PC(ポリカーボネート)フィラメントについて、こんな疑問はないでしょうか?
・ オススメ商品はどれ?
この記事では、このような疑問にお答えしています。
PCフィラメントの特徴とは?
① 耐衝撃性が高い
強い衝撃をうけても割れにくいという特徴があります。そのため車のヘッドライトや部品、外装などにも使われています。樹脂の中ではもっとも高く、ABS以上の性能があります。
② 耐熱温度が高い
およそ120℃の耐熱温度があります。こちらもPLAやABSよりも高く、高温環境で使われることもあります。
③ 耐候性が高い
耐候性とは、日光や温度・湿度による影響を示す度合いのことです。PCはこれが高いため、屋根やゴーグルなどにも使われています。
他のフィラメントとの違い
それぞれの違いを以下にまとめましたので、参考にしてください。
項目 | ABS | PLA | PP | PC | PETG | TPU | PA | 木質 | |
1 | 使いやすさ | 〇 | ◎ | △ | 〇 | ◎ | △ | △ | 〇 |
2 | テーブルの定着性 | △ | ◎ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | 〇 |
3 | 他の樹脂との相性 | △ | ◎ | △ | 〇 | × | 〇 | 〇 | × |
4 | 後加工のし易さ | ◎ | △ | △ | 〇 | 〇 | △ | △ | 〇 |
5 | 匂いの無さ | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | △ |
6 | 湿気に対する強さ | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | △ | △ | × | △ |
7 | 価格 | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | △ | 〇 |
8 | 強度 | ◎ | △ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | △ |
9 | 耐熱温度 | 〇 | △ | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ | – |
PCフィラメントの各特徴
1.使いやすさ
以下の2点のポイントを抑えておけば、使いやすいフィラメントです。
・ 糸引きが発生しやすい
この対策については、本記事の後半でご紹介します。
2.テーブルの定着性
テーブルへの定着性は良いですが、温度を100℃~110℃まで上げる必要があります。規定温度まで出力できる3Dプリンターを使う必要があります。
また、糊は使わなくて問題ないことが多いです。逆に張り付きすぎてしまうことがあるのでギャップ調整やスライサー調整はとくに注意が必要です。剥がしやすくするコツは後述しています。
3.他の樹脂との相性
PCで建てたサポートは、取りにくい傾向にあります。
要は同じ樹脂だとくっ付きすぎてしまう傾向があります。
サポート専用樹脂はPolysupportや水溶性サポートを使用することが可能なフィラメントもあります。
後加工のし易さ 〇
実際に耐水ペーパーで削ってみましたが、ABSに近い感覚がありました。
ヤスリ掛けに関しては、下記の記事で検証しましたのでご覧ください。
3Dプリントしたあとの仕上げ作業で、このような疑問をもったことはないでしょうか? ・ ヤスリがけ(研磨)は、どの樹脂にも有効なの?・ どれくらいの仕上がりになるの?・ 手ごたえはどんな感じ? ABSを含め[…]
匂いの無さ 〇
造形中の匂いについては、特に気になりません。
湿気に対する強さ 〇
ある程度、吸湿してしまいますので防湿対策は必要です。
フィラメントの問題点 フィラメント樹脂は湿気を吸収する性質があるため、そのまま常湿で置いておくと一気に状態が変化してしまいます。吸水率は樹脂の種類によって異なりますが、ひどい場合は1日~2日で吸湿具合を実感[…]
価格 〇
価格はあまり高くありません。
家庭用3Dプリンターでも安価なものが販売されています。
強度 ◎
プラスチック系では耐衝撃性がかなり高いため代表的な樹脂となっています。
そのため、下記のような用途に使われています。
- カメラのレンズ
- ヘッドライトの外装カバー
- 看板
- 家電製品の筐体・カバー
<試験棒の折れにくさを比較>
試験棒を使って、PCとABSの折れにくさを比較してみました。
造形条件は同じにしました。
<手で曲げてみた感想>
手で曲げてみましたが、結果的には両方とも折れました。
感触としては、ABSよりもPCの方が硬く、戻ろうとする力を強く感じられました。
耐熱温度 ◎
耐熱温度は110℃前後となっています。
その他の特性
耐難燃性が高い
近年では「難燃性」(燃えにくい)PCフィラメントも販売されています。
透明性が高い
透明性が高い為、カバーなどにも使用されます。
まとめ
PCをFDM方式の3Dプリンターで扱うには、多少のコツが必要となります。
プラットフォームに張り付きすぎたり糸引きが発生したりと問題もありますが、うまく解決できれば非常に有効な材料となります。また、PCで造形時の注意点や起きやすい症状を下記にまとめています。
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