皆さんは3Dプリンターについて、このようなことで悩んでいないでしょうか?
・ 自宅で使っても大丈夫?
3Dプリンターは、プラスチックを熱処理しているので、体にいい感じはしませんよね。
そこで今回は「ご自宅でも簡単にできる換気システム」を使ってみましたので、ご紹介します。
「健康への影響が気になる」「換気対策のヒントが欲しい」といった方は、是非最後までご覧ください。
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3Dプリンターが及ぼす人への影響
① 有害物質の影響
まず1つ目は「有害物質の影響」についてです。
FDM方式の3Dプリンターは、高温のヒーターノズルを使って、樹脂を溶融させます。
その際に発生する「VOC(揮発性有機化合物)」が、人体に影響を及ぼすと言われています。
VOCとは、空気中に排出される有機化合物で、3Dプリンターを稼働させた場合、200種類以上の物質が発生するとも言われています。
この200種類のうち、およそ90%が超微粒子になります。つまり直径0.1mmよりも小さい粒子が空気中に放出されます。
このとても小さい微粒子は、肺の奥まで入り込み、血管、呼吸器系などにダメージを与えてしまうという可能性が指摘されています。
またこの物質には、ホルムアルデヒドやスチレンなどの「発がん性の高いもの」が含まれていると言われているので、できる限り対策をしておきたいところです。
② 臭いについて
二つ目は「臭いについて」です。
3Dプリンターを使うと、独特な臭いを発します。特にレジンは、強い臭いを感じる場合があります。
この臭いが原因で頭痛、目まい、吐き気を起こしてしまう方もいます。
3Dプリンターを、使える専用の空間があればいいですが、自宅ではなかなか難しい場合もあります。
なにが効果的? 対策方法【5選】
① フィルターを取り付ける
対策の1つ目は「フィルターを取り付ける」です。
3Dプリンター本体には、フィルターが搭載されている製品があります。よく使われているHEPAフィルターは、0.3μm程度の粒子をフィルタリングすることができます。
ところが、微粒子は0.1mmもの小ささになるので、すべての有害物質をフィルタリングできない可能性があります。
とはいえ、活性タフィルターなどは匂いを軽減してくれる効果もありますので、利用したいところです。
ちなみに、フィルター搭載機種には「Creality K1C」や「Bambu Lab X1E」などがあります。
② しっかりと換気する
対策の2つ目は「しっかりと換気をする」です。
使用中は「窓やドアを開ける」「換気扇の近くで使う」といった対策が効果的です。
夏場や冬場は窓を開けたくないと思ってしまうかもしれませんが、可能な限り行うことをおすすめします。
どうしても難しい場合は、後半でご紹介するような、「排気・換気の仕組み」を、作っていただきたいです。
③ プリント中は近寄らない
対策の3つ目は「プリント中は近寄らない」ことです。
私も以前は、プリンターの近くで造形の様子を見ていましたが、今では、あまり近づかないようにしています。
とはいえ、全く近づかないということはできないので、可能な限り近寄らないという意識を持っておきましょう。
この場合、エンクロージャーが、カバーが壁の役割をしてくれるので、を使うのもいいと思います。
ですが、当然カバーを開けると漏れてきますので、換気システムの対策は必要です。
関連記事:エンクロージャーの効果がすごい!
④ ノズル温度を上げすぎない
対策の4つ目は「ノズルの温度を上げすぎない」です。
ノズルの温度を上げすぎると、多くの有害物質が排出される傾向にあります。
通常の温度よりも、「-5℃」~「-10℃」ほどに設定すると良いでしょう。
⑤ 換気・排気システムをつくる
対策の五つ目は「換気・排気のシステムをつくる」です。
3Dプリンター周辺の空気を換気すれば、多くの問題を解決することができます。
コストや手間がかかるのがデメリットですが、長期的に使うという方は、やっていただきたい対策になります。
詳しくは、この後ご紹介していきたいと思います。
換気システム構築に使った備品
① ダクトファン
必要な備品の二つ目は「ダクトファン」です。
こんな感じで、空気を吸引して、もう片方から排出してくれるものです。
ネットで検索すると様々な商品が出てきますが、その中でも今回は「Hon&GuanのGF100P」を選びました。
自宅でダクトファンを選ぶポイントは、風量と総音量です。風量が強すぎると、騒音が気になりますが、逆に弱すぎると換気ができません。
このファンダクトは風量は「165から198㎥/h」あり、弱すぎず強すぎずという感じでしたので、これを購入しました。
気になる総音量を測ってみます。商品情報だと総音量は31DBの表記でしたが、実際に計測してみると「56DB」くらいありました。
とはいえ、我が家では許容範囲内なので問題ありませんでした。
ちなみにこのファンダクトには電源スイッチはついていません。そのため、このようなスイッチのついた電源でオンオフをするのが便利です。
ホースも付属していました。使い勝手は良かったです。中にワイヤーが入っていますので、向きを柔軟に変えることができます。
どれくらいの長さを変えばいいのか悩みましたが、このホースを切って短くすることができます。
ハサミだと切れませんので、ラジオペンチの根元の部分でカットします。
② エンクロージャー
必要な備品の二つ目は「エンクロージャー」です。
このように3Dプリンターを囲う備品です。
Creality K1のように、最初から囲いのある製品の場合は不要ですが、囲われていない製品は、エンクロージャーを用意しておいた方がいいです。スペースを取ってしまいますが、周囲に空気を逃がさないようにして環境することができます。
③ 逆風防止弁
必要な備品の三つ目は「逆風防止弁」です。
逆風防止弁は、このように一方向にしか開かないようになっています。
マンション・自宅の換気口は、風の流れによっては外の空気が部屋の中に入ってきてしまうことがあります。
3Dプリンターを使っていない時に、風が入ってくると困るので、このような備品を取り付けました。
④ クランプ
必要な備品の四つ目は「クランプ」です。
これは、ホースとファンダクトを、目的の強さまで締めることができます。しっかりと締め込めば、空気が漏れたりすることはありませんでした。
締める際は、プラスドライバーを使います。ちなみに今回の場合は、最終的に6つのクランプを使いました。
⑤ エアコン配管用パテ
必要な備品の四つ目は「エアコン配管用パテ」です。
換気口にホースを取り付け、その隙間にこのパテを埋め込みました。
仕上がり具合は賛否が分かれますが、粘土みたいで使いやすいです。
⑥ 変換用アダプター・ノズル
必要な備品の五つ目は「変換用アダプター」です。
ホースの先端部分には、エンクロージャーの先端を差し込むために、サイズを変換するアダプターを取り付けました。
動作確認
こんな感じで、しっかりと空気を吸い込んでいますね。
ですが、ホースを繋げる前よりは風量は落ちています。結果的に、これくらいのパワーがあるものを選んでいて良かったです。
もっと長いホースを使う場合は、さらにパワーのあるファンダクトを選んでおいた方がいいと思います。
この仕組みを使い始めてからは、効果は絶大でした。臭いもほぼなくなり、今のところ気にせずにプリントすることができています。
まだ対策をされていない方は、ご自宅の環境にあった仕組みで導入されてみてはいかがでしょうか。