高い・安いフィラメントに違いはあるの?【3Dプリンター】

高い、安いフィラメントに違いはあるの?

3Dプリンターの材料として使われるフィラメントは、多くのメーカーから販売されています。

 

皆さんは、それらの違いについて気になったことはありますでしょうか?

 

本動画では「フィラメントによって違いはあらわれるのか?」を検証しましたので、参考にしてください。

 

フィラメントには違いがある?

3Dプリンターに使われる「フィラメント」には、以下のような違いがあります。

 


① 価格の違い

フィラメントには、価格の違いがあります。

 

安いと、1kgで1,000円台から購入することができますし、高いものであれば6,000円ほどする商品もあります。

高いフィラメントと安いフィラメントの違い_いろいろなフィラメント

 

また、容量が1kgものもあれば、500gや250gのものもあるので、購入するときには注意が必要です。

 


② 品質の違い

フィラメントには、品質の違いがあります。

 

同じ種類のフィラメントでも、添加される材料や、製造環境が異なるため品質に差異がでます。

ゴムフィラメントの選び方_コシが弱い

 

本記事では、「フィラメントごとに仕上がりが変わるのか」を深堀りしていきたいと思います。

 

検証方法と条件

まずは検証方法と条件について説明します。

 

1.使用するフィラメントについて

今回は以下の「3つ」のフィラメントを使用します。

 


① BASF Ultrafuse PLA BASIC

Ultrafuse PLA Basic フィラメント(1,000g/ フィラメント径:1.75mm)
created by Rinker

1つ目は「BASF Ultrafuse PLA BASIC」です。業務用3Dプリンターでも使われることがあるPLAフィラメントです。

 

 

色もレッド、ブルー、オレンジなどがあります。価格は1kgあたり3,300円で購入することができます。

 


② Raise3D Premium PLA

2つ目は、Raise3D(レイズスリーディー)Premium PLAです。こちらも業務用3Dプリンターでも使われます。

 

価格は1Kgでおよそ5,000円~5,500円となります。

 


③ Maths PLA

3つ目は、Maths PLAです。主に家庭向け3Dプリンターで使われます。

 

価格は1Kgで1600円ほどで購入することができます。(250gの4色入り)

 

以上3つのフィラメントは全て新品を使い、色は全てホワイトです。

 

2.使用する3Dプリンターについて

使用する3DプリンターはMingda社の「Magician X2(マジシャンエックスツー)」を使います。

 

この機械は、キャリブレーションがとても簡単に行えて、精度の高い3Dプリンターです。

 

関連記事:Magician X2を徹底レビュー

 

また、スライサーソフトはオープンソースの「Ultimaker Cura」を使います。

 

3.使用するパラメーターについて

主なパラメーターは以下の通りです

 

高い、安いフィラメント_ultimaker CURA設定

・ ノズル:0.4mm
・ ライン幅:0.4mm
・ レイヤーの高さ:0.2mm
・ 引き戻し(リトラクト):有効
・ ファン:有効
・ ラフト:有効
・ サポート:無効

 

4.プリントするモデルについて

プリントするモデルは、よくあるベンチマーク用のものを使います。

 

高い、安いフィラメント_ultimaker CURA使うモデル

 

プリント結果

それではプリント結果について見ていきます。

 

ベンチマークモデル①

 

① BASF Ultrafuse PLA BASIC

ノズル移動の際に発生する「糸引き」という症状が確認できました。

高い、安いフィラメント_糸引きが発生

 

文字の再現性や、オーバーハングについては普通程度かなと感じました。

高い、安いフィラメント_オーバーハング、文字の再現性

 


② Raise3D Premium PLA

糸引き症状はほど無く、オーバーハングがやや荒れているかなという感じでした。

高い、安いフィラメント_raise3d_オーバーハング、文字の再現性

 

また、「1層目がヨレている」という症状を確認することができました。

高い、安いフィラメント_raise3d_1層目がヨレている

 

この症状は、プリント中に目視で確認することができました。ノズルから排出された直後に、上にめくれているような感じになっていました。

 


③ Maths PLA

やや糸引きが多かったですが、その他は症状はあまり発生していませんでした。

高い、安いフィラメント_maths PLA

 

 

ベンチマークモデル②

3DBanchyというモデルを使った結果です。

 


① BASF Ultrafuse PLA BASIC

ラフトが剥がしにくく、少し残ってしまいました。

高い、安いフィラメント_3Dbanchyラフト剥がれない

 


② Raise3D Premium PLA

面積が少ないためか、底面のヨレは起きていませんでしたが、船首の下側が少し陥没していました。

高い、安いフィラメント_3Dbanchy陥没

 


③ Maths PLA

これも糸引きが多少見られましたが、全体的には問題なさそうです。

高い、安いフィラメント_3Dbanchy_mathspla

 

ベンチマークモデル③

キューブ状のモデルをプリントした結果です。

 

3つの比較

積層面の文字や表面部の精度に、そこまで違いはありませんでした。

高い、安いフィラメント_cube

 

結局フィラメントごとに調整は必要なの?

結果的には、「フィラメントごとにパラメーターの調整」は必要となります。

 


今回の検証を踏まえると、それぞれのフィラメントには特徴がありそれに合わせたパラメーター調整が必要だと考えます。

 

たとえば、糸引きの対応は「防湿対策」や「リトラクトの調整」が一般的ですが、どれだけ調整をがんばっても、改善しないという可能性もあります。

 

そのあたりを視野に入れて、使ってみるのが良いと思います。

 

フィラメントの選び方

ここからはフィラメントの選び方をご紹介します。

 

選び方は、使う方の「知識」「経験値」がとても重要となります。それによって以下のように選び方が変わります。

 


① 販売店が推奨するフィラメントを選ぶ

初めて使用する方や経験が少ない方は、「販売店が推奨するフィラメント」を選ぶのが良いです。

 

その理由としては、販売店がその3Dプリンターに合うフィラメントを検証している可能性が高く、また何か問題が発生した際にサポート対応を行ってくれるためです。

 

↓の販売店では、推奨フィラメントやサポート対応をご提供していますので、ここから選ぶのも良いでしょう。


② トラブル前提で選ぶ

一方で、3Dプリントの経験が豊富な方は、プリント失敗時のパラメーター再調整や不具合対応に慣れているはずです。

 

そのため、何かトラブルがあっても対応できるため、安価なフィラメントを選ぶ選択も良いと考えます。

 

総じて、フィラメントの選び方は使用者の経験値により異なるため、自身の経験値を考慮して判断することをおすすめします。

 

おすすめフィラメント

おすすめのPLAフィラメントをご紹介します。

 

① SK本舗PLAフィラメント

価格の割に品質が高いと評判のフィラメントです。販売店推奨品で、機械とセットで購入できるパッケージも販売されています。

 

② eSUN PLAフィラメント

私はブラウンを試しましたが、価格が安く、積層の仕上がりも良かったです。

 

最後に

フィラメントの価格はその品質に影響を与えますが、それは必ずしも高いものが良いというわけではありません。

 

選び方は使用者の経験や知識、そして具体的な使用条件に大きく依存します。本記事で提供した検証結果を基に、ご自身の最適なフィラメント選びに活用して頂ければと思います。

 

どのフィラメントを選ぶにせよ、パラメーターの調整やメンテナンスには注意が必要です。もし初めて3Dプリンティングを行うのであれば、販売店が推奨するフィラメントから始めてみると良いでしょう。

 

3Dプリンティングは学ぶべきことが無限にありますが、その一部を本記事で解説できたら幸いです。

 

これからも更なる情報提供を行ってまいります。

 

動画で見る

内容を動画でご覧になることができます↓

YouTubeで、本ブログの内容を分かりやすくを解説しています

 

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