0.8mmノズルを実際に使ってみた結果

0.8mmノズル

3Dプリントで、次のような不満はありませんか?
・ プリント時間を短くしたい。
・ ノズル詰まりを減らしたい。

 

もしかすると、ノズル径のサイズを変えることで、お悩みを解消できるかもしれません。

 

また今回は、Creality K1という超高速3Dプリンターも使っていますので、さらに短時間なプリントが実現可能です。

 

ノズル径の大きさには種類がある

ノズル系の大きさには種類があるについて」解説いたします。

 


FDM方式の3Dプリンターは、ノズルが使われています。

 

ヒーターによって高温度で溶かされた樹脂は、押出機の力によってノズルから排出されます。ノズルの穴のサイズが変わると、「造形線の太さ」も変わってきます。

エクストルーダーキット

 

一般的なノズル穴のサイズは0.4mmですが、その他には0.2mmや0.6mm、0.8mm、1mmなどがあります。

 

0.2mmノズルは細い造形線をプリントすることができるので、小さくて細かいモデルに向いています。また、0.6mmや0.8mmノズルは造形線が太くなるため、構造がシンプルな大きめのモデルに向いています。

 

 

大きいノズルを使うデメリット

大きいノズルを使うデメリット」を3つご紹介します。

 


① 小さいモデルに向かない

1つ目は「小さいモデルに向かない」点です。

 

0.8mm系のノズルに変更すると、押し出し幅も0.8mmとなり、造形される線は太くなりますので、細かい部分が表現されにくくなり、線との間に隙間が生まれやすくなります。

0.8mmノズルと0.4mmノズルの比較_表面

 

その場合は押出幅や流量を調整して解消されるかを試します。例えば、押出幅を100%から90%に下げることで、樹脂の出力を調整してくれます。

Creality Print

 


② シーム部分が目立つ

1つ目は「シーム部分が目立つ」点です。

 

シームとは継ぎ目のことです。各レイヤーをプリントするには開始点と終了点が必ず発生します。そのつなぎ目のことを指します。

シーム(継ぎ目)が目立つ_3Dプリント

 

大きいノズル系を使うと、このシーム部分の流量が不足し、見栄えが悪くなりやすい傾向にあります。Creality Printというスライサーソフトでは、調整できますので、後ほどご紹介いたします。

 


③ 樹脂垂れが起きやすい

3つ目は「樹脂垂れが起きやすい」点です。

 

ノズルの排出口が大きいため、樹脂が垂れやすくなり、糸引きや樹脂のカスができやすくなります。ファン・リトラクション・トラベル速度などを調整することで改善できる可能性があります。

樹脂が垂れる、糸引き、痕

 

【高品質ノズル】kaika 0.6mmノズル(ネジ径、ノズル径には注意)
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大きいノズルを使うメリット

大きいノズルを使うメリット」を2つご紹介いたします。

 


① プリント時間が短縮できる

1つ目は「プリント時間が短縮できる」点です。

 

造形線を太くすることができるので、一層あたりにかかるプリント時間を減らすことができます。また、積層ピッチの値も増やすことができますので、仕上がり具合を見ながら時間短縮をすることができます。

 


② ノズル詰まりしにくい

2つ目は「ノズル詰まりしにくい」点です。

 

ノズルの穴が大きいと、ゴミ・焦げ・不要な樹脂が排出されやすくなります。それによりノズル詰まりしにくくなりますので、トラブル対応する頻度を減らすことができます。

 

Creality K1で、実際にで造形してみる

まずは、Creality K1という超高速3Dプリンターを使用して、造形します。

 


Creality K1は、自動レベリング調整かつ、超高速なため「早くてキレイな」プリントをすることができます。

 

またフィラメントは、「eSUNのPLAフィラメント」を使用しました。色はブラウンです。安価に購入することができるので、度々利用しています。

 

参考程度ですが、MVSは「32mm3/s」に設定し、0.8mmノズルを使用し、0.2mmピッチで実施しました。速度は200mm/sで行いました。

 


① シームの見栄えが良くない

まず、シーム部ですが初期設定のままでは欠損しました。継ぎ目の部分がプリントしきれていないため、汚く見えてしまいました。

 

そこで、Creality Printというスライサーソフトの「Outer Wipe Wall Distance」を0.2mmから1mmに変更しました。Advancedのトグルをオンにして、Shellの項目内に表示されます。

Creality Print設定

 

するとこんな感じで埋まりました。ちょっと埋めすぎているので、もう少し値を下げた方がいいと思います。

シーム(継ぎ目)調整後

 


② 定着が良くない

また、定着が良くないこともありました。0.4mmノズルだと発生しにくいですが、ノズル穴が大きいことによる影響が考えられます。

もじゃもじゃ、焼きそば

 

今回はInitial Layer Flow(初期層流量)を100%から105%に変更して、問題ありませんでした。

 

多少寸法に影響する可能性があります。その場合は糊(のり)を使う方法もありますので、それを試してみるのもいいです。

糊を塗る

 

 


③ 積層面の精度が下がる

続いて、側面に模様があるモデルをプリントしてみます。

 

積層ピッチは0.2mm、0.3mm、0.4mmでそれぞれプリントしてみました。まず↓0.2mmピッチでプリントしたものです。側面の模様は認識できるレベルでした。

0.8mmノズルで0.2mmピッチで造形

 

 

続いて、0.3mmピッチでプリントしたものです。模様が少し崩れているように見えます。

0.8mmノズルで0.3mmピッチ

 

 

続いて、こちらは0.4mmピッチです。模様が完全に崩れてしまいました。

 

一般的に使われる0.4mmノズル、0.2mmのピッチでプリントしたものは、模様はくっきりと表現されているのがわかります↓

 

並べてみるとこんな感じで、一番左は0.4ミリノズル0.2mmピッチで、続いて0.8mmノズルの0.2mmピッチ、0.3mmピッチ、0.4mmピッチと続きます。

 

流量や押出幅を調整すれば、少しマシになるかもしれませんが、側面部に模様がある場合には注意が必要です。

 

さらに造形してみた モデル①

つづいて、下記のようなモデルを造ってみます。

0.8mmノズルで造形するモデル

 

早速ですが、造形結果を記載していきます。 分かりやすいように0.4mmノズルで造ったものと比較してみます。


<底面部>

0.8mmノズルと0.4mmノズルの造形比較_底面

シェル(壁)の線の太さが明らかに違うことがわかります。

 

0.8mmノズルと0.4mmノズルの比較_表面

線が太いために、細かいところが塗りつぶせていません。

 

0.8mmノズルと0.4mmノズルの比較_表面

こちらも同様に線の太さが違います。

 

これくらい小さいモデルには向いてませんね。

 


<積層面>

続いて積層面です。

0.8mmノズルと0.4mmノズルの比較_積層痕

積層ピッチ(レイヤーの高さ)に違いがあるので、0.8mmノズルの方が積層痕がめだっています。ちなみに0.8mmノズルは0.3mmピッチで、0.4mmノズルは0.2mmピッチで作成しています。

 


<造形時間について>

 

上記のモデルを作る時間に、大きな違いがありました。

ノズル径 積層ピッチ 造形時間
0.8mmノズル 0.3mmピッチ 1時間3分
0.4mmノズル 0.2mmピッチ 4時間43分

3時間以上も早くつくることができました。

 

実際に造形してみる モデル②

せっかく0.8mmノズルを使うので、もっと大きい物を作ってみます。

 

工具などを収納する大きめのケースです。

大きめのケース

 

では造形結果です。

0.8mmノズルでつくった大きいケース

結構きれいに仕上がりました。

 

下の写真は横から見た積層部です。

0.8mmノズルでつくった造形物_積層痕

ちょっと見にくいですが、あまり積層痕はめだっていません。

 

積層ピッチは0.6mmで作成しています。この大きさで6時間10分で造れましたので非常に早いです。

 

ここまで変わる!? プリント時間について

プリント時間の違い」についてご紹介いたします。

 


この植木鉢でプリント時間の違いを比較します。モデルのサイズは180mm×180mm×160mmとなります。

 

 

スライス結果は以下のようになりました。

3Dプリンター速度 ノズル径 積層ピッチ 造形時間
ハイスピード機 0.4mm 0.2mm 13時間14分
ハイスピード機 0.8mm 0.2mm 11時間37分
ハイスピード機 0.8mm 0.3mm 8時間37分
ハイスピード機 0.8mm 0.4mm 7時間21分
標準スピード機 0.4mm 0.2mm 81時間51分

 

上記のように、ハイスピード3Dプリンターを使うと、プリント時間の大幅な短縮ができます。また0.8mmノズルを使うことで、さらなる時間短縮が見込めます。

 

以上、0.8mmノズルを使用した結果とプリント時間の違いについて詳しく説明しました。0.8mmノズルを使うことで、プリント時間の短縮が可能であることが示されました。特に大きなモデルを迅速にプリントする必要がある場合には、このノズルサイズの利点が際立ちます。

 

まとめ

ある程度大きいモデルを作る場合は、非常に効果的でした。

項目 説明
0.8mmノズルとは? 穴が0.8mmのノズルのこと
メリット 1.造形時間が短くなる。
2.定着が良くなる。
デメリット 1.造形線がめだつ。
2.積層痕がめだつ。
3.小さいモデルは、端部にスキマができる。

 

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