ABSフィラメントの特徴とは?

各樹脂の特徴一覧

各樹脂をFDM方式の3Dプリンターで使った場合の特徴一覧です。

  項目 ABS PLA PP PC PETG TPU PA 木質
1 全体的な造形のし易さ
2 テーブルの定着性
3 他の樹脂との相性 × ×
4 後加工のし易さ
5 匂いの無さ
6 湿気に対する強さ ×
7 価格
8 強度
9 耐熱温度

 

ABS樹脂とは?

ABS樹脂は、A(アクリルニトリル)B(ブタジエン)S(スチレン)の略で、
熱可塑性樹脂の合成樹脂です。



名称の通り3つの物質を結合した樹脂となっています。

アクリルニトリル・・・強度、耐熱性
ブタジエン・・・耐衝撃性
スチレン・・・加工性、光沢性

 

このように「見た目にも良く」「強度や耐熱性が高く」「加工や着色に向いている」と、欠点の少ないことから幅広い分野で使用されています。3DプリンターでもABSはよく使用されます。

 

電化製品全般・・・(テレビ、洗濯機、エアコン、掃除機、リモコン、パソコンなど)
台所用品・・・(ポット、ミキサーなど)
自動車部品・・・(カーオーディオ、カーナビ、シート骨格部分、外装部分など)

 

さまざまな場面で使用されているABSですが、向いていない特性もあります。

 

たとえば耐候性は弱く、紫外線を長時間受けてしまうと劣化を早めてしまうため、屋内で使用する電化製品や紫外線を浴びにくい場所などに多く使用されます。

また、耐薬品性(主に有機溶剤)が弱いため「ナイロン66」などの代替樹脂が使用されたりします。

 

3Dプリンターで使用した際のABSの特徴

ここからは、FDM方式の3Dプリンターを使用した特徴をまとめます。

 

1.全体的な造形のし易さ 〇

全体的な造形のし易さは比較的良いです。

 

ところが収縮力の強さがあるため、テーブルに定着しにくかったり反ってしまうことがあります。
近年の3Dプリンターはどんどん改良が行われてきており、解消されつつあります。

 

2.プラットフォームの定着性 △

プラットフォームへの定着性は、あまり良くありません。

 

フィラメント排出直後は定着しているように見えても、冷えてくるとだんだん剥がれてくる場合があります。
近年では剥がれにくいプラットフォームや、反りにくいフィラメントなども販売されています。

 

剥がれ対処方法

テーブルから剥がれてしまう場合は、まず正しい使用方法が出来ているかという点があります。
詳しくは下記の記事を確認してください。

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3.他の樹脂との相性 

他のフィラメントとの相性はあまり良くありません。

 

ちなみに他の樹脂との相性が良いと、様々なサポートを使用することが可能となります。

 

ABSで使用されるサポート材はHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)という樹脂になります。

 

ところが実際のところはHIPSの扱い難さがあるため、ABS自身ででサポートを建てることが多くなります。
また水溶性サポート材も使用できません。

 

余談ですが、リモネンの取り扱いは注意が必要です。

  1. 非常に強い柑橘系の匂いがする。(喚起の悪い場所だと頭が痛くなる場合があります)
  2. 造形物内(インフィル内など)にリモネンが入り込み、吐き出しが困難
  3. アルコール等を使用し、リモネンを除去する必要がある
  4. 価格が高い

 

もし使用する場合は、下記の点を注意しながら使用することをおすすめします。

  1. 喚起を良くする
  2. ゴーグルをする
  3. ゴム手袋をする
  4. リモネンを注ぐ容器は、大きめの缶などを使用する(プラスチック容器だと変形する事がある)

 

 

4.後加工のし易さ ◎

造形完成後は後加工に向いている樹脂となります。

 

表面を綺麗にするために紙やすりや耐水ペーパーなどを使用します。

 

紙ヤスリ・サンドペーパーについて

紙ヤスリには粗さによって種類があります。

 

粗さの違いを番手」と呼びます。最初は目の粗い物を使用し、徐々に細目にし、仕上げをしていきます。

  • 粗目:#40~#100
  • 中目:#120~#240
  • 細目:#280~#800
  • 極細目:#1000~#2000

 

耐水ペーパーについて

水に強い紙ヤスリというものがあります。

 

水に浸けながらヤスリを行うことで、下記のような利点があります。

  1. 耐水ペーパーを使用することで、粉塵が舞いにくくなる
  2. 摩擦による熱が帯びにくくなる
  3. 目詰まりにしくくなる

 

こちらも紙ヤスリと同様に、目が粗いものから使用していきます。
実際に耐水ペーパーを様々な樹脂に使用してみましたので、下記の記事も参考にして下さい。
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5.匂いの無さ 〇

一般的に匂いが強い樹脂と言われていますが、物によってはあまり気になりません。

 

フィラメントにもよりますが、喚起が十分にできていたり、長時間の間近くで接触していなければ問題ありません。
3Dプリンターによっては、匂いフィルター(へパフィルター)が搭載されており、環境に配慮されている機械もあります。

 

6.湿気に対する強さ 〇

湿気にあまり強いとは言えません。

 

吸湿してしまったフィラメントで造形すると「パチパチ」と水分が蒸発することがあります。そのため、PolyBoxを利用したり、使用していない時は除湿剤が入ったフィラメント保管BOXで保管するようにしましょう。

 

7.価格 ◎

ABSは比較的安価で購入することが出来ます。

 

コンシューマー向けの安い物であれば、2,000円以内から購入することが出来ます。業務用の推奨フィラメントは、5,000円~7,000円程が一般的です。

 

下記のように低価格ながら、評判の良いフィラメントも販売されています。

 

8.強度 ◎

ブタジエンが高強度な樹脂のため耐衝撃性高い樹脂です。硬すぎない為、落としても割れることが少ないです。

 

9.耐熱温度 〇

ABSの耐熱温度はおよそ70℃~110℃となっています。

 

PLAより高い温度となっていて、強度も高いことからさまざまな製品にも使用されています。例えば家電製品やノートパソコン・プリンターなどの筐体に使用されます。

 

その他の注意事項

そのほかに気を付ける内容としては、庫内温度の維持に気を付ける必要があります。

 

収縮力が強い為、外気で一気に冷えてしまうと、反りが発生しやすくなります。密閉に近い状況を作り出し、庫内温度を維持しながら造形を行いましょう。

 

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家庭用向けABSでいろいろな形状を造形してみましたので、参考にしてみてください。
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今後のABSについて

近年のABSフィラメントは、これまでの欠点を補う新商品が次々と販売されています。

ABSは冷えると反りが強くなるという特性がありますが、反りを抑えられたABSフィラメントも販売されています。

 

反りを抑えられたABSを使ってみました。
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