積層ピッチ(レイヤーの高さ)、ノズル径(ノズルサイズ)とは?

FDM方式の3Dプリンターでよく使われる「積層ピッチ」や「ノズル径」という言葉をご存じでしょうか?

 

この2つは、造形の仕上がりに大きく関係します。

 

この記事では、それぞれの意味や関連性をまとめていますので、是非一読下さい。

 

  • 積層ピッチとは?
  • 積層ピッチが及ぼす影響
  • ノズル径とは?
  • ノズル径が及ぼす影響
  • 積層ピッチと、ノズル径の関係について

 

 

積層ピッチ(レイヤーの高さ)とは?

積層ピッチ(レイヤーの高さ)とは1層あたりの厚みを表します。

 

1層ごとの単位はmm(ミリ)で表現され、3Dプリンターのスペックを表す指標の一つとなっています。

 

標準値は0.2mmになっていることが多く、近年では0.05mm等の高精細な造形を行うことが可能となっています。

積層ピッチが及ぼす影響

積層ピッチを変更することにより、下記のような影響が発生します。

  1. 見栄え
  2. 造形時間

 

① 見栄え

積層ピッチを変更することにより、見栄えに影響します。

 

下の写真は、「0.16mm」と「0.3mm」を比較した物です。

0.16mmと0.3mmの積層ピッチ(レイヤーの高さ)の比較

0.16mmの方は、層が目立っていないことがわかります。

 

このように、1層あたりの厚みが薄くなれば「積層痕が目立たない造形物」をつくることができます。

 

また下の写真は、段階的に見比べたものです。

積層ピッチの違い_見た目

0.4mmまでいってしまうと、かなり目立ってきます。

 

しかし大切なのは「できあがった物をどのように使うか」なので、必ずしも薄い方が良いわけではありません。

 

積層痕については、以下の動画でも解説しています↓

 

また、積層痕を滑らかに見せるコツを下記の記事でご紹介していますので、参考にしてください。
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積層痕とは?滑らかに見せるコツ

 

② 造形時間

積層ピッチを変えることにより、造形時間が変わります。

 

たとえば積層ピッチを薄くすると、「積層の数」が増えます

 

そうすると、多くの層をプリントしなければならないため「多くの時間」がかかってしまうのです。

 

例えばこのようなモデルをスライスしてみます。

 

左が0.2mmピッチで、右が0.1mmでスライスした結果です。

積層ピッチの時間の比較

0.1mmピッチの方が、時間がかかっています。

 

こちらも大切なのは、「できあがった物をどのように使うか」なので速ければ良いという訳ではありません。

 

積層ピッチは、どんな時に変更すればいいの?

積層ピッチは、どんなときに変更するのでしょうか?

 

それは、どれくらいの仕上がりを求めるか?」を明確にしてみて下さい。

 

例1:「仕上がりはあまり気にしない」と言う場合
→積層ピッチを0.3mmにする。
例2:「仕上がりは良くしたい」と言う場合
→積層ピッチを0.1mmにする。
例3:「仕上がりはそこそこで良い」と言う場合
→積層ピッチを0.2mmにする。

 

ところが、仕上がりは積層ピッチだけでは決まりません。

 

以降で説明していますが、ノズル径とのバランスが大切になります。

 

積層ピッチとノズル径の関係について

ここまで積層ピッチとはどのようなものかをご説明しました。

 

積層ピッチによって「ある程度の仕上がりに影響する」ということが分かったかと思います。

 

ところが仕上がりに関しては、積層ピッチに加えてノズル径もトータル的に考える必要があります。

 

引き続き、ノズル径についてご説明します。

 

 

ノズル径(ノズルサイズ)とは?

ノズル径とは、フィラメントを排出するノズルの直径幅を指します。

 

標準のノズル径は、0.4mmとなります。
また小さいサイズは0.2mm、大きいサイズは0.6mmなどもあります。

 

近年では、ノズル単体でも安価に販売されるようになってきましたね。

 

ノズル径のサイズ変更に伴う影響

ここからは、「ノズル径のサイズを変えるとどうなるのか?」をご説明します。

 

  1. 線の太さ
  2. 造形時間
  3. 積層ピッチ
  4. 使用するフィラメントが限られる

 

① 線の太さ

ノズル径を変更することにより、造形する1本1本の線の太さが変わります。

 

下記の画像は、0.2mmノズルと0.6mmノズルで造形した場合の比較です。

0.2mmノズルと0.6mmノズルの線の比較画像

0.6mmノズルの方は、線の痕がめだっていることが分かります。

 

そのため、仕上がりを良くしたい場合は0.2mmノズルを使用し、あまり気にしない場合は、0.4mmや0.6mmノズルを使用します。

 

そして、「小さいもの」をつくる場合は「小さいノズル径」を使う必要があります。

 

たとえば下のネジの写真は、かなり小さいモデルのため、0.2mmノズルでつくったものです。

細部まできれいに造形できています。

 

このように小さいものは、小さいノズルでプリントする必要があります。

 

② 造形時間

ノズル径のサイズによって、造形時間に違いが発生します。

 

塗り絵の場合、太いクレヨンを使うと早く塗りつぶせますが、細いと多くの時間が必要になりますよね。

 

それと同じで、ノズル径が細いと、多くの時間が必要となります。

 

例えば、こちらは0.2mmノズルと0.6mmノズルでスライスした場合です。

1本1本の線の太さが違うことが分かります。

 

そしてそれぞれの造形時間は、下記の通りになりました。

造形時間の比較

線が細い0.2mmの方が、多くの時間が必要です。

 

このように、小さいノズルを使うと造形時間が多く必要となります。

 

③ 積層ピッチ(レイヤーの高さ)

ノズル径のサイズは、積層ピッチとおよそ比例させる必要があります。

 

本記事でも、「積層ピッチとノズル径」は大きく関連しますと書かせて貰っています。

 

例えば、0.6mmのノズルを使用し、0.8mmの積層ピッチで造形するとどうなるでしょうか?

 

結果としては、積層間が安定しなくなってしまいます。

 

こちらは、その条件で造形した結果です。

ちょっと極端な例ですが、積層間が安定していないことが分かります。

 

この場合、0.6mmノズルを使用するのであれば、0.3mmあたりの積層ピッチが適正となります。

 

では、ノズル径や積層ピッチは、どのように決めればいいの?と思いますよね。

 

おすすめする決め方としては、

  1. 造形物のサイズに合わせて、ノズル径を決める
  2. ノズル径が決まったら、積層ピッチを決める

という順番であれば、問題ありません。

 

対応する数値は下記のとおりです。

  ノズル径 積層ピッチ
0.6mmノズル 0.24mm~0.4mm
0.4mmノズル 0.18mm~0.24mm
0.2mmノズル 0.1mm~0.12mm

あくまで参考値ですので、詳しくはご使用のメーカーに確認して下さい。

 

④ 使用するフィラメントが限られる

ノズル径が小さい場合は、使用できるフィラメントが限られます。

 

フィラメントは、入口から出口にかけて、スムーズに流れていく必要があります。
そのため出口が狭い場合、フィラメントを送る機構に負荷がかかりノズル詰まりが発生することがあります。

 

よって、小さいノズル径を使う際は、フィラメントの種類に注意が必要です。

 

下記は、0.2mmノズルでの使用が難しい樹脂の例です。

  • エラストマーフィラメント
  • PA(ナイロン)フィラメント
  • PP(ポリプロピレン)フィラメント
  • カーボンファイバーフィラメント

 

0.8mmノズルの動画を見る

Creality K1という超高速プリンターで0.8mmノズルを使ってみましたので、↓の動画も参考にしてください。

 

まとめ

このように、積層ピッチとノズル径には密接な関係があります。

メーカーによっては、数値バランスがテンプレート化されており、気にする必要がないものもあります。

 

  項目 説明
積層ピッチとは? 1層あたりの厚みのこと
積層ピッチが及ぼす影響 ①見栄え
②造形時間
ノズル径とは? ノズルの直径幅のこと
ノズル径サイズ変更に伴う影響 ①線の太さ
②造形時間
③積層ピッチ
④使用するフィラメントが限られる
積層ピッチとノズル径には関連がある ノズル径を先に決め、それに伴った積層ピッチを決めること

 

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