PLAフィラメントであれば、カバーがなくても大丈夫ですが、それ以外であれば必要になる場合があります。
そこで本記事では、後付けエンクロージャーにどれくらいの効果があるのかを試してみました。
エンクロージャーってなに?
エンクロージャーという言葉は、様々な業界で使われていて、主に「機器を覆うカバー」のことを指します。
3Dプリンター製品によっては、外装カバーがあるタイプと無いタイプがあります。
カバーがある製品は、プリントエリア周辺の温度が保たれるため、温度が高い材料(例えばABSやポリカーボネートなどのフィラメント)に適しています。
一方、カバーが無いタイプのプリンターには、後付けできるエンクロージャーというものが存在し、これを使えば本体を囲うことができます。
動画で見る
本記事内容は、動画でも見ることができます↓
後付けエンクロージャーの特徴・メリット
① 庫内の温度を保つことができる
まず、1つ目の特徴は「庫内の温度を保つことができる」点です。
今回は、本当に温度が上がるのかを検証してみました。
「エンクロージャーの手前側に一つ」と、3Dプリンターの「肩の上に一つ」温湿度計を置いて計測してみました。
プリント途中の温度を確認したところ、結果はこのようになりました。
変化をまとめると以下のようになります↓
使用前 | 使用中 | 上昇幅 | |
手前の温度計 | 22.4℃ | 29.8℃ | 7.4℃上昇 |
肩の上の温度計 | 23.2℃ | 33.4℃ | 10.2℃上昇 |
この結果では、どちらも温度が上昇しました。
プリンターの肩の上の温度が、特に上がっています。暖かい空気は、上に集まる性質があるためです。
また、エンクロージャーでも庫内温度が足りない場合は、「ヒートチャンバー」が搭載されている機器を使うと良いです。
ヒートチャンバーは、温風を発生させることができるので、より効果が高くなります。
オススメのヒートチャンバー搭載機に「QIDI Plus 4」があります。造形エリアも大きく、反り対策ができます。
関連記事:反り・剥がれ・浮き・荒れ・割れを解決!QIDI Plus 4でヒートチャンバーの効果を検証!
② 低い湿度が保たれる
2つ目の特徴は「低い湿度が保たれるという点」です。
さきほどと同様に、湿度をの変化をまとめると以下のようになります↓
使用前 | 使用中 | 現象幅 | |
手前の湿度計 | 49% | 38% | 11%低下 |
肩の上の湿度計 | 50% | 39% | 11%低下 |
どちらも湿度が11%低下しました。
低湿度は、フィラメントにとって、都合が良いと言えます。特にPA(ナイロン)やABSを使う場合には、良い環境ですね。
③ 防音効果がある
3つ目の特徴は「防音効果がある」点です。
エンクロージャーを開放した時と、密閉した時で、それぞれ騒音レベルを計測しました。
まずは開放した場合です↓
するとおよそ、57デシベル~64デシベルでした。
続いて、密閉した場合の騒音レベルです↓
およそ、50デシベル~60デシベルでした。
4デシベルくらい減少しましたので、ある程度の防音効果がありました。
夜間にプリントを行う場合や、騒音を気にしなければならない環境には、使えそうです。
④ 臭いが漏れにくい
4つ目の特徴は「臭いが漏れにくい」点です。
3Dプリント中に発生する特有の匂いは、エンクロージャーを使用することで漏れにくくなります。
実際に、カバーをした場合としない場合では、実感することができました。
ただし、完全に防ぐことはできないため、換気が良い場所で使用したり、排気ダクトとホースを利用して外部に排出するなどの対策が必要です。
関連記事:自宅に換気システムを作ってみた!
後付けエンクロージャーの注意点!
① サイズが大きい
注意点の1つ目は「エンクロージャーのサイズが大きい」ことです。
エンクロージャーは「横幅550mm、奥行き650mm、高さ750mm」と大きいです。プリンターを収納するために、大きめ仕様になっています。
Creality K1と比較すると、結構違いますね。置き場所を確保できるかを検討することが重要です。
② 組み立てが面倒
2つ目の注意点は、「組み立てが面倒なこと」です。
エンクロージャーを組み立てる手間がかかります。
苦手な人は、組み立て作業に時間がかかるかもしれません。誰かに手伝ってもらいましょう。
こんな人におすすめ
① 広いスペースを確保できる方
1つ目は「広いスペースを確保できる方」です。
置き場所の問題だけで言うと、エンクロージャーが付いている3Dプリンターの方が小さく済みます。
置き場所が無いという方にはおすすめできません。
② エンクロージャーがないプリンターを使っている方
2つ目は「エンクロージャーが付いていないプリンターを使っている方」です。
家庭向け3Dプリンターの多くは、エンクロージャが付いていないタイプです。
それでも、後付けエンクロージャーを利用すれば、後からでも手軽に「保温・防音・防湿・防臭」対策をすることができます。
③ コストを安く済ませたい方
3つ目は「コストを節約したい方」です。
エンクロージャー付きのプリンターは価格が高めですが、後付けでも、ある程度の効果を得ることができます。
プリンター本体とエンクロージャーを別々に購入しても、予算を節約できるため、コストを気にされる方におすすめです。