このような継ぎ目は「シーム」とも呼ばれていて、見た目が良くありません。
そこで今回は、この継ぎ目を、見えにくくするコツをご紹介したいと思います。
この記事で分かること
・ シーム継ぎ目を目立たなくする方法
シーム対策おすすめ3Dプリンター
今回ご紹介するシーム対策は、「スライサーソフト」がひとつのポイントです。
Bambulab製は、Orca SlicerやBaumbu Studioに対応しているので、オススメです。
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シーム解決方法!【5選】
① シーム位置を選択する
多くのスライサーソフトには、「シームの位置を設定する項目」が用意されています。
例えば「最寄り」「整列」「背面」「ランダム」といった項目があり、ある程度の位置を変えることができます。
たとえば「最寄り」は、前の層で書き終わったところから、最も近い場所へと移行します。プリント効率は良くなりますが、目立つこともあります↓。
また、「ランダム」は、継ぎ目の位置をランダム化できるので、全体に散らすことができます。ただし、逆に汚く見えることもあります↓。
こう言った場合は、継ぎ目が目立ちにくい色のフィラメントを使うのがおすすめです。※ あとでご紹介します。
では、シーム位置の設定方法をご紹介します。今回は、シーム機能が充実している「Orca Slicer」で試してみます。
関連記事:Orca Slicerを使ったキャリブレーション手順・使い方
Orca Slicerは、GITHUBからダウンロードすることができます。
GITHUB:ダウンロード
設定方法をご紹介します。まず、モデルを配置し、「品質タブ」の「継目位置」のプルダウンをクリックします。
「最寄り」「整列」「背面」「ランダム」が表示されますので、その中から選択します。
スライスボタンをクリックすると、プレビューを確認することができます。
ただし、シームの位置は、ソフトが自動で割り当てをするので、思ったところに配置されない場合があります。
そこで、続いては、手動でシームの位置を設定することができる「シームペイント」をご紹介していきます。
② シームペイントを利用する
一部のスライサーソフトには、「手動でシーム位置を設定する」機能が搭載されています。
「シームの位置を指定する意味はあるの?」と思うかもしれませんが、形状によっては、高い効果を得られます。
例えば、このモデル↓の場合、ここにシームができてしまうと、かなり目立ってしまいます。そのため、できるだけ見えないところに設定したいです。
そこで、この部分↓にシームができてくれれば、うまく隠れるので目立つことはありません。
シーム設定することができる「シームペイント」を使いましょう。
まず、Orca Slicerを起動し、モデルを配置します。上のツールバーにある「継ぎ目ペイント」をクリックします。
ブラシタイプやブラシサイズなどを、必要に応じて変更します。そのままでも問題ありません。
シームを割り当てたい場所をなぞっていきます。
マウスポインターがブレやすいので少し難しいですが、失敗した場合は「全てを消去」でやり直すことができます。
スライスボタンをクリックすれば、シームが設定されます。
手動で位置設定したい場合は、ぜひ試してみてください。
③ フィラメントの色、種類を選択する
使用するフィラメントの色や種類によって、シームの見え方は結構変わります。
例えば、青色フィラメントだとこんな感じです↓。そこそこシームは目立っています。暗めの色の方が目立ちやすいですね。
では、明るめの色はどうでしょうか。こちらは白色フィラメントです↓。
写真だと見にくいですが、白色はかなりいい感じです。光の影響もあり、ほとんど見えなくなっていますね。
先ほどの青色フィラメントと比較すると、こんな感じ↓です。違いがありますね。
続いて、シルバーフィラメントです。これもそこそこ目立っている感じがあります。
白色と比較してみます。比べてみると、やはりシルバーの方が継ぎ目は目立ちますね。
続いては、赤色のシルクフィラメントです。
光沢で見えにくくなっていますが、継ぎ目のラインは確認できます。これも白色フィラメントの方がいい感じです。
続いて、代理石(マーブル)フィラメントです。PLAがベースになっているので、使いやすいフィラメントです↓。
こっちは白色よりも、さらにいい感じに見えます。白色の下地と、黒い点々が、イイ感じに痕が消えています。
青色、白色、代理石で比較すると、こんな感じです。色や種類の違いだけで、かなり見た目が変わります。
続いては、カーボンフィラメントです。
積層ラインはすごくいい感じです。シームの方は、多少見えにくくなっています。やっぱりカーボンはかっこいいですね。
ただ、ラインはしっかり確認できます。代理石と比較すると、こんな感じです。カーボンも目立ちにくくはなっていますが、代理石の方が滑らかです。
石走痕の解決動画の時もそうでしたが、見栄えを良くしたい場合には、白や代理石のような明るい色を使うと効果的だと感じます。
また、積層痕を解決する記事もありますので、参考にしてください↓。
関連記事:積層痕とは?滑らかに見せる5つのコツ
この後ご紹介する「スカーフジョイントシーム」と併用すれば、さらなる効果を期待できます。
④ スカーフジョイントシーム機能を使う
これは、スライサーソフトの機能で、「シームを目立たせなくする役割」があります。スカーフを巻きつけるように、継ぎ目を隠す効果があります。
この画像↓は、スカーフジョイントシームを有効にして、プリントしたものです。うっすらと2つの継ぎ目を確認することができます。
触ってみると凹凸はかなり少なく、通常のシームと比べてもより滑らかになっています。
スカーフジョイントシーム「あり」と「なし」を比較すると、こんな感じです↓。ここまで明確に変わるので、かなり驚きました。
それでは、設定方法について説明していきます。
まずは、モデルを配置します。
「品質タブ」の中に「スカーフジョイントシーム」があるので、プルダウンの中から「Contour」もしくは「Contour and hole」を選択します。外壁だけであればContourで大丈夫です。
続いて、「Seram gap」を「0」に変更します。この項目は、「書き始めと書き終わりの隙間をどれくらいにするか」という項目です。
続いて、「Walls printing order」を「inner/Outer/Inner」に変更します。スライスしてプリントすれば完了です。
白色などの、目立ちにくいフィラメントを使って、スカーフジョイントシームでプリントすれば、よりシームが目立ちにくくなります。ぜひ一度試してみてください。
⑤ スパイラルモードを利用する
スパイラルモードとは、スライサーソフトの機能で、「一筆書きでプリントするモード」のことです。
そもそもシームの痕ができるのは、エクストルーダーが、次の書き出し位置まで移動して、再書き出しをすることで生まれます。
なので、一筆書きをしてしまえば、シームの痕は生まれません。
試しにこのようなケースの形状をプリントしてみます↓。
Orca Slicerにモデルを配置したら、「その他」タブをクリックします。
「スパイラルモード」にチェックを入れます↓。
スライスをすると、一筆書きの状態になります。外壁のみのモデルになります。
実際にプリントしてみると、こんな感じになります↓。カーボンでプリントしましたので、マットでかっこいいです。
積層痕を見てみると、継ぎ目は一切ありませんね。樹脂垂れをしないのもいいですね。
ただ、このモードには注意点があります。このモデル↓のように、一筆書きできない形状は、プリントすることができません。
また、外壁しかプリントしませんので、強度が弱いというデメリットもあります。
もし利用する場合は、強度の高いカーボンやPETGがオススメです。
番外編:ギャップ値の比較
Orca Slicerには、シームの項目に「GAP値(ギャップ値)」というものがあります。
この値を変更すると、書き出しと書き終わり部分のギャップ(隙間)を調整することができます。
一般的には、このギャップ値の値が小さいほど隙間が狭くなるので、シームが目立たなくなるようです。
そこで、この値を0%、20%、60%、100%の4パターンでプリントしてみました↓。そこまで大きな違いはありませんでしたが、数値が減るにつれて、継ぎ目が薄くなっているように見えました。
ちなみに、このギャップ値はノズル径のサイズが元になっています。例えば、0.4mmノズルを使っていて60%に設定した場合は、0.24mmのギャップ値になります。
なので、およそ0%から10%くらいが適正なのかなと思います。