水溶性サポート材とは、水で溶かすことができるサポート材です。
今回、Bambulab A1 miniで使ってみたところ、かなり精度良く使えましたので、ご紹介したいと思います。
この記事では、以下のことが分かります。
・ Bambulab A1 miniの性能
使った機器・備品など
① 使った3Dプリンター
まず3Dプリンターですが、Bambulab A1 miniを使います。
加えてAMS Liteという、4つのフィラメントを切り替えるオプションも使います。
本体はもちろんですが、このAMSがとても重要になります。
A1mini AMSについては、他の記事にまとめています↓
関連記事:【Bambu Lab】A1 mini combo(AMS Lite)を徹底レビュー!
② 使ったフィラメント
モデル用フィラメントは、「Bambu PLAフィラメント」を使います。安定していて、かなり使いやすいです。
水溶性フィラメントは、「eSUNのPVAフィラメント」を使います。500gで3,500円から4,000円くらいです。PVAはちょっと割高ですが、他のメーカーと比べると安め設定です。
ちなみにPVAは、ポリビニルアルコールと呼ばれていて、水に溶けやすい樹脂です。給水して使い物にならなくなるとコストダメージがでかいので、使っていない時や湿気の多いシーズンはしっかり防止対策をしておいた方がいいです。
③ スライサーソフト
スライサーソフトは「Bambu Studio」を使います。CuraやPlusaなんかも使えるようですが、今回はAMSのフィラメント切り替え機能を使うので、このソフトを使います。
Bambu Studioの操作方法は↓こちらをご覧ください。
動画で見る
本記事は、動画で視聴することもできます↓
スライス設定について
フィラメントの設定ですが、eSUNのテンプレートはなさそうですね。なのでGeneric PVAというものを選んでいきます。
もししっかりとパラメーター情報を登録しておきたい場合は、eSUNのウェブサイトに細かいパラメーター情報が載っていますので、一度確認してみるのもいいと思います。
話を戻しまして、サポートタブの有効化にチェックを入れます。
角度は、初期設定の30度のままにします。微妙なオーバーハングがある場合は、適宜調整します。
「Support/raft base」「Support/raft interface」を両方ともPVAにします。続いて「トップ面とのZ間隔」と「低面とのZ間隔」を0mmにします。
↑この項目は、PLAをサポート剤として使う場合は、0.2mm程度にすることで剥がしやすくするのですが、今回は手で除去する必要はなく、水で全て溶かしますので、0mmにして隙間をなくします。
続いて「トップ接触面間隔」を0mmにします。
すると、「モデルと接触するサポート面の密度」が上がります。これで「サポートの上のモデル部」を、安定させることができます。
続いて、その他のプライムタワーを少し変更します。プライムタワーとは、試し書きで使われるのですが、初期値は結構でかいんですよね。でかいと貴重なPVAを多く消費してしまうので、小さくします。
「幅」と「プライム量」を15mmに変更します。小さすぎても良くないので適度な大きさにすれば大丈夫です。
続いて、データをプリンターへ転送します。機器を登録しておくと、USBメモリを使わなくてもデータ送信できて便利です。
水で溶かしていく!
① 1回目のテストプリント
プリントした結果は、こんな感じで出来上がりました。
↑見た目では何も言うことはなさそうですね。樹脂が適正なところに、しっかりプリントされています。
それでは水の中に入れて溶かしていきます。数分経つと、少しずつ溶け始めてきて、白くモヤモヤしたものが落ちるのが分かります。
違うメーカーのPVAを使った時は、ここまで早く溶けませんでしたので、フィラメントによる違いも結構ありますね。eSUNのフィラメントは、早く溶けていい感じです。
モデルを振ってみると、だいぶ溶けてくれています。今回は早めに終わらせたかったので手で剥がしていきます。ヌルヌルするので、ピンセットとか使うといいですね。
今回は冷水を使いましたが、温水にすると、溶けるのが早いと思います。さらに早く溶かしたい場合は、超音波洗浄機を併用するといいです。
一通り剥がし終えましたが、どうでしょうか。とても綺麗に仕上がっています。水を拭き取っておよそ完了です。
以前使っていたデュアルノズルの3Dプリンターは、サポート剤がモデル内に埋まってしまい、完全に取り除けなったことがあります。
今回はそんなことはなく、PVAがキレイに除去されています。
② 2回目のテストプリント
続いて、このようなマニュホールド形状を、プリントしてみました。このパイプの中って、通常のサポートだと取り除きにくいんですよね。
今回は何も手を加えずに、半日ほど放置してみます。↓は、1時間くらい経ったところです。だいぶ溶けてきてますね。
10時間ぐらい経ちましたので見てみます。水は完全に白く濁りました。モデルは、外も中もキレイに溶けています。
サポートを取る作業が全くないので、めちゃくちゃ楽です。1回目とちがい、緩やかなオーバーハング部分があるモデルなので、難易度は高いはずですが、とてもいい感じに仕上がりました。
A1 mini AMS Liteが、水溶性サポートに向いている理由
最大の理由は、「1つのノズルでフィラメントを切り替えられる点」です。
これまでは、デュアルノズル方式の3Dプリンターで使うことが一般的でした。デュアルノズルとは、つまり「2つのノズル」を使ってプリントする方式です。
これは、左側のノズルでモデル部をプリントし、右側のノズルでサポート部をプリントします。この方式の難しいところは、左右のノズルで高精度な位置合わせをする必要がある点です。
左右のノズルの位置が合っていないと、造形線が重なってしまったりします。最近のプリンターは、キャリブレーション精度が高くなってきていると思いますが、それでもまだ、この課題は残っていると感じます。
今回取り扱った、BambulabのAMS Liteでは、「1つのノズルで、複数のフィラメントを切り替える」ことができます。つまり、使うノズルは1つなので、そもそもズレるという概念が解消されます。
手で剥がせる専用サポート材もある
今回は、水で溶かすサポート材をご紹介しましたが、「手でカンタンに剥がせる専用サポート材」もあります。
手で取れないような複雑な形状は、水溶性サポート材が向いていますが、手でとれる場合には、こちらの方が向いています。
最大の利点は、「モデルと接する部分を密着させた状態」でも、めちゃくちゃ剥がしやすい点です。もし1種類のフィラメントでサポート部を作ってしまうと、密着して剥がせなくなってしまいますが、これであれば問題ありません。
多少お高いですが、もしこだわりたい方は挑戦してみてください↓
