品質の良いノズルは、トラブルが起きにくいという特徴があります。
そこで今回は、「kaika」という高品質なノズルを使ってみました。
「ノズルの付け替えを検討している方」「どういった違いはあるの?」といった疑問を持ちの方は、ぜひご覧ください。
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kaikaノズルについて
ノズルの型名には、種類があります。


なにが違う?
① シリアルナンバーが刻印されている
一つ目は「シリアルナンバーが刻印されている」点です。
そもそも一般的なノズルは、シリアルナンバーが無いので、消耗品という扱いなんですよね。
ノズルは、ある程度使ったら、交換が必要です。確かに、1つ数百円のノズルであれば、交換しちゃった方が良いと思います。
一方kaikaノズルは、トラブルが起きにくい設計で作られているので、大切に使えば、長く使うことができます。
つまりは「ロット管理された、品質の高い製品」という製品です。
② スムーズな押し出し
二つ目の特徴は「スムーズな押し出しができる構造」になっている点です。
樹脂は、滞りなく排出されなければなりません。
一般的なノズルは、端の部分に樹脂がたまりやすい傾向があります。
溜まった樹脂は、高熱がかかり続けてしまいます。するとコゲとなってしまい、これが悪さをしてしまいます。
例えばコゲが剥がれてしまい、ノズルの口を塞いでしまったり、またそのコゲが、造形物に付着してしまうという場合もあります。
そこでkaikaノズルは、内部のテーパー(いわゆる傾斜の角度)は、30度になっています。緩やかな傾斜にすることで、樹脂が溜りにくいようにします。
また経路の仕上げ方にも、こだわりがあるようです。例えば、舗装されていないガタガタ道を、車が通ろうとすると、前に進むことが困難になりますよね。
ノズルも同じで、樹脂の通り道がガタガタだと、そこに留まりやすくなってしまいます。
そこでkaikaノズルは、経路を研磨してるので、スムーズに排出されるようになります。
特に近年では、3Dプリンターのプリントスピードは、かなり高速化しています。高速化には、高い流動性が求められますので、時代にもマッチしている気がします。
③ 製造精度が高い
三つ目は「製品の製造精度が高い」点です。
安価なノズルは、穴の大きさにバラツキがあったり、穴の位置がズレていることも、たまにあります。
そのようなノズルを使うと、仕上がりが変わってしまったり、精度が落ちるといったことも起きます。
3Dプリンターは、材料の品質や、スライサーの設定値など、とても多くの要素が重なり合って成り立っています。
そのため、不具合になる要素を、1つでも減らすということは、とても重要だと感じます。
kaikaノズルを取り付ける
今回は、Ender-3 V3 SEという3Dプリンターを使います。
ちなみにEnder-3 V3 SEのノズル交換方法は、別の記事でもまとめています。
交換する前は、Ender-3 V3 SEの純正ノズルが付いていましたので、それを取り外していきます。
取り外すとこんな感じですね。そこそこプリントしたノズルですが、まだまだ使えると思います。
kaikaと純正ノズルを比べると、こんな感じです。ネジの部分が違います。
純正の方は、ストローク全体にネジ山がありますが、kaikaは一部だけです。
また、先端の傾斜角度も違います。kaikaの方が樹脂が、くっつきにくいという情報もありましたが、どうなんでしょうか。
ノズルの長さを測ったところ、純正・kaikaともに16.8cmでした。
kaikaノズルを、ヒーターブロックに取り付けていきます。こうやってみると先端の形状はちょっと独特ですね。
シリコンカバーを取り付けていきます。こんな感じで、ピッタリはまるようになっていました。
純正ほど先端が突出していないので、本当に樹脂がつきにくいのかもしれないですね。
他のパーツを組み立てて、エクストルーダーも取り付けます。なかなかいい感じになっています。
プリントしてみた結果
純正ノズルと、kaika 1010で、それぞれ造形したものを比較していきたいと思います。
① 3DBenchy
まず最初は、3Dベンチのモデルを、純正ノズルでプリントしたものです。改めてプリントしてみたら、すごく綺麗にできています。
正直、もう少しオーバーハングが目立つかと思ったのですが、全く問題ないですね。
続いて、kaikaノズルでプリントしたものです。高品質なノズルだけあって、こちらも綺麗に仕上がっています。
もう少し差が出るのかなと思いましたが、予想は外れました。
② ベンチマーク用モデル
続いて、ベンチマーク用のモデルです。
まず純正ノズルですが、綺麗にできています。オーバーハングの部分も、問題なさそうです。
kaikaノズルも、ほぼ同じぐらいいい感じです。ちなみに両方とも、同じスライスデータを使っています。
比べてみても違いはあまりなさそうです。こうやって見ると、純正ノズルの品質も、良い感じですね。
③ ベンチマーク用モデル(黄)
続いて、黄色のフィラメントでプリントしてみました。
色を変えると、見栄えが変わるので、どうなんだろうと思って試してみましたが、こちらもあまり大きな差は見られませんでした。
④ 花瓶
続いては、やや大きめの花瓶です。
ちなみに今回のプリントでは0.4mm系のノズルを使い、0.2mmの積層ピッチでプリントしています。
こちらは、純正ノズルでプリントしたものです↓
こちらは、kaikaのノズルでプリントしたものです。こちらも、あまり違いはありませんでした。
以上のように、今回のプリントでは大きな差は見られませんでしたが、これはこれでいい勉強になった気がします。
もしかすると、さらに稼働時間を重ねていったり、条件を変えると、違いが起きてくるかもしれません。
kaika1040は、Ender-3 V3 KEにも使えるの?
Ender-3 V3 KEにも使えるか?とコメントを頂きましたので、写真を載せておきますね。
↓の写真は、純正ノズルですが、ストロークの長さが違います。残念ながら付けることはできません。
kaikaノズルは、こんな場合におすすめ
① 仕上がりにこだわりたい場合
kaikaノズルは、流出量が安定していて、ムラになりにくい特徴がありますので、キレイな作品を作れます。仕上がりを良くしたい場合は、おすすめです。
② 故障率を下げたい場合
流動性の高いため、焦げにくい特徴がありますので、トラブルを回避したい方にはおすすめとなります。
③ 安心して使いたい方
シリアルナンバーが刻印されていて、高い品質管理が行われていますので、「とりあえずいいものを使っておきたい」という方にもおすすめとなります。
1mm径のノズルを使ってみた!
1mmノズルのメリット
① 短時間でプリントできる
最近はハイスピード機が主流となり、業界標準の0.4mmノズルでも、短時間で造形することができるようになりました。ですが、より大きいノズルを使うことでも、短時間でプリントすることができるようになります。
今回の1mmノズルは、さらに大きな時間短縮をすることができます。
② ノズルが詰まりにくい
ノズルの排出口が大きいと、コゲ・カス・ゴミなどが外に排出されやすくなり、詰まりが起きにくくなります。
特に木質・木粉フィラメントや、カーボンファイバーは、ノズル詰まりが起きやすいフィラメントなので、大きいノズルがおすすめになります。
1mmノズルのデメリット
① 糸引きがおきやすい
ノズル径が大きくなると、引き戻しが弱くなり、糸引きが起きやすくなります。
ちなみに糸引きを減らすための対策には、以下の方法があります。
・ ノズル温度を下げる
・ 引き戻し(リトラクト)調整をする
・ 冷却力の強い3Dプリンターを使う。
※ 糸引きについては、↓こちらの記事もご覧ください。
関連記事:糸引き対処方法
② ディテールの再現性が低い
径の大きいノズルは、細かい造形が苦手です。1mmノズルは、1本1本の造形線が太くなるので、再現性が劣ります。表面・底面に文字やデザインが施されている場合は、つぶれてしまうこともあります。
もしそのような場合は、0.6mmや0.4mm0.2mmなどの、もっと小さいノズルの方が向いています。
③ 積層痕が目立ちやすい
径の大きいノズルは、積層ピッチを厚めになるので、解像度が荒くなります。
厚めにすると、層が目立ってしまうので、見た目に影響してきます。
そのため3Dプリントしたものを、どのような目的で使うのかが、とても重要になります。
④ テンプレートが用意されていない
0.4mmや0.6mm・0.8mmのノズルは、パラメーター(ひな形)が用意されていますが、1mmノズルは無い場合があります。使っている3Dプリンターのスライスソフトを確認しておきましょう。
もし用意されていない場合は、メーカーに問い合わせたり・ご自身で調整するといったことが必要です。
kaika1mmノズルは、なにがすごいの?
① ダイスウェルコントール
ダイ・スウェル(Die Swell)とは、ノズルから「樹脂が膨らんでしまう症状」のことです。このダイスウェルを、しっかりコントロールできないと、線が太くなります。
そこでkaikaは、「2mm」の長いストローク(ストレート部)が設けられています。これにより安定した吐出が行えます。
② 砂時計
kaika1mmノズルでは、流動性が高くなっています。
これまでのkaikaでも、↓のように30℃のテーパー形状によって、流動性が保たれていました。
ところが、kaika1mmノズルでは、さらに滑らかな形状になっており、より流動性が保たれています。
ノズル詰まりなどの不具合が起きそうな箇所を、さらに発生しにくい形状に変更されていますね。これなら、まるで砂時計のように、サラサラと淀みなく落下していきそうです。
ラインナップ・価格について
2024年7月31日より、販売が開始されています。
型番 | 材質 | 互換プリンター | |
① | kaika6a0 | 真鍮 | Prusa・Ender他 |
② | kaika8a0 | 真鍮 | Prusa・Ender他 |
③ | kaikaS6a0 | 真鍮 | Prusa・Ender他 |
④ | kaikaS8a0 | 工具鋼 | Prusa・Ender他 |
現在の価格は、↓からご確認ください。