2023年4月12日~14日に行われた次世代3Dプリンター展では、最新の業務用3Dプリンターを出店されており、各社とも業界標準機能を搭載しつつも、それぞれの強みがあると感じました。
そこで本記事では、各3Dプリンターの「売りポイント」を整理してご紹介していきたいと思います。
内容は動画でもご覧になれます↓
ご紹介する3Dプリンターについて
- StratasysのORIGIN ONE
- FLASHFORGEのCREATOR 4S
- FLASHFORGEのGUIDER3
- CreatBotのPEEK-300
- Raise3D Pro3 Hyper FFF
1.StratasysのORIGIN ONE
ORIGIN ONEは、DLP方式の光造形3Dプリンターです。筐体は縦長になっておりとても印象的でした。また操作パネルがきれいで本体にフィットしていました。
ヘンケル3955という材料は引張弾性率3,556MPa(メガパスカル)で、耐熱温度は285℃あります。そのため、航空機の油圧ケーブルクランプや油圧パイプの固定にも使われています。
ここまで高い性能が出せれば、試作や治具のみならず、実際に使うことができる「最終系の部品」をプリントできてしまいます。
これを他の光造形機でプリントをしようとすると、レジントレイのフィルムが剥がれないなどの不具合がおきてしまいますが、空圧分離の技術によってプリントが可能になっています。
② 幅広い材料を取り扱うことができる
またほかに軟質系の材料や、ABSなどの代替えも使えるので、汎用性がとても高い3Dプリンターです。
2.FLASHFORGEのCREATOR 4S
「オートレベリング」や「多様な樹脂が使える」という点は標準で搭載されています。最大のポイントは以下の通りです。
① ヒートチャンバー搭載による庫内温度の維持
ヒートチャンバーとは、庫内の温度を維持するための装置です。
最大65℃まで温めることができます。それにより今まで課題だった「プラットフォームの剥がれ」や「クラック(積層割れ)」などの問題を軽減することができます。
またプリントが難しい樹脂、たとえばPA(ナイロン)CF(カーボンファイバー)などのプリントも安定して行えるようになります。
② ノズル温度は最大360℃まで上げることができる
高温ノズルにより、炭素繊維(カーボン)のプリントを行うことができます。
実際にCF(カーボンファイバー)とHIPSを使った造形物を見させて貰いましたが、とても精度が高かったです。
HIPSとはサポート材の役割を持ちます。リモネンという溶剤で溶かすことができますので、サポートが取りにくい形状に向いています。
3.FLASHFORGEのGUIDER3
シングルエクストルーダーのため、「専用サポート」や「コピー造形」「エクストルーダー故障時の切り替え」などはできませんが、大きいモデルをプリントする場合にはとても効果を発揮します。
こちらも近年では標準化している「フィラメント検出」や「オートレベリング」などは搭載しています。最大のポイントは以下の通りです。
① 最大250mm/sの高速印刷
CREATOR 4Sではだすことができない250mm/sの高速印刷が可能です。
X軸、Y軸に工業用のリニアガイドレールが使われています。これは摩擦が少なく直線的な動きを得意としているため、高速印刷が可能となっています。
② 低騒音
高速印刷をすると、どうしても音が大きくなってしまいますが、50デシベル以下の低騒音を実現しています。
4.CreatBotのPEEK-300
① 超高温出力が可能
ノズル温度は最大500℃まで、テーブルは200℃まで上げられるため、スーパーエンジニアプラスチックもプリントすることができます。
かなり高温になるため、水冷の冷却方式が使われています。それによりエクストルーダー付近への熱伝導を遮断しています。
② 高温ヒートチャンバを搭載
庫内温度を120℃に保つヒートチャンバを搭載しています。それにより樹脂の収縮を最大限に軽減させることができます。
ここまで高温出力ができる3Dプリンターはレアです。その分、安定してプリントをすることができますし、なによりスーパーエンプラを求めている方はとても興味があるかと思います。
5.Raise3D Pro3 Hyper FFF
① 高速プリントが可能
Hyper FFFは、Raise3D Pro3に専用のキットを取り付けることで300mm/sの高速プリントをすることができるようになります。
すでにRaise3D Pro3を持っている方は、HyperFFFのキットを買い足すだけで高速アップグレード化をすることができます。
専用キットを取り付けなくても、「オートレベリング調整」「多種のフィラメントを使える」など、幅広い機能を使うことができる3Dプリンターです。
まとめ・おすすめポイント
1.StratasysのORIGIN ONEのポイント
光造形3Dプリンターでありながら、細部までキレイなプリントを維持しながら高強度・高耐熱の材料を使うことができる。今まで強度や温度の問題で光造形機をあきらめていた方におすすめです。
2.FLASHFORGEのCREATOR 4S
ヒートチャンバー搭載により、樹脂の反り・剥がれ・割れなどの失敗を減らすことができます。
またカーボンファイバーなどの難しい樹脂も安定してプリントをすることが可能となります。ABSやPCなどを安定してプリントしたい方におすすめとなります。
3.FLASHFORGEのGUIDER3
シングルエクストルーダーではあるものの、その分、高速プリントに特化した機構になっています。大きいものをスピーディーにプリントしたいと言う方におすすめです。
4.CreatBotのPEEK-300
スーパーエンジニアプラスチックに挑戦できる3Dプリンターです。また120℃を維持できるチャンバによって、ABSなどの樹脂にも効果を発揮します。
スーパーエンジニアプラスチックを取り扱いたい方、失敗の少ない安定したプリントをしたい方におすすめです。
5.Raise3D Pro3 Hyper FFF
最新機能は網羅されており、とてもバランスの取れた機種です。HyperFFFのキットを取り付けることによって高速3Dプリンターに進化させることもできます。
いろんな樹脂を使いたい、高速プリントもしたいと言う方におすすめの機種です。
最後:感想
今回の次世代3Dプリンター展はコロナ前のような活気が戻っていました。
ご紹介した最新機種は、それぞれがバージョンアップされていながらも、独自の特徴を持っていました。そのためユーザーは要件に応じて選択しやすくなったと感じます。
もしどれを選んで良いか分からない場合や、おすすめをもっと聞きたいと言う方はお問合せよりご連絡・ご相談をください。