ここでは、一番よく使われる「FDM方式」について説明しています。これからの活動で少しでもお力になれれば幸いです。
3Dプリンターの使い方・初心者向けの入門講座!
この記事を最後まで読んで頂くと下記のことを習得できます。
- 始め方~完成までのイメージを習得
- 各用語の意味を習得(それぞれの単語のリンク先を参照することで習得)
- 導入しやすいソフトウェアのご紹介
最初にあると良い知識
パソコンの予備知識

というのも3Dプリンターは、ほとんどの場合でパソコンを使用します。全行程の5割~6割くらいがパソコン作業です。苦手な方は、基本的な操作は出来るようになっておいたほうがいいですね。
ソフトウェアの使い方は覚える必要がありますが、直感的にやれることが多いです。また近年は、Youtubeや専門サイトが増えているので、調べればほとんどのケースで解決します。
3Dプリンターの予備知識

ソフトクリームのように「線を積み上げて形にする」というものです。

この積み上げていくイメージが後々、大切になってきます。見たことがない方も、完成までのイメージを持っておいてください。
下記は、一般的なFDM方式の造形動画です。
※動画は、途中から8倍速で早送りしています。
少しだけ話をしますと、この線の1本1本の太さや高さは、「細くしたり、厚くしたりすること」が可能です。そうするとどうでしょうか? 完成した造形物の仕上がりが変わってくると思いませんか?
3Dプリンターの開始から完成までの流れ
それでは、全体の流れを簡易的に説明したいと思います。大きくは下記の4つの工程に分かれます。

それでは、工程の順番通りに詳しく解説していきます。
①データを入手・作成・取込
3Dプリントするには、「3Dデータ」を用意する必要があります。
・WEBで公開しているデータをダウンロードする
・自分で作成(設計)する
・スキャナで取り込む
のいずれかになります。
WEBで公開しているデータをダウンロードする方法
造形する3Dデータは、無料でダウンロードすることが可能です。
そして最も有名なのがThingiverse(シンギバース)というサイトです。英語ワードで検索する必要がありますが、たくさんの方がデータをアップロードしていて種類が豊富です。
ダウンロードサイトは主に下記のものがあります。
サイト名 | URL |
Thingiverse | https://www.thingiverse.com/ |
YouMagine | https://www.youmagine.com/ |
Cults3D | https://cults3d.com/ |
例えばThingiverseで良いデータが見つかり、3Dプリンターで造形したとします。それを他の人に販売したり改変して利用すると著作権で問題になるケースがあります。Thingiverseのサイトで個別のデータをご覧になると分かりますが、アップロードされている個々のデータは「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」で著作権の意思が表示されています。
1からモデルを「作成」する方法
CADソフト・CGソフトを使用すると、自分でモデルを作成することが出来ます。
ところが無料のものでも全然できますので、まずは気楽に試してみると良いです。また、操作に関しては、Youtubeや操作ガイドサイトもあるので利用すると良いと思います。
ちなみに無料CADソフトは下記のようなものがあります。
ソフト名 | URL |
FreeCAD | https://www.freecadweb.org/ |
Design Spark Mechanical | https://www.rs-online.com/designspark/mechanical-software-jp |
SketchUp Free | https://www.sketchup.com/ja/plans-and-pricing/sketchup-free |
上記以外にもオススメできるソフトウェアの一つに、Autodesk社のFusion360があります。
→ Fusion 360(※体験版ダウンロードもこちらから)
また、Fusion360をこれから覚えようという方は下記の書籍をおすすめします。
私もこの書籍を使ってみましたが、手順通りに進めていくだけで自然と使い方を覚えることができました。
※その気になれば1週間程度でおおよその操作を覚えることができます。
3Dスキャナーで「取込み」する方法
既に実在するものをデータにすることができる「3D スキャナー」があります。
例えばモデルをスキャニングした際、読み取りに苦手な光の加減や色・素材というものがあるため、完全にはデータ化しきれないことがあります。その場合は、修正作業が必要となります。
修正作業は、ソフトウェアを使って手作業で直していくことになります。
②スライサーソフト使用
印刷条件の決定
造形する3Dデータが用意できたら、「どのように」造形するかをパソコンを使って設定していきます。
スライサーソフトでは、主に下記のことを決めます。
- モデルの置き向き
- モデルの大きさ
- 複製
など

・「造形物が空中に浮いてしまう部分はどうすればいい?」
→もっと詳しく解説:オーバーハングとは?
・「もっと滑らかに造形したいけどどうすればいい?」
→もっと詳しく解説:積層痕を滑らかに見せる
スライス処理を行う
条件が決まったらスライス処理を実施します。
プレビュー画面では、「仮想上で造形プロセス」を確認することができます。
たとえば下の画像のように、スライス後は「層に分断」されていることが分かります。
実際の造形は、これ通りに忠実にプリントしていくことになりますので、しっかり確認しておく必要があります。
Gコードに変換する
先に断っておきますが、この工程はスライサーソフトが自動で行ってくれますので、ご安心ください。
その翻訳する言語を「Gコード」と呼びます。

Gコードを理解できる人は、3Dプリンターの動きを微調整することもできます。ご興味がある方は、勉強してもいいと思います。
3Dプリンターへデータを送る
Gコードに変換した後は、3Dプリンターへデータを送ります。
- USBメモリを使用してデータを渡す
- 有線・無線LANを使用してデータを送る
- USBケーブルを使用してデータを送る

このあたりは、お使いの機械に従って作業します。
③プリント実行
データが3Dプリンターに送られたら、造形を開始します。
実行すると、下記のような構造で材料(フィラメント)を液体化させ、線を書いていきます。

- 「フィラメント(材料)」を上から挿入します。
- フィラメントは「送りギア」により下に運ばれます。
- 「ヒートシンク」でフィラメントが冷却されます。
- 「ノズルヒーター」でフィラメントに熱を加えます。
- 「ノズル」から液体化された樹脂が排出されます。
完成したら、スクレーパーなどを使用しテーブルから取り外します。
④後加工
サポート除去
完成した造形物によっては、サポート材が付くものがあります。
造形が完成してしまえば、これらを除去する必要があります。
除去する場合は、精密ニッパー、ラジオペンチ、ピンセットなどを駆使して除去します。
3Dプリンターを使っていると、「サポート材の除去作業」というのが必ず発生します。 除去するには「どういう工具を揃えればいいの?」や「あると便利なものって何?」などの疑問をまとめましたので、少しでも手助けになれば幸いです[…]
また、近年では水に溶けるサポート材というのもあり、手で剥がす必要がありません。
→水溶性サポート材(PVA)とは?
ヤスリがけ
紙ヤスリ(耐水ペーパー)などで見栄えを綺麗にすることがあります。

ABSなどの樹脂は、ヤスリ掛けすると表面をツルツルにすることが可能です。

接着
造形物同士をくっ付けたい場合は、接着剤を使用します。
例えば、大きすぎる造形物を2分割した後でくっ付けるということがあります。

接着テストなんかもしてみましたので、参考にどうぞ。
→接着テスト
まとめ
掻い摘んでではありますが、多少イメージすることはできましたでしょうか?
3Dデータによって「作りにくい形状」は必ず存在しますので、万能ではないというところもポイントになります。
おすすめ入門機
下にご紹介するような安価な3Dプリンターは、PLAという「失敗の少ない樹脂フィラメント」を使います。それによりまずは成功体験を得ることができます。やってみて造形物をつくるという体験は、すごく大切だと感じます。
そしてこれらの商品は、多くの方がWEB上で情報を公開しているおかげで、セットアップや使い方に困ることがあまりありません。
これを機会に試してみてはいかがでしょうか?