3Dプリントしたあとの仕上げ作業で、このような疑問をもったことはないでしょうか?
・ どれくらいの仕上がりになるの?
・ 手ごたえはどんな感じ?
ABSを含めて、いろいろな樹脂にヤスリがけしてみましたので、参考にしてください。
紙ヤスリについて
紙ヤスリは、目の粗さが数値化されており、それを「番手」と呼びます
・ 数字が多い → 目が細かい
となります。
最初は、目の粗いものを使い、すこしずつ細かいものに変えていきます。
名称 | 番手 | 備考 |
粗目 | #40~#100 | 目がだいぶ粗いので、今回は使用しませんでした。 錆落としや、汚れ落としにも使用されます。 |
中目 | #120~#240 | 今回はここから使用しています。 |
細目 | #320~#800 | 仕上げに良く、塗装前に使用することで塗装が剥がれにくくなるなどの 効果があります。今回も仕上げ用に使用してます。 |
極細目 | #1000~#2000 | プラスチック造形物ではあまり使用しなくても良いです。 |
ヤスリの種類について
紙ヤスリとは?
耐水ペーパーとは?
耐水ペーパは、3つのメリットがあります。
① 目詰まりしにくい
水につけながら研磨することによって、ペーパーに粉が残りません。
効率よく研磨することができます。
② 熱を帯びにくい
水につけながら研磨することによって、熱が起きにくくなります。
連続した作業をすることができます。
③ 掃除の手間がすくない
研磨した粉は、水の中に沈んでくれます。
そのため、粉を掃除する手間があまりかかりません。
また冬場は、水のかわりに温水を使うと作業がしやすくなります。
ただし、PLAは熱に弱いので、熱いお湯にはご注意ください。
検証のやり方について
検証手順
まずは↓のモデルを、樹脂ごとにプリントしておきます。
↑これを耐水ペーパーで研磨していきます。
番手は、#240 → #400の順番で使用しました。
耐水ペーパーは↓のものを使いました。
↑使いやすいサイズに小分けされているので、便利です。
↓研磨したあとは、それぞれの感想をまとめていきます。
・ 研磨後の仕上がり具合。
・ おすすめ度。
・ 補足。
検証する樹脂
↓今回は、以下の樹脂を使って検証します。
樹脂 | メーカー | 商品名 | 商品 | |
① | ABS | Raise3D純正 | プレミアムABS | 商品はこちら |
② | PLA | Raise3D純正 | プレミアムPLA | 商品はこちら |
③ | PP(ポリプロピレン) | BASF | Ultrafuse PP Natural | |
④ | PA(ナイロン) | Polymaker | PolyMide CoPA | 商品はこちら |
⑤ | PC(ポリカーボネート) | Polymaker | PolyMax PC | 商品はこちら |
PLAやABSは、家庭でもよく使われる樹脂です。
今回は、その他にPP・ナイロン・PCもためしていきます。
検証開始
① ABSを研磨する
いちばん加工に適している、ABSから始めます。
ファーストコンタクトは、「ゴリゴリ」した感触です。
水に浸けながらということもあり、ストレスはそこまでありません。
「削れているなぁ」という手ごたえがすごくあります。
ABSの削ったカスが、桶(おけ)の底に沈んでいるが分かります。
↓滑らかな仕上がりになりました。
↑研磨前の「積層痕や、造形線が消えている」ことがわかります。
ほとんど#240を使用し、#400は最後に使用しました。
② PLAを研磨する
PLAは個人でも企業でも、いちばんよく使われている樹脂です。
↑PLAだけ、なぜか赤色でプリントしてしまいました。
PLAは、硬いため加工には向かないと言われていますが、実際はどうでしょうか?
実際に削ってみると「ゴリゴリ」した感触ですが、硬い感じがすごく伝わってきます。
本当に削れているのかよく分からず、あまり手ごたえがない感じです。
ただ、桶の中の水が赤くなっているので、削れていないというわけではないようです。
↓表面の積層痕や造形線は、きれいになっていました。
↑ところが、表面が白くなってしまいました。
念のため、#400以降も使いましたが、表面は白いままとなりました。
③ PP(ポリプロピレン)を研磨する
ひきつづき、PP(ポリプロピレン)を研磨します。
↑PPの表面は、ABSやPLAほど硬くなく、すこし柔軟性があります。
実際に削ってみると「ゴリゴリ」した感触ですが、表面の柔らかさが伝わってきます。
しかし半透明のため、削れているのかよく分かりません。
カスが桶の中に沈んでいるのかも分かりませんでした。
④ PA(ポリアミド)を研磨する
PAは、ナイロンとも呼ばれており、聞いたことがあると思います。
↑ABSやPLAよりも柔軟性があり、表面はちょっとだけ柔らかいです。
実際に削ってみたところ、感触はABSに近く、そこまで悪くありません。
ところが、水気をふき取ったところ、表面が少しふやけた感触になりました。
ナイロンは吸水性が高く、1%~1.5%あります。※ちなみにPLAは0.5%程。
削れることは削れますが、こればかりはサンドペーパーの方が良いかもしれません。
また、ふき取った後は、毛羽だってしまいました。
⑤ PC(ポリカーボネート)を研磨する
PCは、耐衝撃性や靭性がたかい樹脂ですので、研磨するのは難しいかと思いました。
実際に削ってみると「ゴリゴリ」した感じで、ABSとすごく似ています。
手ごたえがあるので、やりすぎていないかな?と心配になりました。
↓そして研磨後は、すごく滑らかになりました。
↑積層痕や、造形線はしっかり消すことができました。
耐熱性や、強度が高いため、ABSと同じように使えると思います。
番外編:光造形品をヤスリがけする
ついでに、光造形でプリントしたものも研磨してみます。
使った材料は、レジンを水で洗える「水洗いレジン」という商品です。
↓サポート痕が目立つので、それを研磨して消したいと思います。
最初は、300番の耐水ペーパーを使ったところ、ガンガン削れていきました。
結果は下記の通り。
サポート痕は消えましたが、ヤスリのキズが残ってしまいました。
結果として、削ることが可能です。
キズを目立たなくするために、1000番以降の細かいペーパーを使う必要があります。
結果
結果は、以下のとおりになりました。
ABS | PLA | PP | PA | PC | |
やりやすさ | 〇 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
仕上がり具合 | 〇 | △ | △ | 〇 | 〇 |
おすすめ度 | 〇 | △ | 〇 | × | 〇 |
補足 | 後加工向き | 向かない | 意外と出来る | 吸水する | ABSに近い |
・ PLAは、研磨に向かない。
・ PPは、ABSほど良くはないが、有り。
・ PAは、吸水してしまうので、耐水ペーパーはNG。
・ PCは、ABS並みに良い。
おすすめ耐水ペーパー
↓カットされていて、いくつかの番手がセットになっているものをおすすめします。
動画で見る
動画では、詳しく検証をしていますので参考にしてください↓
リューター(ルーター)の勧め
たくさんの数を研磨したい場合や、面積の広い場合には、リューターを使うと便利です。
リューターは研磨や切断、加工を電動で行うことができるので、負担を減らすことができます。
実際に格安リューターを試してみましたので、参考にしてみてください↓
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