光造形の仕組みについて

この記事について

家庭でも企業でも使われている光造形の3Dプリンターですが、実は仕組みに違いがあります。

 

今回は、その仕組みの違いや構造・メリットやデメリットについてまとめます。

 

  • 光造形方式とは?
  • 光造形の仕組み
  • 光造形の構造
  • 光造形のメリット・デメリット

 

①光造形方式とは?

3Dプリンターと一口で言っても、全体で見ると下記のような方式に分かれます。

 

  1. 材料押出法(FDM方式)
  2. 光造形方式(液槽光重合法)
  3. 材料噴射法(インクジェット方式)
  4. 結合剤噴射法(バインダージェット方式)
  5. 粉末焼結方式(SLS方式)
  6. 指向性エネルギー堆積法

これらは「どのような方法で付加製造(アディティブマニュファクチャリング)するか」の違いになりますので、それぞれ構造が異なります。

 

ちなみに各方式の特徴については、下記の記事も参考にして下さい。
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光造形はこれらの方式の内のひとつで、レジンという「光で硬化する液体」を材料とします。

 

発光するパーツには、UVレーザーやプロジェクター・液晶ディスプレイなどを使っています。
この光をレジンに向けて照射させることにより、硬化します。

 

家庭用としても広く普及しているので、身近な3Dプリンターのひとつとなりますね。

 

 

②光造形の「照射方向」の種類

光造形には、UVレーザーを照射する方向によって2種類の方式が存在します。

 

  • 自由液面法
  • 規制液面法

 

自由液面法

上から光をあて、プラットフォームが下がっていく仕組み」を自由液面法と言います。

 

この方式は、プラットフォームを下降させることにより、造形物の上に液体を広げます。

そこに光を照射させ、液体を硬化させます。

この作業を繰り返すことで層が積み上げられます。

3Dプリンター自由液面法の説明図

液体がうまく広がらない時のために、ならす役目のリコータが付いているものもあります。

 

規制液面法

下から光を照射し、プラットフォームが上昇する仕組み」を規制液面法と言います。

 

自由液面法と比べて、液体が広がりやすいので、造形時間が早くなります。

造形物は「逆さ吊り」の状態で完成されます。

3Dプリンター光造形 規制液面法

 

③光造形の「照射タイプ」の種類

光造形方式は、光硬化性樹脂(レジン)という液体に紫外線をあてて固める方式です。

 

その紫外線の当て方には、次の3タイプがあります。

  • SLA方式
  • DLP方式
  • LCD方式

 

SLA方式

この方式の特徴としては、UVレーザーを使用して「ライン状」に紫外線を照射します。

 

メリットとしては、解像度が高く、精度の高い造形を行うことができます。

その一方でデメリットとしては、造形時間が長くなるケースがあります。

光造形SLA方式の説明図

 

DLP方式

DLP方式は、SLA方式と違い「面で照射」します。

 

そのため、「面積の広いもの」や「数が多い場合」は短時間で造形を行うことができます。

使用する光源には、「プロジェクター」を使用しているので本体は高価になります。

光造形DLP方式説明図

 

LCD方式

構造はDLPと同じで、面で照射することができます。

違いは「液晶ディスプレイ」を使用しているところです。

 

液晶ディスプレイは安価で流通しているので、安い光造形機に組み込まれています。

光造形LCD方式の説明図

 

 

④光造形機の構造

下の写真は、「規制液面法」「LCD方式」の3Dプリンターです。

光造形機の説明

 

⑤光造形のメリット

  • 滑らかに仕上がる
  • 複数個の造形速度が速い

 

滑らかに仕上がる

材料が液体ということもあり、滑らかに仕上げることが出来ます。

 

たとえば下記の写真は、光造形とFDMでそれぞれ同じモデルを造形したものです。

ちなみに積層ピッチ(レイヤーの高さ)も同じ0.2mmで造っています。

FDMと光造形の仕上がり方の違い

光造形の方が滑らかに仕上がっていますね。

 

複数個の造形速度が速い

面で照射できることから、モデルの数が増えても造形時間は変わりません

 

下記の写真は、「1個だけの場合」と「3つの場合」の造形時間を比較したものです。

光造形、個数を変えた時の造形時間

造形時間はどちらの場合でも変わっていないことが分かります。

一度に多く造る場合は、「光造形の方が効率的」となります。

 

⑥光造形のデメリット

  • 強度が低い
  • 光に弱く、長期保存に向かない
  • 材料の匂いが強い

 

強度が弱い

以前までは材料の種類が限られており、強度が低いという特徴がありました。

ところが近年では、ABSライクレジンやPPライクレジンと言った強度の高い材料が出始めています。

 

しかしながら数万円の家庭向けでは、使用できない材料が多く、業務用に限られます。

 

光に弱く、長期保存に向かない

光の影響を受けやすいので、造形物を長期使用することはおすすめできません。

 

材料の匂いが強い

FDM方式で使われるフィラメントよりも匂いが強くなります。

 

そのため、換気できる環境が必要となります。

頭が痛くなりやすい方は、防臭マスクなどを装着すると良いでしょう。

 

安く購入できる光造形機

滑らかに造形できる光造形機は、家庭用でも数万円から買うことが出来るようになりました。

 

 

まとめ

項目 説明
照射方向の種類 ・自由液面法(上から照射)
・規制液面法(下から照射)
照射タイプの種類 ・SLA方式
・DLP方式
・LCD方式
光造形機の構造 駆動部はZ軸のみ
光源が内蔵されている
光造形のメリット ・滑らかに仕上がる
・複数個の造形速度が速い
光造形のデメリット ・強度が低い
・光に弱く、長期保存に向かない
・材料の匂いが強い

 

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