TPU(ゴム)を使って綺麗にプリントするコツ【Ender-3 S1】

Creality_Ender-3_TPU

家庭向け3Dプリンター「Creality Ender-3」で、こんな症状に困っていませんか?

・ ゴム(TPU)でプリントした際、オーバーハング部が荒れてしまう。
・ ゴム(TPU)でプリントした際、糸引きが発生してしまう。
・ ゴム(TPU)でプリントした際、仕上がりが良くない。

 

もしかすると「Creality Slicer」で調整が必要かもしれません。

 

この記事では、Ender-3 S1↓を使って解決方法をご紹介しています。

 

ゴムフィラメントの性質や選び方は↓の動画を参考にして下さい。

 

プリント失敗例

まずは、ゴム(TPU)を使ったプリントの失敗例をいくつかご紹介します。

 

① オーバーハング部が荒れやすい

角度のある積層(オーバーハング)部が、荒れやすくなります。

 

↓は、TPU95Aでプリントしたものです。

Creality_Ender-3_TPU造形で積層部が荒れている

↑オーバーハングの積層部が荒れています。

 

↓は、正常なプリント例です。

Creality_Ender-3_TPUで綺麗な造形

↑キレイに積みあがっていることが分かります。

 

② 糸引きが発生する

糸引きとは、「蜘蛛の糸のような」ものが無数に発生する現象です。

 

↓は、TPU95でプリントした失敗例です。

Creality_Ender-3_TPU糸引き画像

↑樹脂が垂れたまま、ノズル移動すると発生します。

 

今回は、これらの失敗を改善するコツをご紹介します。

 

まずは1回プリントしてみる

まずは、Ender-3 S1の初期値を使って、そのままプリントしてみます。

 

① 使用するモデル

↓のモデルを使用します。

Creality_Ender-3_TPUで机の角カバーのモデル

↑ちなみにこのモデルは、机の角のカバーです。

 

↓わが家ではこんな感じで、ケガ防止に使っています。

Creality_Ender-3_TPUで机の角カバー

 

② 造形パラメーターについて

基本的なパラメーターは、以下のように設定します。

Creality_Ender-3_TPU基本パラメーター

① デフォルト印刷温度     : 210℃
② ビルドプレート温度     : 50℃
③ 引き戻し距離        : 0.8mm
④ 引き戻し速度        : 40mm/s
⑤ ファン速度         : 100%

 

③ 造形時間について

造形時間は、1個27分くらいで完了します。

Creality_Ender-3_TPU造形時間

 

④ 造形結果

では、初回の造形結果です。

 

↓積層がいびつになっています。

Creality_Ender-3_TPU初回造形_積層がいびつ

↑オーバーハング部が、荒れている状態です。

 

↓また、結構ひどい糸引きが発生しました。

Creality_Ender-3_TPU糸引き画像

 

↓付属のニッパーでカットしてみましたが、刃がズレているのもあり、バリが残ります。

エラストマー_ニッパーでカットする

 

↓糸引きをカットするニッパーは、ある程度良いものを使うことをおすすめします。

 

改善方法

それでは、改善案をご紹介していきます。

 

積層の荒れについては「ライン幅」を、糸引きに関しては「引き戻し距離」を調整していきます。

 

ライン幅の変更手順


1.「準備する」をクリックします。
2.「パラメーター」をクリックします。

エラストマーTPU_Creality Slicer_パラメーター

 

「ビルドプレート密着性」の「ビルドプレート接着タイプ」が「ラフト」になっている場合は、「なし」に変更しておきます。

 

「品質」の歯車マークをクリックします。

エラストマーTPU_CrealitySlicer_品質歯車マーク

 

以下の項目にチェックを入れます。
1.「ライン幅」にチェックを入れます。
2.「ウォールライン幅」にチェックを入れます。
3.「外側ウォールライン幅」にチェックを入れます。
4.「内側ウォールライン幅」にチェックを入れます。
5.「閉める」ボタンをクリックします。

エラストマーTPU_CrealitySlicer_ライン幅の変更

 

「ライン幅」を0.4mmから0.44mmに変更します。

エラストマーTPU_CrealitySlicer_ライン幅の変更

↑他の項目も連動して変更されます。

 

引き戻し距離の変更手順

続いて「引き戻し距離」を調整します。

 

「移動」項目の、「引き戻し距離」の値を0.8mmから3mmに変更します。

エラストマーTPU_CrealitySlicer_引き戻し距離

 

 あとはスライス処理を実施し、プリントを行います。

 

調整後の造形結果

それでは、調整後のプリント結果です。

 

↓このようになりました。

エラストマーTPU_CrealitySlicer_調整後のプリント結果

↑自分でもびっくりしましたが、ここまできれいになるとは思っていませんでした。
糸引きについては、ほぼありませんでした。

 

↓積層の状態も、良くなっていました。

エラストマーTPU_CrealitySlicer_調整後のプリント結果

 

引き戻し距離を3mmにしましたが、あまり値を増やすとノズル詰まりを起こしてしまう可能性があります。

 

状態を見ながら、微調整すると良いと思います。

 

TPU(エラストマー)フィラメントについて

今回は「TPU(エラストマー)フィラメント」という軟質フィラメントを使用しました。

 

インターネットでも安価に購入することができるフィラメントとなっています。

 

使用した3Dプリンター

使用した3Dプリンターは、Ender-3 S1と言う家庭向け3Dプリンターです。

 

この機種は、多くの最新機能が搭載されていることに加えて、細かい調整をすることができます。

 

今まで企業向けのプリンターを主に取り扱ってまいりましたが、「家庭向け3Dプリンターでこれだけのことができるの?」とすごく驚きました。

 

↓セットアップレビューもしていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

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