフィラメント【3選】
① eSUN ePETG+HS
まず一つ目は、「eSUN PETG+HS」フィラメントです。
eSUNは、安価で色々なフィラメントを販売しています。
公式のウェブサイトでは、推奨パラメーターを公開しているので、3Dプリンターに慣れていない人でも始めやすいです。
日本語サイトはありませんでしたが、海外サイトはありました。
② ELEGOO Rapid PETGフィラメント
2つ目は、ELEGOOのRapid PETGフィラメントです。
ELEGOOは光造形プリンターでも有名ですが、FDMフィラメントも販売しています。
商品情報は公開されていましたが、詳しいパラメーターについては見つけられませんでした。価格がとても安いというメリットがあるので、気軽に使いたい方にはおすすめです。
③ Bambulab PETG-HF
3Dプリンターは、精度の高いBambulab A1 miniを使います。
関連記事:【Bambu Lab】A1 mini combo(AMS Lite)を徹底レビューした!
プリントして比較する
① 温度について
それぞれのフィラメントでプリントした結果はこんな感じです。左がeSUN、真ん中がELEGOO、右がBambulabです。
まずeSUNですが、温度が部分は光沢感が強く、温度の低い部分は、光沢感が弱くなっています。不思議ですね。
続いてELEGOOです。こちらは低温でも高温でも光沢は強く出ています。今回の3つのフィラメントの中では一番光っていましたね。
また、どの温度帯を見ても、ブリッジ部分の垂れはなく、キレイにできています。
オーバーハング部分もヨレていることもなく、とても良い感じです。安いながらも品質も良さそうです。
続いてBambulabです。こちらは光沢は少なめでマットな感じです。ブリッジ・オーバーハング部分もキレイに出ていて、安定しています。
後ほどリトラクションテストもしてみますが、どのフィラメントもこの段階では大きな糸引きはありません。
② 仕上がりについて
続いて、3DBenchyを見ていきます。
まずはeSUNです。仕上がり自体はとてもキレイですが、光沢感の弱い層と強い層があります。
悪くはないのですが、それがムラになっているように見えてしまいます。
Orca slicerのプレビューを見てみると、層によって速度や流量が違うので、この影響を受けやすいフィラメントなのかもしれません。
続いてエレゴですが、こちらはどの層も均一の光沢感があります。ただし光沢量が強く、ピカピカしています。
続いてBambulabです。マットな仕上がりで、どの層も均一でとても良い感じです。パッと見はPLAやカーボンで作ったように見えます。
参考程度ですが、これはPLA-CFでプリントしたものです↓。マットな感じがかなり似ていますね。
今回の3つを比べるとこんな感じです。それぞれ違う仕上がりになったので、面白かったです。
昔使っていたPETGフィラメントは光沢感が強かったですが、最近ではメーカーによって違いがあります。
③ 折れやすさについて
続いてこんな試験棒をそれぞれプリントしてみました。
手でも曲げて折れ具合を確認していきます。まずはeSUNです。こんな感じでグーッと曲げています↓
PLAのようにバキッとは折れませんね。粘り気があって、スルッと折れる感じです。
続いてELEGOOです。ちなみにインフィルはどれも15%でプリントしています。これも遺産とほとんど変わりません。
続いてBambulabです。こちらもELEGOOと似ていますが、この中では一番パキッと感が強かったように思います。
どれも大体予想通りでした。PETGの独特な粘りを感じることができました。
④ MVS(最大体積押出速度)について
続いて、MVSの違いを見てみます。
このテストは、低層部の速度は遅く、上の層に行くにつれてドンドン速くなっていきます。どれくらいの速度まで問題なく樹脂が出力されるかというテストです。
まずはMVSの値スタートを15に、エンドを30にしてプリントしてみます。一般的なPETGフィラメントは、通常8くらいなので、速い速度で設定しています。
プレビューを見るとこんな感じ↓で、上の層に行くにつれて速くなり、流量は増えます。
① eSUN
まずはeSUNのフィラメントでプリントした結果です↓。造形線が途切れることはありませんでした。ただし上層部はヨレが出ています。
現実的な値は23くらいだと思いますが、正しくはノギスを測って、計算する必要があります。
② ELEGOO
続いて、Bambulabです。こちらもおよそ同じくらいですが、低層部が少し荒れ気味です。上の層は綺麗にできています。
どのフィラメントもほぼ変わらない結果でした。およそ23くらいの設定になるかなと思います。
次は試しにMVSの値をスタート30、エンド45に上げてプリントしてみました↓。
途中から吐出が追いつかなくなり、途切れ途切れになっています。ただ、低層部は意外とキレイに積み上がっていますね。
これだけ見ると30でも良いのかと思いますが、実際には、もっと複雑な形状になるので、控えめの数字が良いと思います。
次は興味本位で、MVSを30から45のままで、一般的なPETGフィラメントで試してみます。
これはさすがに厳しいのかなと思っていましたが、結果はこんな感じでした↓。
上層部は当然としても、低層部はかなり良い感じです。
予想は裏切られましたが、一般的なフィラメントでも高速プリントができるのかもしれません。
⑤ 糸引きについて
続いて、「糸引きの違い」を見ていきます。
糸引きは、エクストルーダーが移動した際に、ノズルから垂れた樹脂が引っ張られることで発生します。
症状が軽ければ手で除去できますが、ヒドイと取り切れずに見栄えに影響します。特にPETGは発生しやすいので、気にしておきたいところです。
糸引き対策については、こちらの記事も参考にしてください↓
今回は、Orca Slicerのリトラクションテストを使用します。
このテストは、2本の支柱をプリントして、ノズル移動時に発生する糸引き具合を確認することができます。
まずはeSUNをプリントしました。うっすら糸を引いていますが、今回の3つの中では一番薄かったです。手で除去できるので、あまり気にならないと思います。
続いてELEGOOです。そこまで多くはないですが、確認できる程度の糸引きは起きています。
続いてBambulabです。こちらも確認できる程度の糸引きが起きていました。うすい糸が多めですね。
こんな感じで、今回のテストではeSUNが一番薄かったようです。
糸引きはフィラメントの保存状態などの環境で、大きく変わりますので、注意してください。
乾燥ドライヤーなどを使って、予防しておくことをオススメします。
⑥ 価格について
続いて、価格について少しだけ説明します。
Amazon(概算) | 公式ストア | ||
① | eSUN ePETG+HS | 3,500円前後/1kg | |
② | ELEGOO Rapid PETG | 2,000円前後/1kg | |
③ | Bambulab PETG-HF | 5,500円前後/1kg | 5,500円前後/1kg |
価格は変動することがありますので、適宜確認してください↓
まとめ
本記事の内容をまとめました↓
eSUN ePETG+HS | ELEGOO Rapid PETG | Bambulab PETG-HF | ||
① | 光沢度 | 温度によって変化 | 強い | 弱い(マット) |
② | ブリッジの垂れ | 温度によっては発生 | 特になし | 特になし |
③ | 折れやすさ | 粘りの強い折れ方 | 粘りの強い折れ方 | 粘りの強い折れ方 |
④ | 仕上がり | 層によって光沢が違う | ムラ特になし | ムラ特になし |
⑤ | 糸引き | 少なめ | やや有 | やや有 |
⑥ | 価格 | 普通 | 安い | 高め |