この記事について
この記事は、デュアルノズル(2つのノズル)時によく使うシールドとタワーについて解説しています。
この機能を使用することで、仕上がりが格段に良くなる場合があります。
仕上がりがイマイチ良くない場合などに、ご参考にしてみて下さい。
シールド(ウォール・壁・ワイプウォール)とは?
造形物の周りに作成する壁のことを言います。
呼び方については、スライサーソフトによって呼び方が違います。
※ワイプウォール、オーズシールド、シールドなど
シングルノズルよりは、デュアルノズル時によく利用します。
下図は、ワイプウォールの例(造形物の周りにある白い壁)

メリット
この壁を作成することで、下記のようなメリットがあります。
- ノズルに付着したカスを壁が回収してくれる。
- 熱が逃げにくくなり、反り対策になる。
デメリット
下記のようなデメリットがあります。
- フィラメントを多く使用する。
- 造形時間が長くなる。
- 造形完成後、壁はゴミとなる。
なぜカスが発生するのか?
シールドの効果として、フィラメントのカスを回収してくれるというのがあります。
それは、ノズル内のフィラメントが垂れ落ちてしまうからです。
デュアルノズル(2つのノズル)を使用する場合は、交代交代に動作します。
そうすると、片方は必ず待機状態になります。
待機中は、ノズル温度は下がらないことが多いです。
そうすると、重力によってノズル内のフィラメントが垂れ落ちてきます。
その状態で、順番が来てノズルが移動すると、造形物にカスが付着してしまうのです。
カスはどのように回収するのか?
それは、壁の上をノズルが通った際に、垂れかかったカスを壁に付着させます。
要は、造形物に付いてしまう前に、他に付けちゃおうということです。
タワー(または柱)とは?
タワーとは、試し書き用の造形物のことです。
これもスライサーソフトによって呼び方が異なります。
※ワイプタワー、プライムピラー、柱など
造形完成後に塔のような形状になるので、「タワー」と呼ばれます。

メリット
タワーのメリットは、下記の通りです。
- 造形開始直前の試し書きをしてくれる。
- 垂れたフィラメントのカスを回収してくれる。
デメリット
デメリットは下記の通りです。
- フィラメントを多く使用する。
- 造形時間が長くなる。
- 造形完成後、壁はゴミとなる。
なぜ試し書きが必要なのか?
それは、ノズル内のフィラメントが不足し「空のまま造形」してしまうのを防ぐことができます。。
上記の「なぜカスが発生するのか?」で記載した通り、ノズルから垂れ落ちてしまうとノズル内にあったはずのフィラメントが少なくなってしまいます。
その状態で、造形を始めると、最初の方は「空打ち」状態となってしまいます。
それを防ぐために、造形直前にタワー状の「試し書き」を行ってから造形に移ります。
垂れたフィラメントのカスはどのように回収するのか?
垂れたフィラメントは、タワーで回収することも出来ます。
タワーを建てなかったり、タワーの位置が悪いとカスが造形物に付着して、「ヒゲ」化します。
下記の記事に「ヒゲ」化を回避するプロセスを書いてますので、確認してみて下さい。
この記事について【水溶性サポート材(PVA)で造形】 デュアルノズル(2つのノズル)搭載の3Dプリンターでは、モデル材とサポート材を使用することができます。 近年では、水に溶けるサポート材(P[…]
タワーが垂れたフィラメントを回収している画像。
※タワーにいっぱいヒゲが付いてくれています。

まとめ
フィラメントが垂れてしまうと「糸引き」という症状が発生します。
フィラメントの垂れによる糸引き問題については、「リトラクト」を使用する方法があります。
ところが樹脂の問題などで、「リトラクト」でも解決できない場合があります。
垂れや糸引きで悩んでいる場合は、下記の記事もご覧ください。
3Dプリンターのリトラクトとは? FDM方式では欠かせないリトラクトについて解説します。リトラクトとはどういう機能でしょうか? 特徴など参考にして頂き、造形成功の手助けになれば幸いです。 […]
その場合は、今回のようにいかに造形物にカスが付かないかと言う考えが必要となります。
シールドやタワーをうまく活用して、綺麗な造形物を造形してみて下さい。