本記事では、この3機種の違いを徹底的に比較していきます。
X1C・P1S・P1Pってどんな機械?
この3機種は、形も似ていることから、どのような違いがあるか分かりにくいです。
端的に言うと、違いは以下通りになります。
・ X1C → 「最上位モデル」「頑丈・耐久性が高い」「センサー機能が多い」「扱えるフィラメントが多い」
・ P1S → 「ミドルモデル」「扱えるフィラメントはそこそこある」
・ P1P → 「廉価版」「扱えるフィラメントは少ない」「アップグレードできる」
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仕様・スペック表
X1C | P1S | P1S | |
造形体積 | 最大256x256x256 mm³ | 最大256x256x256 mm³ | 最大256x256x256 mm³ |
筐体 | アルミ&ガラス | 樹脂&ガラス | 要造形 |
最大速度 | 500mm/s | 500mm/s | 500mm/s |
最大加速度 | 20,000mm/s2 | 20,000mm/s2 | 20,000mm/s2 |
重量 | 14.13kg | 12.95kg | 9.65kg |
ノズル | スチール(焼き入れ) | ステンレススチール | ステンレススチール |
ヒートベッド | 120℃ | 100℃ | 100℃ |
エアフィルタ | カーボン | 活性炭 | 活性炭 |
推奨/可能フィラメント | PLA, PETG, TPU, PVA, ASA, ABS,PET,PA,PC,Carbon/Glass Fiber Reinforced Polymer | PLA, PETG, TPU, PVA, ASA, ABS,PET,PA,PC | PLA, PETG, TPU, PVA, ASA, ABS,PET, PA,PC※カバー必須 |
非推奨フィラメント | – | Carbon/Glass Fiber Reinforced Polymer | Carbon/Glass Fiber Reinforced Polymer |
振動軽減システム | 〇 | 〇 | 〇 |
オートレベリング | 〇 | 〇 | 〇 |
自動Zオフセット | 〇 | 〇 | 〇 |
マイクロライダー | 〇 | – | – |
カメラ | 〇(1920×1080) | 〇(1280×720) | 〇(1280×720) |
ドア開閉センサー | 〇 | – | – |
ディスプレイ | 5インチタッチスクリーン | 2.7インチ | 2.7インチ |
Wi-Fi | Wi-Fi, Bambu-Bus | Wi-Fi, Bambu-Bus | Wi-Fi, Bambu-Bus |
ストレージ | 4GB eMMC and Micro SD Card Reader | Micro SD Card | Micro SD Card |
NPU | 2 Tops | – | – |
※ Bambulab公式サイト参考
各機種の違いについて
この3機種は「扱えるフィラメントの種類」や「価格」・「機能」の違いがあります。
お金があり、しっかりと使いたいという方はX1C。簡易的に使いたいという方はP1Pとなります。そこそこ使いたい場合はP1Sを選択すると良いでしょう。
① 筐体の違い
X1Cのフレームは「アルミとガラス製」。P1Sは「樹脂とガラス」で作られています。P1Pは外装はありません。
X1Cはアルミが使われていますので、頑丈です。そのため、長期間使いたい場合、耐久度が欲しい場合にはX1Cがおすすめです。
そして、X1CとP1Sはカバー付きですが、P1Pはありません。ですがP1Pは、カバー部をご自身で3Dプリントして、取り付けることができます。そのため、少しデザイン性がほしいなーと思う方には、ピッタリです。
またP1Pは、アップグレードキットが販売されていますので、あとで追加することができます。後々、ABS、PC、PAなどの高温度帯フィラメントを使いたくなった場合でも問題ありません。
② 重量の違い
重量はX1Cが「14.13kg」、P1Sが「12.95kg」、P1Pが「9.65kg」あります。
重量が重いと、プリント中は揺れにくくなるので、安定させることができます。その分、移動しにいなどの、取り扱い面でデメリットがあります。P1Pは、カバーやファンを後付けで取り付けると、重量が加算されますので注意が必要です。
③ ノズル部の違い
X1Cは「焼き入れスチールノズル」が取り付けられていますが、P1SやP1Pは、「ステンレスノズル」となっています。
焼き入れノズルは、ステンレスノズルよりも「硬い樹脂」を取り扱うことができます。たとえば、カーボンファイバーやグラスファイバー入りのフィラメントを出力することができるので、これらを使う予定がある場合は、X1Cがオススメです。
ですが、P1SやP1Pでも、別で焼き入れノズルを購入すれば、交換することができます。後でカーボンファイバーを使いたくなった場合でも大丈夫です。
④ ヒートベッド温度の違い
X1Cは「最大120℃」、P1SやP1Pは「最大100℃」まで、昇温させることができます。
PLAやPETGあたりの汎用プラスチックであれば、特に問題ありませんが、カーボンファイバー・グラスファイバーなどのように、フィラメントの種類によっては、100℃以上の出力が必要となります。
⑤ 1層の検査機能の違い
マイクロライダーとは、ビルドプレートとの距離を測定する装置です。
この機能で、距離を測定し、1層目の流量が足りない場合や、多い場合には較正(補正すること)する役目があります。またアナログセンサーと連携することで、より精度の高い自動レベリング調整をすることができます。
⑥ 失敗検知・スパゲティ検知の違い
3Dプリンターは、樹脂が定着せずに、造形が失敗してしまうことがしばしばあります。ですが、X1Cには、チェック機能が搭載されているので、失敗を検出すると停止することができます。
⑦ 冷却ファンの違い
X1CとP1Sには「筐体温度調節ファン」と「パーツ補助冷却ファン」「コントロールボードファン」が搭載されています。一方P1Pには、これらのファンは取り付けられていませんが、アップグレードキットを購入すれば、取り付けることができます。
パーツ補助ファンは、とても強力で、プリントしたばかりの造形物をしっかり冷却することができ、失敗の軽減、仕上がり向上を期待できます。
⑧ フィルターの違い
X1Cは「カーボンフィルター」、P1Sには「活性炭フィルター」が付属しています。P1Pはありません。フィルターがあると、消臭の効果が期待できます。
⑨対応フィラメントの違い
どの機種も「PLA, PETG, TPU, PVA, PET」を扱うことができます。またABS・ASA・PCを使う場合は、X1CかP1Sが望ましいです。またカーボン/グラスファイバーはX1Cのみで推奨となっています。
ですが、P1SやP1P(カバー必須)でも、焼き入れノズルに変更することで、ある程度のプリントができるようになります。
X1C・P1S・P1Pの特徴
① マルチカラープリントができる
例えばPLAフィラメントを4色使用すると、カラフルな作品をプリントすることができます。また、AMS Hubを利用すると最大16色の多色プリントをすることができます。
② 専用サポート材が使える
通常サポート材は、モデル材と同じフィラメントを使うことが一般的ですが、サポートが剥がれにくかったり、仕上がりが良くないという問題があります。
そこでAMSに「専用サポートフィラメント」をセットすれば、手で剥がしやすくて、仕上がりの良い造形物を作ることができます。また、水溶性サポート材を使えば、水で溶かすことができます。
③ 防湿効果が高い
フィラメントは、樹脂でできているため、吸湿してしまう特徴があります。そこで、AMS内に乾燥剤を入れておけば、フィラメントを湿気から守ることが可能です。
別途、フィラメント保管ボックスを用意する必要がありませんので、ちょっとお得感があります。ただし、湿気を飛ばすことはできませんので、その場合は別途フィラメントドライヤーが必要です。
④ フィラメントは無駄にしない
これまでは、フィラメントを完全に使いきれずに、少しだけボビンに余ってしまうことが一般的でした。ところが、AMSに予備のフィラメントをセットしておくことで、プリントを中断することはありません。
同じタイプのフィラメントを使う必要はありますが「材料切れ」や「残り少ないフィラメントを使いきる」ことができます。