とにかく頑丈なものを造形する5つのコツ

今回はFDM方式の3Dプリンターで「とにかく頑丈なものを造形するコツ」をまとめます。

 

もっと強度がほしい場合などに参考になれば幸いです。

 

①樹脂を選ぶ

どの樹脂を使用するかが、一番重要なポイントになります。

 

強度を求める場合は、下記の特性が高いものを選ぶようにしましょう。

※リンクをクリックして頂くと樹脂例も表示されます。

 

お使いの3Dプリンターによっては、使用できる樹脂が限られるかと思いますので、その中で選びましょう。

 

強度が高いフィラメントも安価に購入することができるようになりました。

 

②充填形状を選ぶ

スライサーソフトで、充填形状を選ぶことによって、強度を高めることができます。

 

充填形状とは「外からは見えない、中身の形状」のことです。

充填形状について

 

そしてこの形状によって、「強度」が変わります。

 

例えば下記のような「同心円状」という形状があります。

同心円状

同心円状は、デザインに沿うようにして形状が描かれますが、壁同士は接触していないため、外からの力に対して弱い傾向があります。

 

また一方で、下記のような「ジャイロイド」という形状があります。

ジャイロイド形状

またの名を「ジャイロイド構造」とも呼ばれますが、3方向に無限に連結する構造です。
層ごとに縦にも横にも自然な流れで連結しているので、非常に強度が高い形状です。

 

そのため、強度を高めるためには「ジャイロイド」を使用することをおすすめします。

 

その他に強度が高いものに「ハニカム構造」や「格子状」などがありますので、目的に応じて選ぶようにしましょう。

 

下記の記事でも説明していますので、合わせてお読みください。
関連記事

3DプリンターのFDM(熱溶解積層)方式では、よく使用するワードとして、流量や充填率があります。それらの設定を調整することで、様々な種類の造形が可能になります。用語の意味や特徴などを、実体験の情報を元に解説したいと思います。 &nbs[…]

 

③充填密度を増やす

またの名を「充填率(じゅうてんりつ)」とも呼びます。この数値を上げることで、強度を高めることができます。

 

充填率ってなに?という方は、下記の記事を合わせてお読みください。
関連記事

3DプリンターのFDM(熱溶解積層)方式では、よく使用するワードとして、流量や充填率があります。それらの設定を調整することで、様々な種類の造形が可能になります。用語の意味や特徴などを、実体験の情報を元に解説したいと思います。 &nbs[…]

 

通常は10%~20%程度ですが、さらに数値を増やすことで、強度をアップさせることが可能です。

 

そして充填率を増やすと、下記のようなデメリットが起きますので注意が必要です。

 

  • 造形時間が増える
  • 重量が増える
  • 使用するフィラメントの量が増える
  • 造形難易度が高くなるケースがある

 

特に4つ目の「造形難易度が高くなるケースがある」という部分は、使う樹脂によって変わります。

 

たとえばABSPA(ナイロン)は、収縮力が強いため、反りや剥がれがおきやすい樹脂です。
そこにさらに充填率を上げてしまうと、より一層樹脂同士の接着力が強まるため、反りが起きやすくなるのです。

 

充填密度を上げるのは、非常に効果的ですが、やりすぎに注意しましょう!

 

④流量を増やす

3Dプリンターで造ったものに強い力を加えると「積層間で割れる」ということが起きます。

 

たとえば下の写真は、強い力を加えた結果、積層割れしたケースです。

積層割れしたもの

 

ちなみに「積層間」とは、層の境目のところになります。

3Dプリンターの構造上、上記の写真のように、線と線の接着部はどうしても弱くなってしまいます。

 

構造上しかたないのでは? と言う声も聞こえてきそうです。

 

確かにその通りで、樹脂の限界があります。

 

ですが、「割れにくく」する対策のひとつに、「流量を上げる」という方法があります。

 

要は、1本1本の線を太くして、積層間の接着力を高めようということです。

 

通常、スライサーソフトでの流量は100%なので、それを110%~120%程度変更をします。

 

また、変更するのは「充填部のみ」にしてください。

 

というのも「外壁」や「1層目」などの流量も増やしてしまうと、見栄えや定着具合に影響がでるためです。

 

過信はできませんが、強度にこだわりたい場合は試してみて下さい。

 

⑤モデルの置き方を考える

上でも少しご説明しましたが、積層間は強度が低いため、力を加えると割れやすくなります。

 

その対策のひとつに「層が少なくなる置き方をすること」がポイントになります。

 

たとえば板を造形する場合、どちらの方が割れにくいでしょうか?

積層を減らす置き方

 

答えは「横置き」になります。

 

縦置きは層の数が増えてしまい、積層割れがおきやすくなります。造形される「形状」をよく観察して、置き方を工夫しましょう。

 

まとめ

造ったものが脆い・割れやすいなどが起きる場合は、各項目を再確認してみてください。

項目 説明
樹脂を選ぶ 強度特性の高い樹脂を選ぶ
・耐衝撃性
・耐摩耗性
・靭性
・機械的特性
充填形状を選ぶ ハニカム構造やジャイロイド構造を選ぶ
充填密度を増やす 充填密度を増やすことで強度を高められる
デメリットにも注意する
流量を増やす 1本あたりの線を太くして接着力を高める
モデルの置き方を考える 積層割れに強い置き方をする

 

YouTubeで、本ブログの内容を分かりやすくを解説しています

 

3Dプリンターを、どれにするか迷っていませんか?

 

Creality Ender-3 V3 SE」は、FDMをこれから始める方には間違いなくおすすめできる3Dプリンターです。

↓サンステラさんでは、サポートも充実していますので、安心して使えます。