中空に浮いてしまう形状は、サポート機能を使う必要があります。
ですがこのサポート機能を利用すると、剥がしにくかったり、バリが残ってしまったりと、トラブルも起きます。
そこで今回は、「サポートを剥がしやすく」、「仕上がりが良くなる調整方法」をご紹介します。
本記事でわかること↓
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サポート接触面の密度を調整する
サポート接触面とは、モデル部に接するサポート部のことです。接触面はモデル部のすぐ下にあり、下の画像だと深緑色の部分です。
例えば、接触面よりも低い層をすべて高密度にしてしまうと、プリント時間が長くなったり、材料費を無駄に使ってしまいます。そこで、モデル部と接するところだけを高密度にすることで、コストパフォーマンスが良くなる上、モデル部の底面を安定させることができます。
Bambu Studioの場合
では、Bambu Studioの調整方法ですが、まず「高度な設定」のトグルをオンにします。
続いてサポートタブをクリックし、「サポート」にチェックを入れます。
「トップ接触面間隔」が調整項目になります。英語表記では、「Top Interface spacing」となります。初期値の設定は0.5mmになっており、0mmにすると、密度は100%になります。
BambuStudioの基本的な使い方は、↓の記事も参考にしてください。
Curaの場合
Curaでは、三本線をクリックします。
表示項目をALL(全て)に変更します。これで項目が増えます。
「Generate Support」にチェックを入れ、サポートが有効化されます。
「Enable Support Roof」という項目にチェックを入れ、そのまま「Support roof density」の値を変更します。Curaでは、パーセンテージで設定されており、初期値は33%になっています。100%にすれば、塗りつぶされます。
Creality Printの場合
続いて、Creality Printの場合は、まず「サポートタブ」をクリックします。
詳細パラメーターボタンをクリックします。「サポートを有効にする」にチェックを入れます。
「トップインターフェイス間隔」の値を変更します。Creality Printも、Bambu Studioと同様に、初期値は0.5mmになっています。こちらも0mmに設定すれば、密度は100%となります。
CrealityPrintの基本的な操作方法は、↓の記事を参考にしてください。
関連記事:【日本語対応】Creality Print バージョン5.1の使い方・操作説明
検証した結果
では、BambuLab A1という3Dプリンターを使って、検証していきます。
またフィラメントは、広く使われているPLAを使用します。
さきほどご紹介したBambuStudioの「接触面の密度」を変えてプリントしてみます。「0mm、0.5mm、1mm」の3パターンをプリントし、比較します。
まずは、初期値の0.5mmでプリントしたのがこちら↓です。サポートを剥がしてみると、問題なく剥がれてくれます。
サポート側の接触面を見てみると、0.5mm間隔で設定しているため、多少の隙間が空いています。
モデルの底面部も、特に問題なさそうです。
続いて、1mmでプリントしたものです↓。
剥がしてみると、密度がよりスカスカになっていますが、剥がしやすさは0.5mmとあまり変わりませんでした。
モデルの底面を見てみると、初期値の0.5mmとあまり違いはなさそうです。
続いて、0mmでプリントした場合です↓。密度は100%になります。剥がしにくくなるかと思ったのですが、問題ありませんでした。むしろ、まとめて取れる感じがあり、剥がしやすかったです。底面部は安定していて、良い感じの仕上がりです。
3つの底面部の仕上がりを比較してみます↓。そこまで大きな違いはありませんが、よく見ると0mmが一番キレイです。この感じであれば、常に0mmにしてプリントしても良さそうです。
以上のことから「サポート接触面の間隔」は「0mm」を採用したいと思います。
サポートZ間隔を調整する
ご存じの方は多いと思いますが、モデル部とサポート部の接点部は、少しだけ空白が設けられています。もし空白層がないと、樹脂が密着してしまい、サポート部が剥がれなくなってしまいます。
そこで、スライサーソフトには、この空白部分をどれくらい開けるかという調整項目があります。
スライサーソフトによって項目名が違い、例えば「トップ面とのZ間隔」や「Z距離」と呼ばれています。海外製のソフトがほとんどなので、強引に和訳されていることも多いですね。
Bambu Studioの場合
では、調整の仕方ですが、Bambu Studioの場合、「高度な設定」のトグルをオンにします。
続いてサポートタブをクリックし、「サポート」にチェックを入れます。「トップ面とのZ間隔」の値を変更すればOKです。
「トップ面とのZ間隔」という項目を変更します。0.2mmが初期値となります。
Curaの場合
Curaでは、三本線をクリックします。
表示項目をALL(全て)に変更します。これで項目が増えます。
「Generate Support」にチェックを入れ、サポートが有効化されます。
「サポートZディスタンス」という項目があるので、その値を変更します。初期値は0.2mmです。
Creality Printの場合
続いて、Creality Printの場合は、まず「サポートタブ」をクリックします。
詳細パラメーターボタンをクリックします。「サポートを有効にする」にチェックを入れます。
「トップZ距離」という項目があるので、値を変更します。初期値はこちらも0.2mmになっています。
検証した結果
トップ面とのZ間隔の初期値は0.2mmになっているので、最初は、このままプリントします。
できあがったのがこちら↓。普通に剥がすことができ、適正に調整されています。
底面を見てみると、問題ないレベルで仕上がっています。
続いて、0.3mmに変更してプリントしました。モデルとサポートの隙間が、0.3mmに広がったことになります。
隙間がより空いた分、とても剥がしやすくなっています。ただ、一方で接触していた面の造形線が、不安定気味です。
続いて、0.1mmにしてプリントしたものを見ていきます。先ほどよりも、隙間がより狭くなっていることになります。
サポートを剥がしてみると、モデル部にしっかり密着しています。ニッパーで取れば問題ないレベルですが、手では全て取り切れませんでした。
それぞれの底面部を比較すると、こんな感じ↓です。0.3mmだと、造形線がやや歪んでしまいます。0.1mmのように狭すぎると、サポートが結構剥がしにくくなります。中間値、およそ0.15mmから0.25mmあたりで調整するのが良いかと思います。
以上のことから「サポートZ間隔」は「0.15mm」を採用したいと思います。
ちなみに、専用サポート材というものを使うと、この値を0mmにすることができます。
「サポート面を、もっとキレイにしたい」「剥がしやすくしたい」という方は使うことをオススメします。
専用サポート材についてはこちらの記事も参考にしてください↓
関連記事:手でカンタンに剥がせる「専用サポート材フィラメント」を使ってみた!
サポートXY間隔を調整してみる
先ほどは、高さの間隔を調整しましたが、お次は左右・奥行きの調整します。傾斜のある形状は、このXYの調整も大切になってきます。
BambuStudioの場合
では、調整の仕方ですが、Bambu Studioの場合、「高度な設定」のトグルをオンにします。
続いてサポートタブをクリックし、「サポート」にチェックを入れます。
日本語だと水平間隔、英語だと「Support Object XY Distance」という項目の数値を変更します。初期値は0.35mmになっているので、隙間を狭くしたい場合は値を減らし、広げたい場合は値を増やします。
Curaの場合
Curaでは、三本線をクリックします。
表示項目をALL(全て)に変更します。これで項目が増えます。
「Generate Support」にチェックを入れ、サポートが有効化されます。
「Support XY Distance」にチェックを入れます。機種やスライサーによって値にばらつきがありますが、Curaでは、初期値は0.84mmになっていました。
Creality Printの場合
続いて、Creality Printの場合は、まず「サポートタブ」をクリックします。
詳細パラメーターボタンをクリックします。「サポートを有効にする」にチェックを入れます。
「サポート/オブジェクトXY距離」で値を変更します。
検証した結果
検証では、0.45mm、0.35mm、0.25mmの3つの値を変えたものを、プリントしました。
まずは、モデルとサポートのXY間隔を0.35mmにしてプリントしたものです↓。初期値だけあって、スムーズに剥がせます。
接点部も標準的な仕上がりで、良い感じです。
続いて、モデルとサポートのXY間隔を、0.45mmにしてプリントした結果です。先ほどよりも、隙間は広く確保されていることになります。
もう少し剥がしやすくなるかなーと思いましたが、標準設定とあまり変わりません。接点部もあまり違いはなさそうです。
続いて、モデルとサポートのXY間隔を、0.25mmに狭めてプリントした結果です。
こちらは剥がしにくくなるのかと思いましたが、そうでもなく、先ほどとあまり変わらない感じがします。接点部も、そこまで違いはありません。
それぞれ接点部を比較したものです↓。どれもほとんど違いは見られませんでした。
もっと値を大きく振れば違いが出てくるかもしれませんね。ただ、XY感覚に関してはこの程度ではあまり変化はないようです。
今回は、「サポートXY間隔」は「0.25mm」を採用したいと思います。
最強設定はこれ!最終調整をした結果!
まず「トップ接触面間隔」、つまり接触面のサポート密度は、100%にします。設定値で言うと0mmにします。※↓の画像では0.5mmになっています。
続いて、「トップ面とのZ間隔」、つまりモデルとサポートの隙間は、もう少し詰められそうだったので、0.15mmにします。
続いて、「水平間隔」はあまり違いがなかったので、仕上がり重視で0.25mmにします。
プリントしてみるとこんな感じです↓。仕上がり重視にしているので、初期値と比べてやや剥がしにくい感じはありましたが、問題なく剥がせました。
接触面を見てみると、造形線は歪んでおらず、とてもキレイです。
初期設定でプリントしたものと比較すると、こんな感じです↓。調整後の方が、線がクッキリしているのが分かります。見比べてみると、かなりの違いが出ているのが分かりました。
今回の例では、以上のような結果でしたが、モデルの形状によってはやや取りにくくなるということがありますので、認識しておいた方が良いです。
コスパ良し!専用サポート材について
専用サポート材を使うと、とても簡単に仕上がりを良くすることができます。
詳しくはこちらの記事も参考にしてください↓
関連記事:手でカンタンに剥がせる「専用サポート材フィラメント」を使ってみた!
ここでは、割高な専用サポート材を、コストパフォーマンス良く使う方法をご紹介します。
BambuLabの専用サポート材は、500gで6,800円で販売されていて、割高です。
サポート部を全て専用サポート材で賄ってしまうと、消費量が増え、コストパフォーマンスが悪くなってしまいます。
ところが、BambuStudioには、「モデルと接触する面だけ」に専用サポート材を割り当てる機能があります。それを利用すると、モデルと接触するサポート部以外には、PLAなどのモデル材で賄えるので、コストパフォーマンスが劇的に良くなります。
設定のやり方は、専用サポートフィラメントを選択します。
「サポート用フィラメント」を専用サポート材に変更すればOKです。
スライスして確認してみると、モデルと接触する面だけに、専用サポート材が割り当てられています。この白い部分ですね↓。
専用サポート材を使ってプリントすると、こんな感じになりました↓。サポート剤を取り除いてみると、とてもカンタンに取れます。
このやり方だと、専用サポート剤は「12g」しか使わずに済むので、コスパがとても良いです。