今回は「セメダインのEP001N」という接着剤を使い、いろいろな樹脂をくっつけてみましたので、ご興味のある方はぜひ一度ご覧ください。
どんな時にくっつけるの?
主に↓のような、2つのパターンで使われることが多いですね。
- オーバーハングがあるモデル
- 大きいモデル
1.オーバーハングがあるモデル
FDM方式の3Dプリンターは、オーバーハングのある形状は苦手とされています。
たとえばオーバーハングとは↓の部分を指しますが、この部分は「重力の影響」を受けてしまい表面が荒れやすくなります。
そこでモデルをカット(分割)し、「オーバーハング部分を無くして」造形を行うことで、きれいに造形することができます。
2つの造形物を接着すれば完成となります。
2.大きいモデル
3Dプリンターの造形エリアを超えるモデルは、1回では完成しません。
例えば↓のようにエリアを超えてしまうと当然ですが、作ることはできません。
そんなときは、↓のように造形物を2分割してつくります。
そして出来上がったものを接着して完成となります。
モデルをカットする時は、CADで処理しても良いですし、最近ではスライサーソフトでも行えますのでそれを利用します。
関連記事:モデルカット機能あり→Creality Printの便利機能【9選】
今回使う接着剤について
高強度タイプの弾性接着剤で、一般的なエンジニアプラスチックの接着に適しています。
3Dプリンター接着用に良さそうです。
同梱物
・ A剤:エポキシ樹脂(100%)
・ B剤:変成シリコーンポリマー(100%)
・ 混合用ヘラ
溶剤を混ぜるヘラは付いていますが、テーブルは入っていません。
接着に向いている樹脂
商品に表記されている、接着に向いている樹脂です。
・ ABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン)
・ PC(ポリカーボネート)
・ PBT(ポリブリレンテフタレート)
市場でよく使われるABSは使えるようです。
接着できないもの
商品の表記上、接着に向かないものは下記の通りです。
・ PE(ポリエチレン)
・ PP(ポリプロピレン)
・ POM(ポリアセタール)
・ フッ素樹脂
・ 貴金属類
最近の3Dプリンターは、PPを使って造形することができますが、今回の接着剤には向いていません。
今回検証する樹脂
検証する樹脂は下記の通りです。
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2.Raise3d 純正プレミアムPLAフィラメント(赤):Amazonで探す
3.Polymaker PC-Max(白):Amazonで探す
4.Polymaker Polyflexフィラメント:Amazonで探す
5.PolyMide CoPA (ナイロン) フィラメント:Amazonで探す
今回は、同じ素材同士はもちろんですが、違う樹脂の接着も試しました。
接着をはじめる
① 商品を開封し、予め準備しておいたテーブル上にA剤・B剤を出し、ヘラを使って混ぜ合わせます。
感触としては、サラサラではなく粘性があります。
② 造形物に塗り付けていきます。
今回は「円状」のモデルを1つの樹脂に付き6個ずつ造形しました。
接着剤は放置してしまうと、固まっていきますので手早く塗っていきます。
※商品のパッケージにも塗る作業は、20分以内を推奨しています。
③ 一通り塗り終えたら接着させます。分厚い参考書を重石にして40分ほど放置します。
④ 40分経過したら、接着完成です。
商品の説明では、「約40分で動かなくなり、24時間後には実用強度になります。」との記載があります。ある程度待つことでさらに接着力が増すようです。
結果
それでは「どれくらいしっかりとくっ付いているか?」を確認していきます。
固定後、60分後に確認作業を行いました。また工具などで無理には剥がそうとせず、手の力で剥がそうとしてみました。
結果は下記の通りです。
◎ : 手では剥がせませんでした。
〇 : 手でがんばれば剥がせました。
× : 手で力を加えると剥がせました。
・ 同じ樹脂の接着は、Flex(ゴム系)を除いて問題ありませんでした。
・ 他の樹脂との接着は、Flex(ゴム系)を除いて、基本的には問題ありませんでした。
感想・分析
3Dプリンターでよく使われるABS・PLA・PC・PAは良くくっ付いてくれたので、使用できるシーンはかなり多いと思います。また接着剤のコストパフォーマンスが良いので、1つあっても損はないかと思います。
注意点としては、「大きい造形物をどのように固定しておくか」というところです。形状によっては重石を載せれないこともあります。また「A・B剤を混ぜ合わせるテーブル」も予め準備しておく必要があります。
今回検証した接着剤
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