ラフトは通常「ペリペリッ」っとキレイに剥がれてくれるはずなんですが、ある理由で剥がしにくくなってしまうことがあります。
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ラフトが剥がせない症状とは?
ラフトは、造形物とラフトの間に空白層(なにもない層)が設けられています。それによって通常であれば、手で簡単に剥がすことができます。
もしラフトが剥がせないと、造形物ごと廃棄しなければならなかったり、無理に力を加えた時に「割れる」という症状も起きます。ケガをすることもありますので注意しましょう。


原因および対処方法
1.樹脂の性質による原因
ラフトの使用が難しい樹脂は、下記のものがあります。
・TPU(エラストマー樹脂)
・PP(ポリプロピレン)
・PA(ポリアミド、ナイロン)
2.造形物とラフトの間隔が狭い
上記でご説明したとおり、造形物とラフトとの間には「空白層(スキマ層)」が存在します。その空白層がないと完全にくっ付いてしまい、ラフトを剥がすことが出来なくなります。
反対に空白層が広すぎると、造形物の1層目の仕上がりが悪くなってしまいます。
そのため「1層目の仕上がり」と「剥がしやすさ」とのバランスを見ながら調整する必要があります。
<調整例>
・ABS:0.15mm~0.2mm
・PC:0.15mm~0.3mm
・PETG:0.18mm~0.3mm
3.1層目の流量・押出幅が多い
ちなみに流量とは、ノズルから排出される吐出量のことで、押出幅とは造形線の太さのことを言います。これらはスライサーソフトで変更することが可能です。
「定着性を良くしたい」場合や「底面を綺麗にしたい」という理由でこれらを上げることがありますが、上げすぎるとラフトへの接着性が高くなってしまい、剥がしにくくなることがあります。
4.フィラメントが古い・吸湿している
フィラメントがこのような状態だと、強度が著しく低下します。それによりラフトを剥がす際に割れやすくなります。
通常よりも簡単に折れてしまう場合は、新しいフィラメントに変えることをおすすめします。
また、フィラメントを吸湿させにくくする防湿ツールを活用すると効果的です。
まとめ
原因 | 対処方法 | |
1 | 樹脂の性質の違い | ラフトに適した樹脂かどうかを確認する |
2 | 造形物とラフトの間隔が狭い | スライサーソフトの間隔値を調整する |
3 | 造形物側の1層目の流量が多い | 流量を調整する |
4 | フィラメントが古い・吸湿している | フィラメントを除湿・交換する |
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