スライサーソフト(スライスソフト)について、こんな疑問はないでしょうか?
・ スライサーソフトには、どんな役割があるの?
・ スライサーソフトを使いこなしたい。
本記事では、スライサーソフトに関して、基礎的な知識をまとめています。
私自身は、3Dプリンターのサポートや保守の仕事をしていますので、その経験値が参考になれば幸いです。
スライサーソフトとは?
スライサーソフトの語源は「モデルを層ごとにカットする(スライスする)」というところから名づけられています。層ごとにカットして、具体的にどのように積み上がる(造形される)かをパソコン上でシュミレーションすることができます。
他にも重要な役割がありますが、スライサーソフトとはつまり、3Dプリントをするための前準備をするためのソフトウェアという言い方もできます。
引き続き、その役割を具体的にご紹介していきます。
スライサーソフトの役割
① プリント条件を決める
一口に3Dプリントすると言っても、全てオートで行ってくれるわけではありません。たとえば「モデルの置き向き」や「個数」などは人が決める必要があります。たとえば↓のような項目があります。
・ プリントするモデルの数
・ プリントするモデルの大きさ
・ プリントするモデルの置き向き(角度)
↓は置き向き調整の例です。
上記は、基本的な項目だけでしたが、仕上がりやプリント時間などを配慮すると、さらに細かい設定を調整する必要があります。たとえば・・・
・ 線の太さ(押出幅やフロー)の調整
・ プリント速度の調整
など
つまり、作品の出来栄えは、3Dプリンターの性能以外にも「オペレーションする人のスキル」が大きく関わってくるということになります。
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② プレビューを表示する
先ほど決めた条件をもとに、パソコンの画面でプレビューを表示させることができます。プレビュー画面は、モデルを層ごとにスライス(カット)された状態で表示されるので、実際のプリントに近い状態を確認することができます。
この画面では、以下の情報を確認することができます。※製品によっては確認できない項目もあります。
・ プリントに必要なフィラメントの量
・ 塗りつぶし具合
など
この段階で、イメージと違った場合は、①の「プリント条件を決める」の項目に戻り、再設定を行います。
③ 3Dプリンター言語に変換する
たとえば、パソコンで使うエクセルやワードを紙に印刷する場合は、「プリンタードライバー」というソフトウェアが必要ですよね。
もし、プリンタードライバーがないまま印刷の指示をかけても、プリンターはうんともすんとも言いません。なぜならプリンターが理解できる言語になっていないからです。
3Dプリンターも同様で、スライサーソフトがこの役割を担っています。この言語は「Gコード」と呼ばれており、それに従って3Dプリンターは動作します。
スライサーソフトが自動的にGコードに変換してくれるので、オペレーターが理解する必要はありません。
スライサーソフトを使いこなすコツ
① 仕上がりをイメージする
プリントが成功するか失敗するかは「条件を設定したときに決まっている」と言っても過言ではありません。たとえば正円をプリントするつもりが、楕円になってしまったということがあります。
つまり、重力を加味して、頭の中でどれだけ正しい仕上がりをイメージできるかがポイントになります。
そのため、たくさん経験を積むことがとても大切になります。FDM方式の3Dプリンターであれば、材料費は安いので、抵抗なく失敗できるかと思います。
② 機能を把握する
基本的な機能は、どのスライサーソフトも同じです。ところが細かい機能はソフトによって違いがあります。このような機能を把握しているかどうかで、仕上がりに大きく影響します。
一例をあげると、中空が存在するモデルに「サポート」という柱を建てることがあります。サポートは自動で設定してくれますが、面積の小さいモデルは、うまくサポートが建たないケースがあります。その場合は「手動でサポートを建てる機能を知っているかどうか」がカギになります。
スライサーソフトによる機能の違い
たとえば、以下のような機能を搭載しているものもあります。
・ モデルを好きなところでカット(分割)することができる。
・ STLファイルが壊れている場合、簡易的な修復ができる。
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