【最強のインフィル形状はどれ?】コスパや強度の良い充填部を徹底比較!

みなさんは、「造形物の中身」は気にしますか?

 

3Dプリンターでは、造形物の中身を「インフィル」「充填」と言います。

 

充填部のことを知っておくことで、たくさんのメリットがありますので、ご紹介します。

 

 

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インフィルの基本情報について

インフィル(充填形状)について解説いたします。

 

インフィルって重要なの?

FDM(熱溶解積層)方式の3Dプリンターの場合、仕上がりに注目が集まりがちですが、実は「造形物の中身」であるインフィル(充填)も、プリントの成功させる大切な要素です。

インフィル・充填形状

 

インフィル形状を理解し、使い分けることで、「材料コストの削減」、「プリント時間の短縮」、そして必要な「強度の確保」を実現できるようになります。

 

本記事では、目的ごとのおすすめのインフィル形状を、解説します。

 

 

インフィル充填率とは?

充填率(インフィル)とは、外側からは見えない造形物内部の「密度」のことです。

インフィル(充填)密度の違い

 

スライサーソフト上ではパーセンテージ(0%〜100%)で表示され、100%だと、内部が完全に塗りつぶされた状態になります。

インフィル密度

 

一般的には、実用的な強度と効率のバランスを考え、15%〜25%で造形することが推奨されています。

 

充填率100%を避けるべき3つの理由

「中身が詰まっているほど頑丈になる」と考えがちですが、実際には100%の充填にはデメリットがあります。

 

1. コストの増大

材料を大量に消費するため、フィラメント代が跳ね上がります。

 

2. 造形時間が長くなる

塗りつぶす面積が増えるため、プリント完了までに時間を要します。

 

3. 収縮と反り

樹脂は冷えると縮む性質があります。中身がギチギチに詰まっていると、引っ張り合う力が強くなり、モデルが土台から剥がれたり、変形したりする原因になります。

 

特にABSやPA(ナイロン)などの樹脂で、充填率を上げすぎると、難易度が高くなってしまいます。試作目的であれば10%〜20%に抑えるのが賢明です。

100%充填率

 

実は、強度を上げるためにインフィル密度を増やすのは、あまり得策ではありません。「壁の厚み」を増やす方が、材料を節約しつつ、剛性を効率よく向上させることができます。

壁の厚みを使い分ける

 

 

インフィル形状(パターン)の選び方

インフィルは、造形物の「骨組み」としての役割を果たします。

 

スライサーソフト(例:Bambu Studio)には20種類以上の形状が用意されており、それぞれの特性が異なります。

関連記事:Bambu Studioの基本操作・使い方

 

ここからは、目的別におすすめの形状をご紹介します。

 

「コスト・材料節約」を最優先する場合

まずは、フィラメントの使用量を抑え、軽く仕上げたい場合に適した形状をご紹介します。

 

フィラメント使用量が、少ない順に並べた表です↓。

フィラメント使用量が少ないインフィル・充填形状一覧表

 

1位 ライトニング(Lightning)

その名の通り「稲妻」のような構造で、モデルの天板(上面)が落ち込まないように、必要な最低限の支柱だけを生成します。内部の支えが非常に少ないため強度は低いですが、見た目だけを確認するコスパ重視の試作には最適です。

ライトニング形状

 

2位 キュービックサポート(Cubic Support)

三角形を立体的に積み上げる形状です。低層部は、インフィル密度が低いため、材料を抑えつつも、強度が保たれています。

キュービックサポート

 

3位 アダプティブキュービック(Adaptive Cubic)

キュービックサポートと似ていますが、三角形のサイズが一定に保たれるのが特徴です。高さのあるモデルでは、こちらの方が材料費を抑えられる場合があります。

キュービックサポート、アダプティブサポートの違い

 

 

「プリント速度」を重視する場合

続いて、少しでも早く完成させたい時に選ぶべき、おすすめ形状です。

 

プリント時間が短い順に並べた表です↓。

最も短時間でプリントできる充填形状

 

1位 アダプティブキュービック・キュービックサポート

最も早くプリントが終わる形状です。立体的な構造により、どの方向からの負荷にも、ある程度耐えられるバランスの良さを備えています。

キュービックサポート、アダプティブサポートの違い

 

2位 ライン(Line)

単純な平行線ではなく、編み目状に絡み合ったライン形状も、材料消費とスピードの両面で、優秀なパフォーマンスを発揮します。

 

 「強度・耐衝撃性」が必要な場合

治具や実用部品など、負荷がかかるパーツに向いている形状です。

 

① ハニカム(Honeycomb)

正六角形(蜂の巣)構造です。衝撃に対して、とても優れた強度をもってますが、材料を多く消費し、プリント時間も長くなるという弱点があります。

ハニカム構造

 

② 3Dハニカム

ハニカムを3Dフレーム化した形状です。2次元のハニカムの強みを維持しつつ、材料と時間のコストパフォーマンスを向上させた、より実用的な形状です。

3Dハニカム

 

③ ジャイロイド(Gyroid)

螺旋状の複雑な構造で、「あらゆる方向からの力」に対して均等に強いのが最大の特徴です。3Dハニカムよりも時間を短縮しやすく、人気が高い形状です。

ジャイロイド

 

 

失敗を避けるための「要注意」形状

いろいろな種類のある充填形状ですが、プリンターの機種や設定によってはトラブルの原因になることがあります。

 

形状ごとに注意点をまとめます。

 

① 「グリッド(Grid)」:ノズル衝突のリスク

昔からある定番の格子状ですが、格子の交差部分で造形線が重なってプリントされるという性質があります。

この重なりによって樹脂がわずかに盛り上がり、そこに移動中のノズルが衝突して「ガガガ」という異音が発生したり、最悪の場合は造形物がプラットフォームから弾き飛ばされることがあります。不具合が起きる場合は、線が重ならない他の形状に変更しましょう。

 

②「ジャイロイド(Gyroid)」:激しい振動

螺旋を描くためにヘッドやテーブルが激しく往復運動をするため、3Dプリンター本体が、大きく揺れることがあります。

特に最新の超高速プリンターでは影響を受けやすく、転倒を防ぐために、プリンターを安定した台や床に設置するなどの対策が必要です。

 

③「オクタグラムスパイラル」:層間密着の弱さ

八角形の螺旋形状ですが、層と層の間の密着力が弱くなりやすい傾向があります。まとまりが弱く、変形の影響を受けやすいため、強度が必要な実用部品には不向きです。

 

まとめ

インフィル設定は、3Dプリントの品質と効率を変える力を持っています。

 

◆ 形を見るだけの試作なら・・・10%程度の「ライトニング」でコストと時間を節約。

◆ 一般的な部品なら・・・15%〜25%の「アダプティブキュービック」「ジャイロイド」でバランス良く。

◆ 衝撃がかかる道具なら・・・「ハニカム系」「ジャイロイド」を選び、必要に応じて壁の厚みを増やす。

 

これらの特性を使い分けることで、3Dプリンターの可能性を最大限に引き出すことができます。