「サポートが剥がしにくかったり」、「仕上がりが悪い」ことがあるかと思います。
本記事では、「剥がしやすく」て「仕上がりがキレイ」になる専用サポート材を使ってみました。
本記事で分かること
・ 通常サポートとの違い。
・ 使い分ける重要性
今回使ったサポート専用フィラメントについて
今回使ったサポート専用フィラメントは、「Bambulab PLA/PETG」です↓。
容量は500g入っていて、6,880円です。もう少し安いとうれしいんですが、ちょっと高めですね。
フィラメントはこのように柔らかめで、水溶性サポート剤にやや似ている感じがあります。
また、PLA、PETG以外にABSやナイロンの専用サポート素材もあります。ABS用は3,280円でPLA用よりもなぜか安いです。
また今回の3Dプリンターは、Bambulab A1 mini及びAMS Liteを使っています。AMS Liteは「複数のフィラメントを自動で切り替える装置」になりますので、今回の場合は必須となります。
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サポート専用フィラメントとは?
知っている方は多いと思いますが、サポートには「一時的な柱」や「土台」という役目があります。もしサポートなしでプリントすると、こんな感じ↓で、樹脂が垂れ落ちてしまい、失敗の原因となってしまいます。
そこでサポートを使ってプリントすると、着実に積み上げることができ、垂れることなくキレイにプリントすることができます。
プリントが完成したら、サポート部を取り外して完成となります。
ただこの場合、サポート部が「モデル部に密着しすぎてしまう」ことがあったり、サポートに接した部分の「仕上がりが良くない」といった症状が起きることもあります。 これは「サポート部がモデル部に近すぎる」ことで発生します。
この「接する距離」は、スライサーソフトで変えることができますが、しっかり調整しても、やや荒れてしまうことも多いです。
そこで、サポート専用フィラメントが役に立ちます。サポート専用フィラメントは、「密着しても、剥がしやすい」という最大のメリットがあります。
↑剥がしやすくて、キレイに仕上がれば、言うことなさそうですよね。
そして、サポート専用フィラメントには、手で取り除くタイプのものもあれば、水で溶かすことができるタイプのものもあります。
このように、「剥がしやすく」「仕上がりを良くしたい」場合に、専用サポート材は効果的です。
ちなみに水で溶かすタイプのサポート材は、別の記事でご紹介していますので、参考にしてください↓
関連記事:水溶性サポート材を使ったら、かなりキレイに仕上がった
驚愕の仕上がり! 専用サポートを試した結果!
まずは専用サポートを使わずにプリントしてみる
まずは、専用サポート剤は使わずに「PLAだけを使って」プリントしてみます。形状はこんな感↓の、マニュホールドをプリントしてみます。
完成したものがこちらです↓。ではサクッと剥がしていきます。
穴の中は手では取りにくい形状ですので、ラジオペンチを使っていきます。
サポートを取り外した痕は、こんな感じです↓。
↑ちょっと硬いところもありますが、許容範囲内です。よくあるサポート造形という感じですね。
続いて、スライサーソフトの「トップ面とのZ間隔」を0mmにしてプリントしてみます。これはつまり「モデル部とサポート部を、完全に密着させた状態」ということになります。
サポート部を取り除いてみると、ガチガチにくっついて剥がせなくなりました↓。
0mm設定で使う人はいないと思いますが、専用サポート材であれば、完全に密着した状態でも剥がすことができます。
専用サポート材でプリントしてみる
続いて、専用サポート材を使ってプリントしていきます。プリントした結果はこんな感じです。
肝心のサポートの剥がしやすさですが、手でサクサク取れる感じですね。しかも、0mmの状態でプリントしましたが、そうとは思えないくらい剥がしやすいです。
サポートが接触していた面はこんな感じです↓。造形線がブレていたり、浮いている感じはなく、かなりキレイです。
専用サポート材を使っていない場合と比べてみます。左の画像は、「線と線の間がややスカスカ」になっていますが、右側の画像は、「しっかり密着」していて、変な隙間はありません。
ここからは、専用サポート材を使う際のパラメーターを見ていきます。スライサーソフトはBambu Studioを使います。
Bambu Studioでは、AMS Liteにセットしてあるフィラメントを、自動で認識してくれるので、パラメーターをわざわざ入力する必要はありません。
そのため、今回も自動同期しただけですので、難しいところはほとんどありませんでした。
パラメーターを見てみると、最大体積速度は「6㎣/s」となっていましたので、速度は遅めが推奨されているようですね。
「モデル部とサポート部の間隔」の設定は、「トップ面とのZ間隔」という項目で調整します。ミリメートル単位で設定できますので、細かく調整することができます。
また、「サポートの密度」は高い方が、その上にのるモデルは、キレイに仕上がります。「トップ接触面間隔」の値を小さくすると、密度が上がります。0mmに設定すると、密度は100%になります。
続いて、PETGと専用サポート材を使ってプリントしてみました↓。
こんな感じで、専用サポート材は一切残りませんでした↓。PLAと同様、かなりキレイに仕上がっています。
ちなみに、「手ではがす専用サポート材」と「水溶性サポート材」を比較してみます↓。ほとんど違いはなく、どちらもキレイに仕上がっています。
サポート材は、使い分けが重要!
それぞれを比較すると、この表のようになりました↓
モデル材と同じ | 手で剥がす専用サポート材 | 水で溶ける水溶性サポート材 | |
① コスト | 〇 | × | × |
② プリント時間 | 〇 | × | × |
③ サポート除去時間 | 〇 | 〇 | △ |
④ 接点部の仕上がり | × | 〇 | 〇 |
⑤ 複雑な形状 | × | △ | 〇 |
⑥ 扱いやすさ | 〇 | 〇 | × |
① コストについて
コストは「モデル材と同じ」が一番良いです。一方、専用サポート材は、フィラメント料金が高いのであまりよくありません。また、bambulab A1 miniは、フィラメントの切り替えに、大量のカスが出るので、消費量が増えます。
② プリント時間
プリント時間は、「モデル材と同じ」が一番短いです。専用サポート剤は、AMS Liteのフィラメント切り替えの影響で長くなります。例えば、今回作ったモデルではモデル剤と同じ材料であればおよそ1時間40分でしたが、専用サポート剤の場合は12時間ほどかかりました。
ただ、Bambu Studioでは、「モデルの接触面だけに専用サポート材を使うことができる」ので、かなりの時間短縮になります。
③ サポート除去時間
サポート除去時間は、「手で剥がすサポート」が短いです。水溶性は、水に溶かす必要があるので、ちょっと時間がかかります。ただ、温水を使ったり、超音波洗浄機を使うとより早く溶かすことができます。
④ サポート接点部の仕上がり
サポート接点部の仕上がりは「専用サポート材」が良いです。、仕上がり品質を求める場合は、間違いなくこちらです。専用サポート材は、クオリティ重視の設定にすることができるので、クオリティを気にする方にはオススメです。
⑤ 複雑な形状
複雑な形状に向いているおんは「水溶性サポート材」です。水は小さい隙間にも入り込めるので、溶かしやすくなります。
⑥ 扱いやすさ
扱いやすさは、「水溶性サポート材以外」が向いています。水溶性サポート材は、PVAという樹脂を使います。吸水率はとても高いため、シリカゲルだけで保管していても吸水してしまいます。最初の数回だけしか使えずにダメにしてしまうこともありますので、運用環境を整えましょう。