PP(ポリプロピレン)フィラメントの特徴とは?

この記事について 【PPフィラメントの特徴とは?】

本記事は、BUSF社 Ultrafuse PP フィラメントを使い、3Dプリンターで造形した情報を元にしています。

 

どのような特性があり、使い勝手はどうなのか?という視点で作成しておりますので、今後PPの導入を考えていらっしゃる方に少しでも参考になればと思います。

 

PP(ポリプロピレン)とは?

PP(ポリプロピレン)は、樹脂の中でも最も比重が低く、耐摩耗性や機械的強度、耐薬品性に優れた樹脂です。耐熱温度も高くおよそ100℃~130℃と高温です。

 

その性能の高さからさまざまな業界で使用されています。

製造部品・・・自動車関連部品、治具
食品包装容器・・・トレイ、フィルム、キャップ、各容器(ヨーグルトなど)
日用品・・・CDケース、収納トレイ、ロープ、洗面器、ストロー、タッパー
医療品・・・注射器

 

基本的な成形方法は「射出成型」「押出成形」「ブロー成型」となります。

 

熱可塑性樹脂のためFDM方式の3Dプリンターでも使用が可能となっていますが、細部の再現性やサポート材の剥がしにくさ等が課題となっており、フィラメントの改良に期待がかかります。

 

各樹脂の特徴一覧

他の樹脂を3Dプリンターで扱う場合の特徴一覧です。

項目 ABS PLA PP PC PETG TPU PA 木質
1 全体的な造形のし易さ
2 テーブルの定着性
3 他の樹脂との相性 × ×
4 後加工のし易さ
5 匂いの無さ
6 湿気に対する強さ ×
7 価格
8 強度
9 耐熱温度

 

PPの主な特徴

1.全体的な造形のし易さ △

  1. プラットフォームに専用テープやシートを張る必要がある
  2. 細部が荒くなりやすい
  3. サポートがある造形が苦手

 

造形のし易さについては、PPで実際に造形しましたので、その記事をご覧になった方が分かりやすいと思います。

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2.プラットフォームへの定着性 △

プラットフォームテーブルへの定着性は良くありません。

 

つまり収縮力が強いので、プラットフォームから剥がれやすくなってしまいます。

 

そこで、PPテープやPPシートをプラットフォームに張り付けて、その上に造形します。

 

PP同士はよく引っ付きあうので、その特性を利用しています。

 

毎回、PPテープやPPシートを張り付けなければならないので、手間やコストがかかります。

 

また、テープやシート張り付けた場所でしか造形が出来ないので、大きいものには不向きです。

 

3.他の樹脂との相性 △

他の樹脂との相性は良くありません。

 

それによりサポート材は、同じ樹脂であるPPを使用することになります。

 

そして、PP同士は非常にくっ付きあうため、サポートともくっつきやすくなってしまいます。

 

造形時は、「モデルとサポート材の間隔」をややあけ気味にする対応が必要となります。

 

 

4.後加工のし易さ △

後加工にはあまり向きません。

 

ヤスリをかけれないことはないですが、そこまで大きな効果を得られませんでした。造形物にヤスリを掛けてみた記事があるので、よろしければご覧ください。

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5.匂いの無さ ◎

匂いは特に問題ありません。

 

しかし、ノズルに樹脂が付いたりコゲなどがあると多少発生します。

 

6.湿気に対する強さ 〇

湿気に対しては、弱くもありませんが、強くもありません。よって、通常通り除湿剤が入ったBOXPolyBoxなどに保管しましょう。

 

7.価格 〇

PPの価格は、ある程度高くなります。

 

商用のPLAやABSなどに比べると高く、1巻 8000円~10,000円程度となります。しかし、混ぜ物をしてあるPPフィラメントはさらに高い場合があります。

 

家庭用プリンターでは、PPを使える機械が少ないことから、ラインナップも少ない傾向にあります。

 

 

8.強度 ◎

強度は強く、柔軟性もあるため、ぶつけたり、落としたりしても問題ありません。

 

PPは強度が強く、耐熱温度も高いことから様々な製品に使用されています。
※自動車内装部品、おもちゃやフィルム、日用品など

 

9.耐熱温度 ◎

PPの耐熱温度高く、100℃~130℃ほどになります。

 

また、日常品などでよく見るプラスチックにPS(ポリスチレン)があります。PSの耐熱温度は70℃~90℃のため、PPの方が耐熱温度は高いことになります。

 

よって、PPで造られた容器は電子レンジに使用できることも多いです。コンビニなんかで電子レンジができるものはPPが多いはずです。

 

PPのその他の特性

重量について

PPはプラスチック素材の中では最も比重が低いです。

 

ところが、PPにはフィラーという充填剤が混ぜてあるケースがあります。その充填剤が原因で、比重が多くなる場合があります。よって何を混ぜ込んであるかでも変わってきます。

 

ところで、充填剤が混ぜてあると何が良いのかおわかりでしょうか?

 

ガラスフィラーなどの充填剤が混ぜ込んであると、強度が増したり、反りが抑えられたりします。

 

要は、樹脂をより使いやすくしたり、特性を伸ばすことが出来ます。

 

反りなどが強すぎて、造形が失敗する場合は、充填剤が混ぜてある樹脂を使用した方が良いこともあります。

 

 

耐摩耗性が高い

PPは、耐摩耗性が高いです。

 

耐摩耗性とは、どういうことでしょうか?

 

簡潔に言うと「摩耗しにくい」ということです。他の部品やパーツと多く接触しても、物質が減りにくいということになります。

 

PPは強度、耐摩耗性、耐薬品性、柔軟性もあることから、幅広い製品に使用されていますが、3Dプリンターでは、FDM方式の精度がどこまで追いつくかが課題となっています。

 

まとめ

PPをFDM方式で造形すると、やはり難しい点がいくつかあります。

実際の造形のコツなどを下記の記事でご確認下さい。
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