木質(木材)フィラメントの特徴

この記事について 【木質(木材)フィラメントの特徴】

FDM方式の3Dプリンターでは、木材のようなフィラメントを使用して造形することができます。

 

それにより温かみのある見た目のものを造ることができるようになりました。

 

今回は、木質フィラメントとはどのようなものなのかをまとめます。

 

各樹脂の特徴について

そのほかの樹脂の特徴は下記の通りです。
詳細を確認する場合は、樹脂名をクリックしてください。

項目 ABS PLA PP PC PETG TPU PA 木質
1 全体的な造形のし易さ
2 テーブルの定着性
3 他の樹脂との相性 × ×
4 後加工のし易さ
5 匂いの無さ
6 湿気に対する強さ ×
7 価格
8 強度
9 耐熱温度

 

木質(木材)フィラメントとは?

木質フィラメントは、「本物の木材を使わずに木の質感に似せている」ものと、「実際に木材の成分を混ぜてあるもの」の二通りあります。

 

木の質感に似せているフィラメント

Polymakerさんから販売されている「PolyWood」の成分はPLA100%で作られており、いわゆる「木の質感に似せているフィラメント」になります。

 

よってPLAのパラメーターで造形ができるので、造形の難しさはあまりありません。
木目調に見えれば良いという程度の場合には、こちらの方が向いています。

 

Polymakerの「PolyWood」

 

実際に木材成分を混ぜてあるもの

「PLA+木粉」などのように「樹脂+木粉」でつくられたフィラメントは、実際に木の成分を混ぜて作られています。

 

割合は商品によって異なりますが、およそ20%~60%の木粉が混ぜ込まれています。

 

こちらの方が造形の難易度は上がりますが、実際に「手触り」や「匂い」は木に近い感じを出すことができます。

 

近年では、低価格帯であっても木成分が混ぜ込まれたフィラメントが販売されています。

 

木質フィラメントの各特徴

ではここからは、実際に造形を行った結果をもとに各特徴をまとめていきます。
今回は竹60%+PLA40%の「Riase3D 木質フィラメント」という商品を使用しました。

 

1.全体的な造形のし易さ 〇

造形自体は特に問題なく完了できます。
ただ下記のように注意する点がいくつかあるので、特性を理解しながら使用する必要があります。

 

<ラフトをつかう場合は調整が必要>

造形物とラフトくっつきやすい傾向があります。

 

材料自体の強度は低いので、無理に剥がしたら割れてしまいました。

木質フィラメントでラフト

今回は、スライサーソフトで「ラフトと造形物の間隔調整」を行うことで解消出来ましたが、ラフトを使用しないという選択もありです。

 

ラフトが造形物から剥がせない場合の対処方法については↓にまとめていますので、参考にしてください。
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ラフトが剥がれない

 

<ノズル詰まりの可能性がある>

木の成分が混ぜ込んであるフィラメントは、ノズル詰まりが起きやすい傾向にあります。

 

0.4mmノズルで試した限りだと、一時的に排出されなかった時がありました。

 

この場合の対処方法として、ノズル径を大きくしたほうが安定します。

詰まりに関してはこちらの記事も参考にして下さい。
ノズル詰まり対処方法・回避方法

 

少し余談ですが、0.4mmと0.6mmの2つのノズル径で試したところ、下記のような違いがありました。

<造形線の太さの違い>

木質フィラメントノズル径の違い

 

積層ピッチの厚さの違い>

木質フィラメント積層ピッチによる違い

 

<接合部のゆるさの違い>

このモデルは、細かくモデリングされていたので0.6mmノズルだと造形線が太くなり、うまく曲がりませんでした。
0.4mmだと問題ありませんでした。

木質フィラメント_ノズル径による違い

 

ちなみに上記のモデルはThingiverse(シンギバース)さんのものでテストしました。
Thingiverse

 

2.テーブルの定着性 〇

定着性については、悪くはありませんでしたが念のため糊(ノリ)を使用するとさらに安定します。
ノリは下記のものをおすすめします。

 

3.他の樹脂との相性 ×

サポート用に他の樹脂は使用できません。

 

4.後加工のし易さ 〇

ヤスリは比較的かけやすいです。

 

木質の質感に近いということもあり、空ヤスリでも問題ありません
ヤスリをかけることで感触が滑らかになります。

木質フィラメント_ヤスリをかける前と後

 

水に浸けて耐水ペーパーも使用してみましたが、特に問題はありませんでした。
ためしに切れ端を1日中、水に浸けておきましたが、思っていたほどは吸水せずにある程度の強度は保たれていました。

木質フィラメントを水につけておいた

 

5.匂いの無さ △

匂いは多少します

 

近くに寄ると「線香花火をやっているときの匂い」が少しします。
また、フタを開けて造形していたので、周辺にはPLAの甘い匂いもしました。

 

6.湿気に対する強さ △

水に浸けていても想定よりも吸水しませんでしたが、やはり木材ということで対策は必要です。

 

念のため、PolyBox内に保管して運用することをおすすめします。

PolyBox

 

7.価格 〇

今回は業務用フィラメントを使用しましたが、水溶性フィラメントカーボンファイバーよりは安価です。

 

8.強度 △

強度はあまり強くありません。PLAも含まれている為、力をかけると「パキッ」という割れ方をします。
手で折ることもできてしまいますし、ためしにフィラメントを指で引っ張ると比較的簡単にちぎれます。

木質フィラメントを手でちぎってみる

 

9.その他の特性

<糸引き>

糸引きは、多少発生します。

 

ですが、他の樹脂と違って「除去痕が残りにくい」という特徴があります。

 

下記の写真のように糸引き除去後は、痕が残りませんでした。

木質フィラメントの糸引き除去

 

まとめ

今回は少しかわったフィラメントを扱ってみましたが、試作目的でも良いですし、触ったときの感触が少し「マット」な感じがあるので、ちょっとした小物でも使えそうです。