
本記事では、「ナイロンカーボンの基礎知識」や、「実際に体験した失敗例」をまとめています。
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以前にも試した記事も、参考にしてください↓。
関連記事:カーボンファイバーを使って造形を試す
PA-CFナイロンカーボンってなに?
ナイロンカーボンってなに?
今回のPA-CFフィラメントは、ナイロン6と66がベースとなっており、カーボンがおよそ20%ほど含まれております。

この配合割合は、フィラメントの商品によって違いますが、およそ15%から20%あたりが一般的です。
そもそもカーボンというのは、鉄の1/4の軽さにも関わらず、鉄の7倍の曲げ強さを持っています。その性能の良さから、身近なスポーツ用品や家電、乗り物に使われていたり、機械や産業にも取り入れられている素材です。

例えばゴルフのシャフトやラケット、ガジェット、ノートパソコン、スマートフォンに使われていたり、自動車のパーツ、ロボットアームなどの産業、CTスキャンのベッドなどの医療機器なんかにも使われています。

このようなカーボン素材がナイロンと合わさることで、しなやかながらも熱に強く、丈夫な素材になります。加えてナイロン本来の粘り強さがあるため、衝撃に対する強さを持っています。

ところが、3Dプリンターでは扱いにくいという特徴があります。今回プリントを試した中でも、何度か失敗をしています。
過去にもPETG-CFやPLA-CF、ASA-CF、PPS-CFなんかを使ってきましたが、その中でも、難しい感じがしました。
関連記事:Bambulab PETG-CFフィラメントを試したら、とても使いやすかった!
PA6/66-CFの特性
では続いて、PA-CFフィラメントの特性を見ていきます。
以下の表は、eSUNの情報を元にしています↓。一番左は今回使う「PA6/66-CFフィラメント」です。その右が「PA12-CF」。続いて「ナイロン/PLAベーシック」です。

● 熱変形温度は、PA6/66-CFが一番高い温度帯となっています。
● 引張強度とは、左右に引っ張り合った際に切れる直前の力の値となります。PA6/66-CFが84MPa、Z軸が50MPaとなっていて、高い値になっています。
● 曲げ強度は、曲げるまでにどれだけの力をかけたのかの値を示します。ここでもPA6/66-CFが高い値となっています。曲げに対する強さも高いですね。
● 曲げ弾性率は、しなりにくさを示します。PA6/66-CFが高い値になっているので、この中では1番曲がりにくいということになります。
● 続いて吸湿性について見てみると、PA6/66-CFは吸湿性が高い材料となりますので、湿気対策はしっかり行っておくといいです。方で、PA12CFは吸湿しにくいという特徴があります。
使う前には乾燥ドライヤーをするのがおすすめです。
こんな感じで、PA6/66-CFは、一般的な強度は高いようです。
今回使用した3Dプリンターとフィラメント
今回は最近よく触っているBambu Lab P2Sを使います。
ヒートチャンバーはありませんが、温度管理が制御できるため、カーボン系フィラメントでもプリントすることが可能です。機器の詳細はこちらの動画も参考にしてください。
関連記事:Bambulab P2Sってどんな機械?
フィラメントは、eSUNのPA6/66-CFを使います。
Bambu LabでもPA6-CFフィラメントは販売されていますが、まぁまぁ高いんですよね。
またeSUNではP2S用のプリントパラメーターを公開しているので、ダウンロードして取り込むことができます。
eSUNのフィラメントサイトより、「ダウンロード」ボタンをクリックします。

ダウンロードは、Bambu Studioを開き、「ファイル」タブから「インポート」→「構成データ」を選択します。

ダウンロードしたファイルを、選択します。

ダウンロードしたファイル内の対応する機種を選択します。すると、パラメーターを取り込むことができます。

RFIDを使うことはできませんが、パラメーターを用意してくれているのは嬉しいですね。
寸法誤差をチェック!
20mm角の、四角い形状を5つプリントして、寸法誤差を測っていきます。

結果はこんな感じです。

X軸、Y軸は、ほぼ誤差はありません。ただ、Z軸の誤差があります。
とはいえ0.1mmほどなので、そこまで大きな誤差ではないですね。
試験片で曲げチェック!
PA6/66-CFを曲げてみます。

パキッとは折れずにそのまま曲がっていきました。ちゃんと折れるのかと思いましたが、思っていたよりも靭性が高めです。

続いて参考までに、以前ご紹介したPETG-CFでも試してみます。これもPA-CFと似ていて、パキッとは折れませんでした。

関連記事:Bambulab PETG-CFフィラメントを試したら、とても使いやすかった!
続いてはPLA-CFです。
こちらはしっかり折れましたね。PLA-CFやASA-CFとは違い、PA-CFやPETG-CFは靭性がやや高めになっているようです。

衝撃が加わりそうな場面では、PA-CFやPETG-CFが良さそうですね。
プリントに失敗した話
定着不良
まず1つ目は定着不良です。プラットフォームの下側にも残骸が落ち、思いっきり失敗して一時停止状態になっていました。

1層目がPEIプレートに、定着しなかったのが原因のようです。
そこで今回はMagigooという3DプリンターPA用のノリを使ってみます。液体ベースなので、PEIプレートのデコボコした面にもまんべんなく塗ることができます。
塗った状態でプリントしたところ、問題なく定着し成功しました。

Bambu LabにもPA用のノリが販売されていますので、機会があれば試してみたいと思います。
ノズル詰まり
2つ目はノズル詰まりです。もうすぐプリントが完了するというところでエラーメッセージが表示されました。

押出機内でフィラメントが詰まったようです。アンロードを行ってもフィラメントが出てきません。ノズルが、こんな感じで固まっていました。

かなりぐちゃぐちゃになっていましたが、シリコンカバーをして再加熱したらキレイに除去することはできました。
各部品をばらしてみると押出機内で、フィラメントが詰まっていて、アンロードしても戻ってきません。

何らかの理由で搬送されるフィラメントが熱で変形し、排出できなくなったようです。エクストルーダー部を分解した時の動画が撮れていませんでしたが、結果的になんとか除去できました。

その後は何度かプリントしましたが、問題なくできています。不安な方は、Bambu Lab純正フィラメントがいいかもしれません





