この記事について
よく光造形方式とFDM方式は、何が違うの?というお話を聞きます。
今回は、その違いについて6つのポイントで、簡潔にまとめます。
- 見た目の違い
- 可動部の数の違い
- 材料の違い
- 仕上がりの違い
- 後処理の違い
① 見た目の違い
当然ですが、本体の見た目に違いがあります。
まず光造形機は、必ずと言っていいほど半透明なカバーが付いています。
なぜかというと、主に理由は3つあります。
- 光を通さないようにするため
- 中が見えるようにするため
- 匂いを広げないため
光を通さないようにするため
材料は光をあてることによって硬化してしまいますので、カバーをすることで不要な硬化を防ぐ意味があります。
中が見えるようにするため
3Dプリンターは、失敗する事もあります。
そのため、造形中は中の様子が見れるように半透明になっています。
匂いを広げないため
レジンと言う材料は、ある程度の匂いがします。
カバーをすることで、匂いを広げるのを防ぐことができます。
また一方でFDM方式では、外カバーが付いているものと、付いていないものに分かれます。
その最大の違いは、「扱える樹脂の多さ」になります。
つまり、下記のような考え方をします。
- 「外気に触れても影響しない樹脂」→ カバーがありません。
- 「外気に触れると影響がでてしまう樹脂」→ カバーがあります。
家庭用FDMで、カバーがされていないものは、「扱える樹脂の種類は少ない」ということになりますね。
またカバー以外にも下記のような見た目の違いがあります。
- 機械の大きさ
- 構造
② 可動部の数の違い
物理的な可動部の数に違いがあります。
- 光造形:可動部が少ない
- FDM:可動部が多い
そのため、「音が静かで、物理的な故障が少ない」という特徴があります。
それにより、「動作音が大きく、駆動部の故障が起きやすい」という特徴があります。
③ 材料の違い
材料にも違いがあります。
光造形では、「レジンと呼ばれる液体樹脂」を使いますが、FDMでは、「フィラメントと呼ばれる糸状の固形樹脂」を使います。
それぞれの特徴は下記の通りです。
- 匂いが強い
- 光で硬化する
- 湿気に弱い
- 熱に弱いものもある
- 樹脂の特性を活かせる
④ 仕上がりの違い
下記の写真のように、積層痕の仕上がりに違いがあります。
滑らかに仕上げたい場合は、光造形の方が向いています。
⑤ 後処理の違い
造形が出来上がったあとの、後処理に違いがあります。
- レジンを流す必要がある
- 乾燥させる必要がある
- 2次硬化させる必要がある
- サポート材の除去
- サポート材の除去
⑥ 用途の違い
それぞれの用途が違います。
- 光造形:フィギアや小物・アクセサリーなどで使うことが多い。
- FDM:治具や試作品などの工業向けに使われることが多い
光造形の最大の特徴は、「滑らかに仕上げることが出来る」ところなので、フィギアや小物・アクセサリーの用途に使われます。
一方FDMは、高強度・高耐熱などの「樹脂の特性を活かすことができる」ので、製造業で多く利用されます。
まとめ
項目 | 説明 | |
① | 見た目の違い | ・光造形:半透明カバーが必ずある ・FDM:カバーがあるものとないものがある |
② | 可動部の数の違い | ・光造形:音が静か、物理的な故障が少ない ・FDM:音が大きく、駆動部の故障が起きやすい |
③ | 材料の違い | ・光造形:液体樹脂 ・FDM:固形樹脂 |
④ | 仕上がりの違い | ・光造形:滑らか ・FDM:荒い |
⑤ | 後処理の違い | ・光造形:工程が多い ・FDM:工程が少ない |
⑥ | 用途の違い | ・光造形:フィギアやアクセサリーなどの小物 ・FDM:製造業などの製品に近いもの |
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