今回は、0.2mmノズルを使うと、どれだけキレイにプリントできるのかを検証しました。
この記事では、以下のことが分かります。
・ 0.2mmノズルを使うメリットおよびデメリット
検証に使った機器・材料・ソフトについて
今回は、「A1 mini」という3Dプリンターを使います。ワークサイズは小さいながらも、高精度で使いやすい3Dプリンターです。
この機械のスペック・詳細は、別の記事にまとめています↓
関連記事:【Bambu Lab】A1 mini combo(AMS Lite)を徹底レビューした!
また、フィラメントはBambu LabのPLA BASICを使います。色味が個人的に好きなフィラメントです。バンブーラブ公式ストアだと4,000円ちょっとで、売られています。
あと、今回の主役ですが0.2mmのノズルです。ヒートシンクとノズルが1つのユニットになっています。
本体に、マグネットでくっ付く仕組みになっています。ネジ止めしなくていいので、交換がとても簡単です。
価格は1,980円でした。最近のノズルはやや高めの傾向かもしれませんが、価格に負けていないと思います。
スライサーソフトはBambu Studioを使います。このソフトは0.2mmノズルのパラメーターが最初から準備されています。
関連記事:Bambu Studioの使い方・ダウンロード・インストール方法
さらに0.08mmや0.06mmなどの、高品質テンプレートまでちゃんと用意されています。設定に迷うことがないので、めちゃくちゃ嬉しい点ですね。
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【こんなに違う!?】プリントして比較した結果
↓下の写真は、3D Benchyというモデルを30%に縮小して、プリントしたものです。どっちが0.2mmのノズルか分かりますでしょうか?
答えは、「左側が0.2mmノズル」となります。
0.4mmノズルもいい出来なんですが、こうやって比べると、やはり積層や表面の粗さに違いが出ますね
続いて、積層を見ていくとこんな感じです。ちなみに0.2mmノズルの方は、0.1mmの積層ピッチでプリントしています。
Bambu Studioの0.06mmの、積層ピッチのテンプレートもありますので、もっと滑らかなものも作れそうです。
次は底面部です。A1 miniはテクスチャプレートなので、模様ががった仕上がりになります。その関係で、ちょっと文字が見づらくなっていますね。よく見ると0.2mmノズルの方は、何とか文字を読むことができます。
続いて、このようなモデルをプリントしてみます。内側と外側の円の間には隙間があり、クルクル回るようになります。
原寸大だと、こんな感じです。問題なく回すことができます。写真だとちょっと分かりにくいですね。
では、50%に縮小した場合だとどうでしょうか。これも問題なく回転します。こんな小さくても回るので、すごいですよね。
では、さらに小さくして、30%まで縮小するとどうでしょうか。小さすぎて持てないので、ラジペンとピンセットを使います。これも問題なく、回転できています。
小さすぎて手元がもたつきましたが、スムーズに回すことができました。こんな小さいものまで回せるのは、すごいですよね。
続いて、こちらは0.4mmノズルで作ったもの。100%スケールでプリントしたものです↓ 問題なく回転します。
↓こちらは50%と30%に縮小して、プリントしたもの。30%の方は、プリントに失敗してくっついちゃってます。ちょっと細かすぎたようです。
そして、50%の方は、形になっていますが、内側と外側の円がくっついてしまい、分離させられませんでした。やっぱり0.4mmノズルだと、差が出るもんですね。
続いて、このような、細かいモデルをプリントしてみます。通常、光造形でないと再現できないんですが、0.2mmノズルだとどうでしょう。
結果はこんな感じ↓になりました。どうでしょうか、かなりいい感じにできています。てっぺんの凹凸は再現できていませんが、ビルの窓や横の文字などはしっかりプリントされていますね。
そして、こちらは0.4mmノズルでプリントしたもの。フィラメントの色が違うので、ちょっと比較しにくいかもしれませんが、それでも積層や細かいとこの違いが分かります。
また、参考程度ですが、こちらは光造形方式でプリントしたものです↓ 方式が全く違うので、比較にはなりませんが、光だとこれくらいキレイに仕上がります。
ELEGOO Mars4というプリンターで出力しましたので、ご興味があればそちらの記事も参考にしてください↓
続いて、積層やオーバーハング・文字の再現性が分かる、こんな感じ↓のモデルをプリントしました。
↓は、それぞれのノズルで比較した写真です。0.4mmノズルの方は文字がちょっとボケ気味かな。0.2mmノズルの方はシャープに見えます。
↓続いて、表面部分を見てみると、0.2mmノズルの方が、シャープに表現されています。文字は潰れていませんし、円柱の積層もキレイです。
こんな感じで比較をしましたが、ここまで違いがあるんですね。
0.2mmノズルを使うメリット
① 造形線が目立たなくなる
1つ目のメリットは、「表面の造形線が目立たなくなる」点です。
こんな感じで、線の太さには結構な違いがありました。0.4mmノズルでも、調整すれば良くなりますが、細かいプリントは、やっぱり0.2mmがいいですね。
② 積層面がシャープになる
2つ目のメリットは、「積層面の文字がシャープになる」点です。
このように↓、0.2mmノズルを使うと積層ピッチも細かく設定されますので、横から見た文字は、クッキリ表現されるようです。
③ 小さいものを作ることができる
4つ目のメリットは、小さいものを作ることができる点です。
0.4mmノズルで小さいモデルをプリントすると、精密なものは作りにくいです。その場合は、0.2mmノズルにすると、より細かいものを作ることができます。
0.2mmノズルを使う注意点とデメリットについて
① 高精度な3Dプリンターを使う
注意点の1つ目は、「高精度な3Dプリンターを使う必要がある」点です。
これは、私の経験値だけで言ってしまいますが、0.2mmノズルを使っても、3Dプリンターの精度が低いと、思ったような仕上がりになりません。
3Dプリンターは、色々な要素が重なり合ってプリントされます。例えば、フレーム軸やビルドプレートがグラついていたら、それだけで精度は下がりますし、制御やスライサーソフトによっても、変わってきます。
最近では、自動キャリブレーション機能の精度も大切です。さらに、フィラメントは、熱収縮などの影響も受けやすいため、品質や運用方法によっても仕上がりが変化します。
なので、3Dプリンターの製品や樹脂選びにも、気をつけた方がいいと思います。
② プリント時間が長くなる
注意点の2つ目は、「プリント時間が長くなる」点です。
0.4mmノズルと比べて、造形線の本数は増えますし、積層の数も増えるので、基本的にプリント時間は長くなります。
ただ、今回試したA1 miniでは、150mm/sで動かしているので、結構早いんですよね。以下のモデル↓では、4時間半くらいでプリントできています。最近は、高速プリントができる製品が標準になっているので、0.2mmノズルでも使いやすくなっています。
もっと早くプリントができれば、0.2mmノズルが標準になる日も近いかもしれないですね。
③ ノズルの付け替えが手間
注意点の3つ目は、「ノズルの付け替えが必要」な点です。
0.2mmノズルに付け替える必要がありますので、単純にそれが面倒ですね。
ただ、A1miniはノズルの付け替えがめちゃくちゃ楽になっています。およそ5分以内には交換できるので、昔よりそこまで手間ではないです。
そのうち、AMSみたいな、ノズルを自動で切り替えるシステムとか導入されるといいですね。