
例えばノズル自体に問題がある場合はもちろんですが、フィラメントの通り道で不具合がおきることがあったり、フィラメント自体が不良を起こしていることもあります。
そこで今回は、原因ごとに対処方法をまとめましたので、トラブル時の手助けになれば幸いです。
ノズル内の焦げ、汚れ、異物による詰まり
ノズル詰まりというくらいですから、もちろんノズル内が原因となることがあります。
ケース①.カス・汚れ・異物が残っている場合
<原因>
フィラメントに混ざっている不純物やホコリなどが混じってノズル内に滞留してしまいます。これらが焦げてしまうと、ノズルの通り道を塞いでしまいます。
<対処方法>
まずはノズルのクリーニングを行いますが、程度がひどい場合は交換することをオススメします。
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またノズルを長持ちさせる方法として、下記の点を取り入れて頂くと良いです。
・使用していないときは、フィラメントを抜いておく。
それでもノズル不良がなかなか改善しない場合は、下記の点も効果的です。
・違うメーカーのフィラメントを使用する
ケース②.異なる樹脂が残っている場合
<原因>
とっかえひっかえしながら使ったノズルの中には、いろいろな樹脂が滞留することになります。樹脂ごとによって溶解する温度帯が違いますので、溶解されなかった樹脂が経路をふさいでしまうことになります。
<対処方法>
下記のような押出棒を使って、できる限りノズルから樹脂を吐き出します。
ノズル内の樹脂・ゴミやコゲもある程度、排出することができます。
このノズルはABS用。このノズルはPLA用のように決めながら運用します。
ノズル交換は面倒になりますが、詰まりを減らすことができます。
温度による詰まり
樹脂ごとに適正に設定されている必要があります。低すぎると樹脂が溶けずにノズルから排出できません。
冷却ファンやヒートシンクで守られていますが、機種によっては熱が伝わってしまう場合があります。そのため温度の上げすぎに注意し、「+10℃」くらいまでにしましょう。
部品不良による詰まり
ケース①.冷却ファン不良
<原因>
ファンの回転数が少なかったり、止まってしまうとフィラメントを「冷やす機能」が失われてしまいます。前項でも書きましたが、フィラメントを下へ送るには硬い部分が必要です。柔らかくなってしまうと、詰まりに発展してしまいます。
単純にファンが故障していることもありますが、↓の写真のようにファンの羽にフィラメントのカスが巻き付いている事もあります。
<対処方法>
ファンの羽にカスが絡まっている場合は、ピンセットで除去しましょう。(必ず止まっている状態で作業すること) またファンが回らない場合や回転数が少ない場合は、ファンを交換する必要があります。
ケース②.ギア・モーター不良
<原因>
フィラメントを送る機構は、モーター・送りギア・ベアリング等が使用されています。その何れかに不良が発生すると、ノズル詰まりが起きます。
<対処方法>
故障している場合は、部品交換が必要になります。またギアにカスが目詰まりしている場合には、エアダスターなどで掃除しましょう。
樹脂特性による詰まり
フィラメントによっても、詰まりやすいものと詰まりにくいものがあります。
詰まりやすい樹脂は、下記のようなものがあります。
・PVA(水溶性フィラメント)
ケース①.ゴム系フィラメント(TPE・TPU)の場合
<原因その1>
他の樹脂よりも、ノズルからの排出をもっとスムーズにさせる必要があります。 パージ(試し打ち)を行い、いつもよりも線が細い場合は、ノズルが原因で詰まる可能性が高まります。
<対処方法>
ノズルの清掃か交換を行う必要があります。 また、径が大きいノズル(0.6mmなど)を使うと非常に効果的です。
<原因その2>
どういうことかと言うと、フィラメントを送り込む力はギアのトルクによって行われます。ところがボビンをセットしているスタンドの回転がスムーズでないと負荷がかかってしまい、詰まりやよじれに発展します。
<対処方法>
負荷を減らすために、下記のような補助ツールを使うことがあります。

エラストマーは他の樹脂と比べて軟質です。 そのため送りギアが目詰まりしていると詰まりの症状が起きやすくなります。
<対処方法>
送りギアを、エアダスターなどの清掃ツールで掃除するようにしましょう。
<原因その4>
間隔が近すぎると、プラットフォームテーブルが栓(せん)の役割をしてしまい、樹脂を排出させることができません。そうすると上流部へ負荷がかかってしまい、下記のようなジャミング(フィラメントの屈折)が発生します。
<対処方法>
シックネスゲージなどを使い、適正なギャップ調整(ノズルの高さ調整)を行います。
<原因その5>
ノズルの温度が低いと、樹脂がスムーズに排出されずに詰まりの原因となります。
<対処方法>
推奨値よりも+5℃~+10℃くらいにしてみましょう。
<原因その6>
印字速度が速いと樹脂の供給が追い付かずに、詰まりの原因となります。
<対処方法>
あまりうまくいかない場合は、推奨速度よりも遅くしましょう。
<原因その7>
ボビンでフィラメントが絡まっていると、途中で切れたり・ギアで削れたりします。
<対処方法>
フィラメントが絡まっていないかを確認し、その場合は巻き直しをしましょう。ほどいてもまた絡まる場合は新しいフィラメントを使用したほうが良い場合があります。
ケース②.PVA(水溶性フィラメント)の場合
原因
<対処方法>
特に下記のような注意点を守る必要があります。
- 湿気取り剤や、除湿ツールを使用し、フィラメントを乾燥させる。
- 新しいPVAフィラメントを使用する。
- 印字速度を遅くする。
- ノズル温度を高くする。
まとめ
② ノズル温度を適正化する(+10℃を試す)
③ 経路に異物がないかをハリガネや細い棒などで確認する
④ 部品の故障がないかを確認する。(冷却ファン、モーター、ギア等)
⑤ 難しい樹脂を使用している場合は、確認する(ゴム系や水溶性等)
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本記事はFDM向けです。 光造形の「造形失敗例・対処方法」は、こちらの記事も参考にして下さい。 [sitecard subtitle=関連記事 url=https://tenagle.com/trouble_sla/ target=bl[…]