庫内の温度を上げるための、ヒートチャンバーが搭載されている機種です。
ABSやPCなどをよく使っているという方には、特におすすめです。
レビューした3Dプリンターについて
このあと詳しく解説しますが、Q1 Proには以下の特徴と持っています。
・ 高速プリント
・ 多数のフィラメントを使える
・ その他にも多数の最新機能がある
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Q1 Proの大きな特徴【3選】
特徴その① チャンバー機能
1つ目はチャンバー機能です。なんと言ってもQ1Proには、チャンバーがついてるのが最大の魅力です。ちょっと前まではどの製品にもついていませんでしたが、最近では増えてきていますね。本当に、各社の対応の速さに驚かされます。
ちなみにチャンバーというのは、庫内の温度を維持する機能です。これがあると温度をしっかり保つことができるので、ABS・PCなんかは反りにくくなります。
↓このようなヒーターファンが付いていて温風が出るようになっています。ちっちゃいんですが、しっかりと熱が放出されますので、火傷しないように注意が必要です。
60℃に設定してみたところ、しっかりと60℃まで上がり、湿度は23%まで下がっていました。温度もさることながら、湿度が下がるのは造形物にとってもいいですね。
↓ちなみに操作パネルでは、温度が一目で分かるようになっていますので、簡単に把握することができます。
次にヒートチャンバーの効果を、簡単に試してみます。
まずは、チャンバーなしでABSをプリントしてみたらこんな感じ。プラットフォームから剥がれてしまって、かなり反りました。これでも庫内温度は42℃くらいあったんですけど、難しかったようです。
続いて、チャンバーを有効にして最大の60℃まで上げてみました。するとこんな感じ↓。多少の反りは発生したものの、先ほどよりはかなり良くなりました。本当に効果があるのかなーと思いましたが、やはり違いがありますね。
↓比較するとこんな感じ。チャンバーを使った上で、スライス調整や糊などの対策を入れるといい感じになりそうです。今回は、四つ角のある、反りやすい形状で試したんで、ここまでの差になったんだと思います。
チャンバーの温度は「QIDIスライサー」というソフトで設定します。ソフト上では、65℃まで設定できてしまうんですが、実際は60℃までしか上げることができませんでした。表示の不具合なんですかねー。
あと思ったのが、家庭向け3Dプリンターのチャンバーは、空間が狭いので、温度が早く上がります。大型の業務用だと、ちょっと時間がかかったりするのでその辺もいいですね^^
特徴その② ノズル温度
2つ目の特徴は「ノズルの温度が350℃まで上げられる」点です。
一般的には300℃までの製品が多いので、それに比べると高いですよね。正直こんなにもいる?って思うんですが、カーボンを使う場合は、必要になってきます。
例えば、PA-12CFなんかのナイロン系や、ABS-GF25などの、強度を重視したフィラメントも使えるようです。GF-25はガラス繊維が混ぜ込まれていて、高い強度や合成のある造形物をプリントできます。
こういったものは、企業さんが使うことが多いですね。
またノズルは、2つの金属を混合させた、「バイメタルノズル」が使われています。こんな感じ↓で、ノズル先端部は黒くなっていて、ストローク部は銀色をしています。
ノズル単体でも購入することが可能です↓
銀色の部分は、熱伝動率の高い素材が使われていて、黒い部分は削れにくい素材が使われています。それぞれの材質の良いところを、活かせそうな気がします。
Creality K1の時もそうでしたが、最近のノズルは、金属を合わせて作られていますね。
特徴その③ 冷却構造
3つ目は「強力な冷却構造」です。
造形物を冷却するファンは、エクストルーダーに1つついていて、向かって右横にもサイドファンが付いています。
特にこのサイドファンは風量がとても強力で、プラットフォーム全体に風を送ってくれます。これだけ強ければ、仕上がり品質や糸引き対策も、効果がありそうです。
その他の特徴について
ワークサイズは245×245×240mmなので、結構大きめのものをプリントできます。
それに伴って、筐体と重量が重くなっています。実際に持ってみたら、やっぱりちょっと重い・・・。スペースの確保に注意しておいた方が良さそうです。
ノズルは0.4mmが搭載されています。別に用意する必要はありますが、0.2mmや0.8mmも使うことができます。
プラットフォームは、簡単に曲げられるフレキシブルプレートです。造形物を楽に剥がすことができます。表面がザラザラしていて、テクスチャ仕様になっています。
テーブルの温度は、最大120℃まで上げることができます。ノズルもそうでしたがこれも高いですねー。プリント速度は最大600mm/sまで出力することができます。トップクラスの速度になっていて、申し分ないです。
チャンバーにもファンが付いていて、庫内の温風を循環させることができます。基本的にファンの回転数は100%でいいですが、もしファンの回転数を減らしたい場合は、QIDIスライサーで簡単に調節することができます。
使えるフィラメントは「PLA、ABS、ASA、PETG」となっています。あとナイロンPCや、ガラス繊維なんかも使えるということではありますが、難易度が高いので、注意は必要です。
先ほどもご紹介したように、個人的にはABSも注意が必要だと思います。
またパネルは、4.3インチのタッチ式で、縦長になっています。操作感は問題なく、押しやすかったです。
標準でカメラが付いているのでモニター監視もいけます。滑らかに映せてますので、プリント状況はしっかり確認できそうです。
スライスソフトは、「QIDIスライサー」が推奨されています。ヒートチャンバー搭載機種なので、無難に使うのであれば、まずはこれを使ってみると良いと思います。
Q1 Proの注意点【2選】
① チャンバーは万能ではない
まず1つ目は、チャンバーは万能ではないというところです。剥がれ・反りをある程度、抑えることはできますが、完全に解消されるわけではありません。
反りが起きやすいフィラメントの場合は、スライサーの設定や、ノりをうまく併用して対策するといいと思います。ですがチャンバーの効果はとても高いのでABS・ASA・PCなどを使いたい方には、特におすすめの機能です。
② 騒音
注意点の2つ目は、騒音です。
プリント中の音量を測ってみたところ、およそ62dBから67dBあたりでした。身近なもので例えると、掃除機の音をを近くで聞くくらいの音量です。
ご家庭で使う場合には、注意しておきたいですね。
テストプリントしてみた結果
これは最初に入っていたテストデータを、PLAでプリントしたものです↓。積層は、かなり綺麗に仕上がっていますね。底面は、造形線が見えにくく仕上がっていて、これはこれでいい感じです。
続いてはゲームパッドをプリントしてみました。サポートも問題なく立てられています。
ニッパーを使ってサポートを外していきます。中に浮いてしまう形状でもサポートを建てれば大丈夫です。
ちなみにニッパーは、フラットになっている精密ニッパーがおすすめです。
こんな感じで仕上がりました。まあまあいい感じですね。
取り付けてみます。PLAで作ったんで、表面がちょっと硬いですが、とりあえず収まりました。使おうと思ったら何とか使えるかも。
次はプラモデルをプリントしました。これも、ニッパーを使ってカットしていきます。
カットしたパーツを組みつけていきます。こんな感じで完成です。特に問題なく作れましたね。